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BtoBマーケティングにも冬の時代が到来?不況時に考えるべきBtoBマーケティングとは?

おお!まじか!
先日、以下の記事を読んで私はビックリしていました。

要約すると
パンデミック(世界的大流行)後も5年、10年先までECの成長が持続するとみていたが「賭けが実らなかったことは明らかで、判断を誤った」として、人員削減を進める考えを示し全世界の従業員の10%にあたる約1000人を削減すると発表したことを記事では取り上げていました。

日本Shopifyでも従業員の削減があったようで、Shopify従業員の方のツイートが話題にもなっていましたね。

私はこの記事を読んで、不況の波が着々と来ているんだなと思いました。
直近で広告費を抑えている企業も多く、不況になりそうだな。みたいな話は各所で聞いており、ECの業界でも仕事をしているので、ECは今後も伸びていくだろうとあまり深く考えていなかったので、少し驚きましたね。

スタートアップに冬の時代が来た?

SmartHR 創業者である宮田さんが少し前に上記の上げて話題になっていました。

SmartHRの株主でもある米国のセコイア・キャピタルが共有した資料を元に作られた上記の記事なのですが、

コンテキストを説明すると、今は世界的にスタートアップの資金調達環境が「冬の時代」に突入しており、多くのスタートアップが資金調達が進まずコスト削減をしないと数ヶ月でキャッシュが尽きる状況に置かれています。

死なないために」により引用

更に「冬の時代が長引くかもれない」という見出しの下に以下が書かれています。

「死なないために」により引用

死なないために」の記事は6/16にアップされており、私もアップされてすぐに読ませていただき、とても興味深くみてましたが、そこまで臨場感を感じていなかったというのも本音です。

そこで7/27に公開されたShopify、従業員1千人削減 ネット通販減速でを読んで、ほんとに不況が近づいているんだなと身を持って感じた次第であります。

日本のBtoBSaasにも逆風が吹いている?

One Capitalの「逆風が吹くSaaS 28社の決算から紐解く10のトレンド」から以下の図と文章を引用しているのですが、興味深いので見てみてください。

逆風が吹くSaaS 28社の決算から紐解く10のトレンド

28社の株価パフォーマンスを確認すると、なんと全社が年初来マイナスに。SansanやHENNGE、フォトシンスは、22年になってから半値以下になっています。
特徴としては、成長率の高い赤字企業は下落率が高いことがわかります(ヤプリ、フリー、プレイドなど)。逆に、成長率はそこまで高くないものの、すでに利益を出している企業は、そこまで下落していません(ユーザーローカル、手間いらずなど)。
これまでマルチプルは、売上成長率との相関が高いと言われてきました。しかし、金融相場から業績相場への移行に伴い、40%ルールとの相関が高くなっていると言われています。つまり、トップラインの成長よりも、高い収益性が重視されているということです。

逆風が吹くSaaS 28社の決算から紐解く10のトレンド

より堅実性のある方向に投資が進んでいるという事実が読み取れます。アメリカの動向と日本の動向は連動しているので、日本にも冬の時代が訪れるというのは間違いなく避けられない道なんだなと思いました。

BtoBマーケティングは今までがバブルだったのか?

「あーまたこのタクシー広告か」

都内でタクシーに乗られる方であれば、一度は思ったことがあるのではないでしょうか?私よく感じでいましたw

BtoB企業のタクシー広告が多すぎて、こんな企業も出して意味あるのかな?みたいな広告も多く、費用対効果は合うのだろうか?と思っていました。

他にもTVCMを始めるBtoB企業も多くなったなと感じてました。BtoB企業が広告への投資を積極的に行っており、一種のバブルだなと広告代理店の立場から見ていました。

事実、「死なないために」の記事の中でも以下の通り、ドラクエで言う「ガンガン行こうぜ」という状況だったのだなと思っています。

「死なないために」により引用

ただ、このBtoB企業が「ガンガン行こうぜ」という風潮が良くなかった。ということを言いたいのではなく、SmartHRであれば、この姿勢が合ったからこそ、ユニコーン企業まで伸びましたし、このような取り組みが日本BtoBSaasを盛り上げてくれたのだと思っています。まさにファーストペンギンですよね。

陸上競技の100mでカールスイスが10秒台の壁を破ってから次々と9秒台が現れたように、一つの企業が壁を壊したら、どんどん壁を壊す企業が現れる感じですね。

ただ、今後は戦い方を変えていかなくなっている市場環境になっており、状況を踏まえて正しい選択が必要になってくるかと思います。

不況の時代に考えるべきBtoBマーケティングとは?

さて、不況の時代になることが考えられますが、不況になるとBtoBマーケティングはどのような変化が起こるのでしょうか?少し考察してみましょう。

広告費縮小が進み費用対効果が見えるものに投資が進む

不況時に優先度高く削られるのが広告費になります。特に認知を目的とした広告は削られやすいのではないでしょうか

一方でリスティング広告やSNS広告のような運用型広告であれば、費用対効果が見える化できますので、広告費縮小のトレンドの中でも投資対象として選ばれる媒体になるでしょう。

特に運用型広告の中でも検索広告やFacebook広告、リターゲティング配信ができるディスプレイ広告は費用対効果が合いやすい媒体です。これらの媒体に予算を傾ける企業も増えてくるのではないでしょうか?

ただ、その影響でCPC、CPMがこれまでよりも一層高騰し、費用対効果も悪くなってくる可能性が出てきます。今まで運用型広告を積極的に活用してきた企業からすると、競合が増えてしまうのでデメリットの方が多くなってきます。更に近年、運用型広告のCPC、CPMは上がり続けているトレンドなので、そのトレンドがどんどん強くなってくるでしょう。

https://www.karooya.com/blog/google-ads-benchmark-report-by-tinuiti-q2-2021-key-highlights/より引用

米国を拠点とするデジタルマーケティングエージェンシーであるTinuitiが出したレポートですが、Google広告においてCPCがY/Yで+36%も上昇しています。

費用対効果が高い媒体と言ってもCPCやCPMといったオークションの基準となる数値が高くなってくれば自ずと、単価が高くなり結果、CPAも上がり、CACが高騰することが予測されます。

BtoBマーケティングにおいて、「CACはある一定以上のコストが掛かる」とサイルの栗原さんがおっしゃっている通り、ガッツリと下げることはむずかしくなります。今後も更に難易度が上がってくるので、ある程度、CACのコントロールができたらLTVを高める動きにリソースを投下した方が良くなってくるのではないでしょうか。

新規のお客様を獲得するには、既存のお客様の5倍のコストがかかる」と言われています。既存顧客との関係性をより強固なものにし、LTVを上げていきたいですね。

認知施策もより費用対効果が求められる媒体に投資が進む

認知施策も今までよりも費用対効果が求められてくるのではないでしょうか?近年では運用型テレビCMという言葉もよく聞くようになりました。事実、運用型テレビCMを提供しているテレシー社のプレスリリースを見ると市場規模が2020年→2022年にかけて4倍になっており、2025年には1,300億円規模に拡大すると予想されています。

テレシー、2021年の運用型テレビCM市場は115億円、2025年には1,300億円に拡大と予測

他にもYou Tube広告などの動画媒体にも認知施策の予算も増えていくと考えられます。

サイバーエージェント、2021年国内動画広告の市場調査を発表より引用

動画広告市場も右肩上がりに伸びているため、今後も加速することが予想されますね。

ざっくりですが

  • 費用対効果の見えにくい認知施策の予算は減少する可能性がある

  • 運用型広告など費用対効果が見えやすい施策への予算は増える可能性がある

  • 一方で運用型広告の効率も以前ほど高いと言えなくなってくる

  • CACを下げ続けることがより難しくなりLTVを伸ばすことが重要になる

  • 運用型テレビCMやYou Tubeなど費用対効果が見えやすい認知施策の予算が増える可能性がある

ということが考えられるのではないでしょうか?
次の見出しから冬の時代だからこそ、考えておきたいBtoBマーケティングの取り組みや考え方についてシェアしたいと思います。

お金ではなく知恵を絞る

よくある話ですが、「お金ではなく知恵を振り絞る」ですね。どうしてもお金があると、お金を使い一気に広告費をかけて広げていくという発想になってしまうことも多いです。冬の時代こそ、今あるリソースを最大限活用しできることを振り絞り、広げていくことを考えてみましょう。以下に知恵を振り絞ることについて、参考になりそうなことも書いてみたので見てみてください。

資産に目を向ける

ヒト・モノ・カネ・情報・不動産・ブランド。
会社経営をしていると、その会社には気づかぬうちに資産が構築されています。個人的にビジネスにおいて一番の資産は顧客情報だと思っています。

「江戸時代の商人は、屋敷が火事になると、真っ先に顧客台帳を井戸に投げ込んでから外に逃げ出した。
 当時の顧客台帳は特殊な紙でできていたので、水に濡れても文字が消えなかったのだ。当時の商人も、「顧客リスト」は何よりもの財産であることを理解していた」(『不変のマーケティング』神田昌典著、フォレスト出版)。

DIAMOND online「9割の人が知らない!
江戸時代、商人が「火事のときに持って逃げろ」といわれたもの

より引用

日本にダイレクトマーケティングを持ち込んだ神田昌典さんの著書では何度も上記のフレーズが出てきます。顧客リストさえあれば、連絡が取れてコミュニケーションし商品を売ることができ、新たな売上を立てることができます。

BtoBで当てはめるのであれば

  • 失注したユーザーに再度アプローチを取る

  • ホワイトペーパー取得したリストに対してセミナーの呼びかけをする

  • 既存顧客に紹介をお願いする

  • 既存顧客に新しい商品を提案する

新規にばかり目を行き過ぎると、すでに獲得している顧客やまだ顧客になっていないけど、連絡先は知っている人に対して対応がおろそかになります。このようなタイミングだからこそ、既存顧客などリストを眺めてできることを考えてみるよい機会なのかもしれないですね。

解約率を減らす

広告を使って新規の数を増やすのが難しければ、解約率を減らしていく必要がありますね。解約率を減らすためには、
①プロダクトを磨く
②CSを強化する
この2つが考えられるでしょう。プロダクトを磨いても機能を知って使ってもらわないと良さが伝わらないので、CSが重要なファクターになると個人的には考えています。

ただ、CSにまつわる情報も多くないのでインプットが大変です。個人的に最近読みまして勉強になった2つの記事を紹介しますので見てみてください。

SPEEDAを提供するユーザーベースさんの解約率を下げる施策の記事。とても参考になりました。

BtoBSaas中心に投資をしているALL STAR SAAS FUNDさんで開催した【SaaS CS集中講座 】のブログ記事。全5回あるので全て見てもらえるとCSの解像度がかなり上がるでしょう。

資産が残るマーケティングに投下しよう

利益が積み上がるストックビジネスと単発で大きい売上が立つフロービジネスがあるように、マーケティングにもストックで積み上がるものと、フローで顧客や売上が上がる施策があると考えています。

フロー施策で言えば、広告施策ですね。広告を止めたらリードも増えなく、商談も創出できなく売上が立たないですからね。

ストック施策であれば、オウンドメディア、You Tubeチャンネル、SNSアカウントの育成、メールマガジンなど施策が当てはまります。

これらストック施策は良いコンテンツを作り続ければ、そのコンテンツが見込み客を生み続けてくれます。例えばオウンドメディアであれば、提供サービスにまつわるキーワードで検索結果の上位を取っていれば、リードを生み出してくれるでしょう(検索結果が変わってしまうとむずかしいですが……)。You Tubeチャンネルでも同じようなことが言えるでしょう。

本来であれば事業の初期段階でストックとフロー施策の両方を走らせて、徐々にストック施策からの流入を増やしていけるのが理想ですが、フロー施策にばかり、投資していたのであればストック施策に投資を強化していく必要があるでしょう。ただ、とりあえずオウンドメディアやYou Tubeチャンネルを解説すればいいというわけでもないので難しいところです。

コンテンツを軸としたマーケティングについて一度、解説したnoteがありますのでストック施策に取り組む前に参考までにご覧ください。

逆張りできるか?

他社が費用対効果の見えにくい施策にお金を使わないからこそ、逆張りで取り組んだり、BtoBにおいてはまだ取り組みが少ないYou TubeチャンネルやTiktok運用を強化したりと、このような市場環境だからこそ逆張りで動く。ことは一つの可能性として考えておいてもいいかもしれません。

しかし、逆張りするということは、言うは易く行うは難しですよね。逆張りの選択をする上で個人的に参考になると思ってるのが楠木建さんの著書「ストーリーとしての競争戦略」です。

話すと長くなるのでざっくりと要約しますが「それだけを見ると合理的ではないが、全体としてみると合理的になっている」ことが著書では重要視されています。(僕の理解が間違っていたら言ってくださいw)

外目から見ると不合理(逆張り的な選択も当てはまりそう)な選択もその会社の強みや目的から見ると一貫しており、競争優位性が出ている。ということになります。

著書の中ではスターバックスを例に上記の事例を記載しています。スターバックスは全て直営店舗で運営されています。

合理的に考えるとフランチャイズ形式にしたほうが出店数も伸び、ロイヤリティも発生するため、成長が加速すると考えられますが、スターバックスの「サードプレイスを作る」というコンセプトから考えると、全て直営にし、アルバイトにもちゃんとした研修を行い、スターバックス独特の接客や空気を醸し出せる店舗にするには、直営で運営することが重要であり、フランチャイズ方式を取っていないという形になっています。結果、スターバックスは全世界に展開するブランドになっています。(その他にもファクターありますが掻い摘みます)

その他にも様々な事例や説明がありますのでぜひ、読んで見てください。

長い目で見ることの重要性

「死なないために」のブログでも以下のように書かれています。

「死なないために」により引用

社員を減らす、無駄な広告費を減らすなどといったことはすぐに取り組みやすいですが、長期的に見るとマイナスになってしまっていることもあります。また、すぐに結果が出ないような施策(オウンドメディア、社員育成)なども長期的に考えて取り組む必要があるのではないでしょうか。

上記のブログの「四半期の成績は3年前にやったことの結果です」これは非常に心に刺さりますね……

会社、事業、個人でもですが、3年後のあるべき姿のために、今、どんな選択肢が良いのだろうか?は常に心がけたいですね。自戒も含めて……

終わりに

最後までお読みいただきありがとうございます!
先が読めない市場感になっていますが、やるべきことは変わらず、顧客と向き合い、顧客の課題を解決する商品を届けていくのが私たちの仕事なのではないでしょうか。

あとは何と言っても、プロダクトやCSを磨き続けて、最高のユーザー体験を提供することが満足度に繋がり、口コミが増えて広がっていくのかなと思います。正しいことをちゃんとやることが大切ですね!

本日の記事も何か参考になりましたら幸いです!
他にもBtoBマーケティングや運用型広告にまつわる情報をTwitterやnoteで発信しているので、フォローいただけると幸いです。

お読みいただきありがとうございました!





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