毒島醜女

ホラー大好き侍。禍話さんのリライトをしてます。

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最近の記事

禍話リライト トントントンの家

タケシさんには年下の幼馴染で、ヒロミという男がいた。 昔からヒロミは女の影が絶えない器量良しだがかなりのクズ男であり、遅刻はもちろん、約束は平気で破るし面倒事はすぐに人に押し付けるような人間だった。 元来お人好しで頼まれると断れない性格のタケシさんは、兄代わりとしてこの男の世話を焼かされ、しょっちゅうこき使われて来た。 そんなある日、クズ男からこんな事を提案された。 「タケシさぁ、お盆暇だろ。バイトやんない?親戚のおばさんの家に二、三日泊まれば六万出すってさ」 「六万?まじ?

    • 禍話リライト 土葬だった家

      大学生のDさんにはAさんという友人がいる。 Aさんはかなりの裕福な名家の生まれであり、友人たちで食事に行く際には「ああ、ここはオレが出すよ」とナチュラルに奢ってくれた。かといって金持ち特有の嫌味やマウントを取るわけでもなく、誰に対しても人当たりも良く明るい性格で、そう言った面でも周りから慕われていた。 そんなAさんがある夏の日、Dさんを大学に呼んだ。彼が待ち合わせ場所にいると、申し訳なさそうな顔でDさんの前に現れた。 「あのさ、実はお前に頼みがあってさ」 「おう、どうした?

      • 禍話リライト 俺の遺影

        「おばけでも人間でもないんだけど、怖い体験はしたことがあるよ」 酒の席での話題が尽き、怖い話は無いかと聞かれたDさんはこう答えた。 Dさんは渋い顔をしながら、酒を煽る。 「イヤな遺影を見たことがあるんだよ」 Dさんは土建屋の社長であり、彼には部下にNさんという人がいた。 「Nさんはねえ、仕事はしっかりやってくれる人だったんだよ?でも、そのぉ…なんというか…酒癖が悪くてね」 Nさんは職務はきっちりとこなす人間であったが、凄まじい酒乱であり仕事終わりに周囲に迷惑をかけることも

        • 禍話リライト 「忘れた頃に」「そっくり返ったこと」

          禍話の語り手、かぁなっきい氏の元にこんなメッセージが届いた。 『「悪行を働けばいつかは自らの過去に肩を掴まれる」とかぁなっきいさんはよく仰っていますが、そういった因果応報というのはどのくらいのスパンでやってくるものなのでしょうか?』 送り主は以前勤めていた職場の上司から壮絶なハラスメントを受けており、仕事を辞めた後もその上司がピンピンしていることをとても不条理に感じているという。 『このままでは私は精神の安寧を抱けません』 そこまで追い詰められている送り主に、

        禍話リライト トントントンの家

          禍話リライト 忘れられた家

          その家は男性が家族と住んでいたという。 彼は会社の役員になるほど出世しており、子供も無事に独り立ちしてめでたく定年退職した。 だがその直後、妻が家を出ていき熟年離婚した。男性の子供たちは変わらず母親と交流していたが、父親である彼の元へは一度も現れなかった。 こういった場合、誰かしらが男性に同情するはずだ。だが、町内のご近所さんや親戚は皆口を揃えて「まあ、アレじゃあ仕方ないよね」と言った。 男性はいわゆるダメな意味での亭主関白といったタイプで、常日ごろから「父親でござい」と居丈

          禍話リライト 忘れられた家

          禍話リライト 手彫りの家

          嘘のようなことがあった話。 その家の曰くは、こうだ。 一浪は当たり前といった難関大学を目指す浪人生の男がいた。 彼は何年も落ち続け、社会人の年齢になっていた。 「周りの環境のせいで集中できないのが悪い!」 という浪人生の言葉を聞いた両親は、彼の為に一軒家を買いそこに住まわせた。 それでも彼が大学に入学することは出来なかった。 そしてどういう思考でその行動をしたのかは不明だが、浪人生は自宅で彫刻刀を使い、割腹自殺を図った。 しかし本来切腹は介錯の、首を斬る人間が必要で

          禍話リライト 手彫りの家

          禍話リライト 白い運動靴

          「これは俺の前の前の学校の話なんだけどさぁ」 親が転勤族で転校をよくしていた小学生Dさんはこう言って語り出した。 「あれはやな事件だったわ……」 そこでDさんはいわゆる転校生いじめを受けていた。 方言やらその地方や学校では常識な事を知らないというだけで馬鹿にされたりからかわれたりした。 「ひでえよな、こっちは越して来たばっかでなんも知らないんだからしょうがないのにさ。でも特にひどいと思ったことがあって——」 その学校の通学路のある通りに花束があり、看板に『〇〇年○月

          禍話リライト 白い運動靴

          禍話リライト ミミズ腫れ

          ※ 下品な内容(立ち小便)と暴力表現が含まれます。 マナーは守りましょう、という話。 Aさんが住んでいたのは治安の悪い地域であった。ゴミは道路に平気で捨てられ、それをカラスや猫がつついているなど風紀が乱れていた。 特にひどいのが、立ちションだ。 飲み屋のすぐそばの電柱でごく普通に、何の恥ずかしげも無くそういった行為をするおじさんをAさんは「犬かよ」と軽蔑していた。 「家賃の安さと交通の便の良さに惹かれてこの街を選んだが、まさか路上に『便』があるなんてな……」 それでも

          禍話リライト ミミズ腫れ

          禍話リライト 職業は怨霊

          ※いじめの匂わせ、人身事故、グロ表現有 「私、友達が幽霊になったんです」  怪談蒐集家の私に彼女はそう言った。  数時間前、私は友人にカラオケに呼ばれた。  言うなれば合コンの人数合わせだ。いろいろ盛り上がった末、友人は意中の女性とお近づきになれたそうで「じゃ、俺らこれからオールするから他の奴らはもう帰っていいぞ~」と解散になった頃にはもう終電を迎える頃だった。  そのカラオケ店は私の家からかなり遠く、自家用車もタクシーを呼ぶ金もなく途方に暮れていた私に送るよと声をかけた

          禍話リライト 職業は怨霊

          禍話リライト 心中の丘

          リア充をからかって遊んでいたバカ男達の恐怖体験。 「よーし! 今日も浮かれた連中の思い出、台無しにしてやろうぜ!」 「そうだそうだ! 俺たちは全国のモテない男の代表だ!」 「おー!」 そんなろくでもない思想を持った男性の集まりがあった。 近所には眺めのよい公園があり、日が落ちれば夜景も星空も見渡せるそこは有名なデートスポットだった。 そこで睦言を交わし合う恋人を見つけ次第、アニソンを大合唱したり車からハイビームで照らしたりしてからかう事が男たちの唯一の楽しみだった。 今日

          禍話リライト 心中の丘

          禍話リライト 花子さん譚「好きな色は?」

          花子さんを利用したいじめの首謀者が痛い目を見る、因果応報な話。 いじめっこのAさんはターゲットを見つけると、取り巻きを三人ほど引き連れ四対一でいじめるという卑劣な性格をしていた。 当時目を付けていた女子生徒のSさんはとても臆病な性格だった。 学級文庫におかれている怪談話の表紙に描かれた幽霊の絵ですら怯えてしまうような極度の怖がりで、Aさんたちはそんな彼女を嬉々としてからかっていた。 ある日、Sさんは些細なミスをした。 本当に小さな失敗なのだが、元来責任感が強く真面目なSさ

          禍話リライト 花子さん譚「好きな色は?」

          禍話リライト 鬼火の走る山

          Rさんの乱暴な親戚の話。 乱暴というのはその親戚夫婦の息子の話で、彼と遊んでいるとRさんはよくおもちゃを投げられたという。 しかも親が絶対に叱らない。 息子が幼稚園の年長ぐらいの時、親戚と花火で遊んでいた時もそうだった。 彼は花火を手に持つと執拗に人に向けてくるのだ。 それはRさん以外に対しても同じで、「ぎゃははは」と笑いながら同年代の子や他の親戚に向かって花火を持って追いかけまわすのだ。彼の両親もゲラゲラと笑うばかりで自分たちに火の粉をかけられても息子に注意の一つもしなかっ

          禍話リライト 鬼火の走る山

          禍話リライト 怪我の穴

          Bさんが二十歳ぐらいの頃、実家の近くの空き地にマンションが建つことになった。 毎日毎日工事の人間が現場に入っていくところを見ていた。 寒い時期で、彼は突貫工事らしく慌ただしく働いているのを傍から見ていた。 「随分急かされてんな。大変だなぁ」 作業員は皆疲れ切った顔をしていた。 夜、Bさんがコンビニに買い物に行くとその工事現場を通った。 すると、警備員と作業員達が現場の奥で固まり、何かをしていた。 「……こんな夜中に何してんだ?」 疑問に思ったBさんがよく見てみると、

          禍話リライト 怪我の穴

          禍話リライト ブーブーとピーポー

          小学校時代の、嫌な思い出。 Dさんと仲のいい同級生は親が多忙な人であり、一人で夜を過ごすことが多いそうだ。 Dさんは夏のある日、そんな彼の家に泊まりに行った。 彼の父親のパジャマを借りて二人は就寝した。 尿意を催し起きたDさんは、同級生を起こさないようにゆっくりと音を立てずに二階のトイレに向かった。 用を足していると、換気の為に開けていた窓の外から声が聞こえて来た。 母親と、幼い子の声だった。 母親の方が子供に何かを言い聞かせているらしい。 「え~……でも結構な時間だぞ

          禍話リライト ブーブーとピーポー

          禍話リライト ニセモノ大家

          平成一桁のころの話。 大学時代から使っている古いアパートから通勤しているAさんがいた。 職場からは結構な距離はあるが、交通費を差し引いても家賃が安いからという理由でそこに住み続けているそうだ。大家も納得してくれているので問題はないらしい。 次第に住民も減っていき、ただでさえ古い建物もさらに劣化し耐震構造的にも危うくなってきていた。台風の日などは気が気でないとAさんはぼやいていた。 そんなAさんが、ある時から寝不足気味になっていた。 同じ部署のBさんは仕事がそこまで立て込んでい

          禍話リライト ニセモノ大家

          禍話リライト Dの職場

          ある会社の部署の部長はとんでもないパワハラセクハラ野郎だった。 言うなれば陰湿な人間が自分を大きく見せたいためだけに体育会系ぶっているといった感じで、自分に非があっても決して謝らず、年功序列に乗っかり己のわがままばかりを通すどうしようもない人間だ。 そんな部署に配属されたBさんは「やだなぁ……」と思っていた。 その部署は女性が多く、彼女たちに対してもその部長は無遠慮に怒鳴り散らし、時には家族までも悪しざまに言うなどということも平気でしていた。 だが彼女たちは平然としていた

          禍話リライト Dの職場