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【NYY】Juan Sotoのヤンキース入りを考察
現地12月3日~6日に渡ってWinter Meetingsが開催されるわけで、今オフ最大の目玉である大谷の去就などが大きく動くとみられています。そして、大幅なサラリーカットの噂が乱立するパドレスが、スーパースターのJuan Sotoを放出するとも見られており、こちらについても放出の可否含め今後一週間で決まる可能性が高いでしょうか。
そんなSoto獲得のトップランナーとしてヤンキースの名前が挙がっているわけですが、先日には「対価となる選手の名前を出し合う段階に入った」との報道がされていました。その際、パドレス側がAnthony Volpe(来季23歳)、Jasson Dominguez(同21歳)といったNYYの若手を要求→NYYはこれらの選手に加えてDrew Thorpe(同24歳)らトッププロスペクトやMichael Kingも出す気はない…といった噂も聞こえてきました。
これだけを聞くと両者の隔たりは大きいように感じますが、果たしてどのようなパッケージが実現に近づくのでしょうか。またSoto加入がヤンキースにもたらすダイナミクスとはどの程度のものになるのでしょうか。
Juan Soto獲得を狙うパッケージや如何に
もしパドレスがサラリーダンプを決断しSotoを放出するとしても、彼らが下手に出る必要はあまりないですよね。そもそもヤンキースはトップランナーとはいえ、彼の来季年俸約30MMであっても残り1年でFAになると考えれば手を挙げる球団も少なからずいるでしょうし。ここにエクステンションというおまけがつくならばNYYしか引き取り手がいないことも有り得るのでしょうが、Soto側は来オフでのFA市場で巨額契約を狙うことは間違いなしかと。(私はSotoが再契約をすることはあっても、トレード後に契約延長を行うとは微塵も考えていません。)
となれば、NYYの放出する対価というのもそれなりのものを覚悟しなければいけないんですよね。
まずはヤンキースがavailableな対価を書き連ねてみます。
■26人枠
・Nestor Cortes(LHP)来季推定4.6MM
2021-22年は先発2番手クラスの成績を残し、来季もバウンズバックは望めるか。ただ、最大の武器であった4SFは今季ハードヒットされる場面が目立った点や、既にArb2を迎えるために復活を望む猶予は2年しかない点は懸念か。
・Michael King(RHP)来季推定3.1MM
ここ2年は支配的なリリーバーとして君臨していたものの、今季後半戦に先発へ再転向すると傑出したパフォーマンスを披露。こちらも保有期間は2年であること、スターター起用の成績はまだサンプルが少ないこと、なによりNYYが放出に乗り気でないことが障壁?
・Clarke Schmidt(RHP)来季推定3.0MM
スイングマンから今季ようやく先発へ定着を果たした元有望株。成績は尻すぼみに下がっていったものの、Injury Proneの代表格であったにも関わらず32先発はお見事で、先発5番手~回跨ぎの出来るリリーバーとしては計算可。保有期間も2027年までと長く、NYY側としても放出筆頭の選手か。
・Oswald Peraza(SS)来季最低年俸
愚かにもCashmanが名指しで「余剰」と言い放った内野プロスペクト。NYY側ではダブついているものの、Bogarts、Tatis Jr.、Kimを保有し、傘下にもMerrillが控えるSDP側にとっては全く魅力とならないアセット。外野手を兼任できるOswaldo Cabreraも同様かと。SDPへの放出があるとすれば、SotoにKimを加えたメガディールのみ。
・Anthony Volpe(SS)来季最低年俸
まず放出はないかと思います。しかし、↑で述べたように内野が溢れているパドレス側がVolpeを要求したなんて話が出てるもんで謎。NYYがSotoへ求愛するたび、彼へのエクステンションは後回しになるでしょうか。
・Everson Pereira(OF)来季最低年俸
今年念願のMLBデビューを果たした大器で、来季もまだ23歳と非常に若いアセット。MLB昇格後に課題のコンタクトスキルの欠陥が露呈し、リスクは現時点で特大。そもそも先発投手のアセットでActiveを1つ喰ってしまうにも関わらず、来季デビュー2年目でオプション残り1つのPereiraがSDPにとって魅力なのかは非常に疑問。それであれば後述するアッパークラスのプロスペクトのほうが現実的に思えます。
・Jasson Dominguez(OF)来季最低年俸
開幕からIL入りであるものの、Sotoのパッケージで釣り合いをもたらせるネームバリューがあることは確か。ただこちらもアンタッチャブルであり、これをやってしまうと来オフにSotoがFA移籍した場合の外野手任用が死活問題になってしまうでしょうね。
・Giancarlo Stanton(OF)来季年俸32MM
引き締まったボディとプリチーなおしりからアーチを量産するベテラン。年俸は少しだけ高いですが、SDPの長期契約ブームは一説によるとStantonリスペクトらしいので、ここはStantonの還るべき約束の地・西海岸へ行ってもらいましょう。(助手調べ)
■40人枠
・Randy Vasquez(RHP)来季最低年俸
NYYご自慢のノーコンIFA産投手の中ではまだコマンドがマシな方で、今季MLBデビューを果たすと前半戦は真っ青なFIP・xwOBAをよそに好投。もちろん先発要員としての計算は厳しいですが、今季低クオリティと判明した球種をシャープにできる点、中継ぎとして通用するハイヒーターを持っている点はまあまあ魅力。オプションも2つ残っています。
・Clayton Beeter(RHP)来季最低年俸
この秋にロスターセットされた先発右腕であるものの、こちらはMLB未経験ということでプロスペクト要員として計算。能力云々以前に、上述の先発アセットに加えて、40manに入っているBeeterをSDPが好むわけもなく、順当に他の先発プロスペクトを要求してくるでしょうな。Beeterしかめぼしいアセットがいないならともかくとして、NYYは残念ながら投手有望株が豊富なため。
・Luis Gil(RHP)来季最低年俸
今季TJによる全休が転じてオプションは来季も1つ残っているが、流石に怪我明け&超が付くほどのノーコンを先発アセットとして構想するのは無理があるよね。プロファイル的にもGilは中継ぎ向き。
■ロスター外
・Will Warren(RHP)
NYY傘下の3A投手で最も高い評価を受けている右腕。共にプラスピッチのシンカー&スイーパーのコンビネーションは秀逸で、今季2Aでは敵無し。3Aでは順応に苦しむも、9月は圧巻の成績でした。21年ドラ8であり、ルール5イリジブルは来秋ということを踏まえれば管理のしやすさもGood。ただ、SDPからすれば「ショーケースには所持金で買えるいちごスペシャルクレープが2本入っているのに、店員が勧めてきたのはケースの外のバナナクレープ」というシチュエーションなので、当然彼らはいちごスペシャルを要求してくるでしょう。
・Drew Thorpe(RHP)
22年ドラ2の技巧派右腕で、来季のMLBデビューも現実的なTop100プロスペクト。特にチェンジアップはダブルプラスのマネーピッチであり、球速を感じさせないほどのK%を記録。そんでいてコマンド&コントロールに優れているために低く見積もっても先発4-5番手には残れるのではという選手。NYY側もアンタッチャブルとしているとのこと。
MiLB年間最優秀投手プロスペクトをSDP傘下Snellingから強奪した選手なのでパドレス側もきっとThorpeが嫌いだし。いらないはずだよね。
・Chase Hampton(RHP)
22年ドラ6から一挙にTop100プロスペクトまで到達した剛球右腕。クオリティの高い4SFとCutterで奪三振を量産し、前半戦のみでいえばThorpeより支配的であった投手。Thorpeとともに、イリジブルは再来年であることから非常にトレード価値も高く、年齢もThorpeより1つ下という点もGreat。
ただ、NYYがオーバースロットを講じてまで連れてきたHamptonを簡単に出すのかは見物。
・Richard Fitts(RHP)
いちごスペシャルに隠れつつも、チョコレートホイップたっぷりのFittsのバリューもそこまで劣るとは思えません。Hamptonほどではないにせよ、90mph後半にヒットする4SFは大きな武器ですし、スライダーでも空振りを取ることが可能。なによりコマンドに優れているため、早期に降板するシーンもめったにありません。いまのパドレスちゃんに必要なのはビタミンたっぷりのいちごより、糖質たっぷりのチョコレートだよ。
・Spencer Jones(OF)
22年ドラ1であり、こちらもTop100入りを果たしているトッププロスペクト。Soto獲得によってJames Woodという大器を逸したSDPにとってJonesを選択肢に入れることはパンチラインも完璧。先述のPereiraとは異なり、まだ中堅手に残れる守備力や、ロスター管理のしやすさといった点で大きく勝っています。本当であれば前年ドラ1のSweeneyをアセットに…というのが理想ですが、彼はSSなのでパドレスのニーズを満たしません。
・その他FCLのルーキーたち
SalasやVriesをリクルートしているパドレスのスカウトがNYYのルーキーリーグの魅力に気付かないはずがありません。特にJohn Cruzとかお好きでしょ。
□トレードパッケージ構想
以上のアセットをメインとして、色々試してみます。上から順に、パドレスのニーズを見たし、NYYにとってはオーバーペイなものになっています。
【A案】
Juan Soto
↓↑
Michael King
Drew Thorpe or Hampton
John Cruz
パドレスの欲しいものを3枚揃えたアセット。先発で上手く行けば2-3番手を一挙に埋められるKing&Thorpeのコンビに加え、来季18歳でLow-Aに挑戦できるCruzというポテンシャル枠を含めたもの。40manすらKingのみであり、ロスター管理の点でもパドレスにメリット。総年俸を30MM程度削減できる。
【B案】
Juan Soto
↓↑
Clarke Schmidt
Richard Fitts
Spencer Jones
KingもThorpeもHamptonも失わない代わり、Dominguez-Judge-Sotoによって将来ポジションを奪われる可能性の高いJonesをアセットに加えたプラン。Jonesだけでなく、上位2名の投手有望株に埋もれる可能性を考えればFitts放出は割と検討の余地があるのかもしれないですね。
【C案】
Juan Soto
↓↑
Clarke Schmidt
Will Warren
Everson Pereira
NYY側に都合良くマイルドにしたバージョン。実際にはだいたいA案~B案のMIXでまとまるかと思います。恐らくC案で決まっちゃうとパドレスファンは発狂します。
【D案】
Juan Soto
Jake Cronenworth
↓↑
Anthony Rizzo
Michael King
Will Warren
Sotoに加えて2030年まで契約が残るCronenworthと引き換えに残り1年しか契約が残っていないRizzoをアセットに使うパターン。パドレス側としては来季年俸がRizzoの17MM-Cronenworthの7MM=約10MMの負担増となってしまうものの、長期スパンでみれば2025-30年でAAV11.5MM程度をダンプできます。本来であればKing&Warrenで成立しないはずのDealをサラリーダンプを手伝うことで安価にまとめる算段。ただ、Cronenworthに見切りを付けるには些か尚早な気も。
【E案】
Juan Soto
Trent Grisham
↓↑
Clarke Schmidt
Nestor Cortes
Chase Hampton
Everson Pereira
NYYの課題である中堅問題も一緒に解決しちゃおうと画策したトレード。外野手2名の放出ということでPereiraの蓋然性が高まることを視野に入れ、流石にHamptonは必要やろと適当にぶち込んだ案。ただこれをやっちゃうとSDPがセンターに困り、NYYが先発投手に困るというアンハッピーな展開に。Tatis Jr.による反則級の中堅守備は見てみたいけどね。これでも約30MM程度の削減か。パドレス的にも5MM程度でちゃんとWAR稼げるGrishamをわざわざ出す必要はなし。
【F案】
Trent Grisham
↓↑
Clarke Schmidt
Richard Fitts
「Sotoはいらない。」とA. J. Prellerへ踵を返すCashman。百戦錬磨のGMの狙いは最初からGrishamだったのだ。これによりLF-Pereira、CF-Grisham、RF-JudgeというSteamer換算でWAR8.8を叩き出す堅実な外野陣が爆誕。チーム史上28度目となるWS制覇に向けて好ダッシュを決めたのだった……とはならず、Sotoを放出する気のPrellerがGrishamを出すことはなく、Sotoも他球団にスティールされ、RF-Stanton、CF-Judgeのファイヤーフォーメーションで地区最下位に沈むのであった。
Soto獲得によってもたらされるもの
ここまではSoto獲得によって失われるプロスペクトらを中心にまとめてきましたが、それだけの損失を被るだけあって、Juan Sotoという選手がブロンクスにもたらすものは壮大です。
Steamerによる予測WARにおいてJudge(6.2)を上回る選手は僅か2名しかいないわけですが、そのうちの1名がSoto(6.4)となります。2022年後半戦以降、自らの後ろを支える選手が不在であったJudgeにとって、Sotoがキャリア最高の相棒となることは疑いの余地がありません。手っ取り早く1番Torres、2番Judge、3番Sotoという打順を組むことで非常に厄介な打線を形成することができます。(問題はそれ以降の打順なんだよな)
また、気が早いもののエクステンションに成功すればVolpe-Dominguez時代のヤンキースにとっては最高のスラッガーとして君臨することは間違いなく、自慢の傘下投手陣を踏まえれば久しく届いていないWSまでのチケットも夢ではありません。ベテラン感を匂わせているSotoは来季ようやく25歳シーズンを迎えるところであり、これはJudgeが52HRを放って新人王を獲得した時点と同じ年齢。それほどまでに長く戦力として見込めるということになります。
ただし、弊害としてのしかかってしまうのがSotoの守備難でしょうか。今季ですらLFでOAA▲9を計測している彼が、ヤンキーススタジアムの広大なレフトを守れるのかという点です。応急処置的にRF起用するにも、体格的に将来のDHは間違いないJudgeとの共存は積年の課題となりそう。そもそもJudge云々以前にDHを占拠しているGさんをDFAしない限り、ロスタースポットでも渋滞が発生します。
そのため、1年短期でのSotoレンタルというプランも視野に入れる必要はありそうです。それこそDominguezとJones、Pereiraといった候補はいるわけで、Soto獲得時にこの子たちをキープできれば2年後のポジション集めは急務にならなそう。
個人的には、例え1年のみの在籍であっても、彼ほどの逸材がピンストライプに袖を通すという情景に気持ちが昂ぶります。大事な試合でトンネルしなきゃGrishamでもいいけどね。
最後に
現在のロスター的にも先発投手の見通しは明るいと思っているため、山本由伸についてはそこまで執着がありません。Cole-Rodon-山本で1チーム分賄えちゃいますからね。
どちらにせよ、一週間後にどんな記事を自分がアップしているのかがドキドキハラハラです。
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