【NYY】Carlos Rodón獲得【ハル泥棒】
日本時間の12月16日9時55分,サンフランシスコ・ジャイアンツからFAとなっていたCarlos Rodónのヤンキース入りが決まりました。
現時点で判明している契約詳細は6年総額162M(AAV27M)の全球団トレード拒否権付きというもの。本人が事前に要求していた7年200Mという基準については年数&総額&AAVともに下回る結果となりました。
今回のnoteではRodón獲得に係る所感をザックリまとめます。
①ヤンキースの現状
Rodon獲得前のローテーションは①Cole ②Cortes ③Severino ④Montas ⑤German or Schmidt という陣容で,強力であるものの5番手不足であった状態。これはTDLでMontgomeryを放出し,FAとなったTaillonの慰留を試みなかったため。Cortesはリーグトップの成績を残す中,エースのColeや補強の目玉であったMontasは期待外れの成績に終始。Severinoもマウンド上では文句無しでありましたが,いかんせん今季も負傷離脱が付きまといました。
そんな中でオプトアウトとなったCarlos Rodónは,Verlanderに並ぶヤンキースにとっての第一オプションであり,Judge再契約後の熱心なアプローチが実りました。
これによってヤンキースのローテーションはア・リーグだけではなくMLB最高格の先発投手陣に変貌。
という布陣は非常に盤石。OAKのエースMontasが5番手に収まっているのが心強いですね。(ワイは信じとるぞフランキー😤)
因みに,同予測WARではRodónが全体3位,Coleが全体4位に位置しているため,理論値だと球界最強デュオなんすよね。理論値は。
また来季から極端なシフトが禁止となるため,TaillonやMontgomeryのような奪三振能力が平均以下の投手をRodónとMontasに切り替えたのはナイスタイミングかもしれません。(Montasは平均超くらいですが)
(Deivi Garciaとは?????)
②Rodónのカタログスペック
もちろんこれだけの大型契約を結んだからには相応の期待がかかるものですが,Rodónのスペックはそれに応じるに十分なものと言えるでしょう。
今季31試合に登板し,178.0回を投げて14勝 ERA2.88 237奪三振の圧巻たる成績でCY投票6位につけています。2021年のStatsも見栄えは良いですが,個人的にはLOB%やBABIPが不利に傾いたにも関わらず好成績を収めた今季成績のほうが👏。実際にFIPもMLB1位の数字を叩きだしています。
投球割合はマネーピッチである4SF&SLが9割強を占め,奪三振率12.0は今季のMLB最高の数字。特筆すべきはMAX99mph&スピンレート2340rpmのフォーシームであり,同球種のRun Value▲22はVerlanderに次ぐMLB2位の数字となっています。(全球種でみても全体同率5位)
4SFを高めに,SLを低めに集めるStrike out routineを確立しており,急にコマンドを崩さない限りは来季も同等の成績が望めそうです。
1つ面白いデータを見つけたのですが,Rodónは今季12被本塁打を計測していますが,Expected Home Runs by Park によればヤンキースタジアムで全ての登板を行っていれば6本塁打に抑えられていたとのデータも。12本塁打中10本塁打は左方向へ打たれていたことも考慮すれば,レフトの広いヤンキースタジアムとの相性も非常に良さそうですよね。
さて,ここまでポジティブな面について触れてきましたが,Rodónの契約には大きなリスクも伴います。それはこれまでの故障遍歴でしょうか。2018年には上腕二頭筋の張りと左肩滑液包炎で20登板に留まり,2020年は左肘のTJ手術を敢行。順調に見えた昨年も左肩の痛みなどで離脱に泣いています。ここまでの歴史をみると,来季30歳という年齢を考えても残りの6年を大怪我無く乗り越えることは難しいと考えてしまいます。
もちろんSeverino同様にマウンドに立ちさえすればトップパフォーマーなのは自明であり,健康第一で過ごしてほしいと願うばかりですね。
③Rodónとの契約内容とチーム財政
冒頭でも触れたとおり,ヤンキースがRodónと締結したのは6年総額162M(AAV27M)というもの。当初Rodónは6年契約を希望していたようですが,相次ぐ長期契約締結に揺さぶられ7年契約(総額200M程度)を要求し始めます。しかしここで誤算が生じます。
トップランナーであったはずの古巣ジャイアンツがCarlos Correaと13年350Mというメガディールを結んだためにRodón争奪戦から撤退。残るはNYYとSTLでありましたが,STLもRodónとのマネーゲーム撤退を示唆し,現実的な契約先はNYYしか残っていなかったと考えられます。それがこの1年&40M程度の大幅ディスカウントに繋がったというところでしょうか。これぞ「ハル泥棒」ですね🐕。
Rodón獲得の1点で見れば上手に立ち回ったようにみえるNYYも,結局はチーム史上最高額に膨れ上がったPayrollへの対処に見舞われそう。
ここにSeverinoのオプトイン15Mを足すことで210.0Mの大台に到達。その他の年俸調停分など諸々を合わせれば70-80M程度でしょうか?300Mが目の前に見えるほどの総年俸を抱えることになるわけです。近年,オーナーであるHal Steinbrennerが毛嫌いしていた贅沢税の支払額も30M程度発生することになるんでしょうかね。(あと,これを見るとColeとRodónが同年におさらばすることになるんですね。)
昨年夏から考えるとヤンキースは良くも悪くも,後戻りできない所まで来てしまったのだと思います。我々ヤンキースファンに待ち受けるのは天国か,それとも身動き不可のPayroll地獄なのでしょうか。
④総括・所感
コンテンダーの動きとして評価するならRizzo&Judgeを再契約し,Rodónを獲得できたことは100点満点でしょう。残る左翼手補強もTop Tier選手を確保できるのであればヤンキースに久しい超大型&大正義補強の冬到来と言えます。もちろんこれだけ大金を叩くわけですから,引き続き粛々とWS優勝を目指さなくてはなりません。
しかし,アリーグだけに目を向けても今季優勝のHOUやALDSで拮抗したCLEなどはスモール~ミドルな総年俸に抑えつつも,シームレスな若手世代へのバトンタッチに成功。SEAもJ-RODのようなスーパースター候補の若手に大型契約を結んでいるわけで,NYYのように30歳超えの高齢選手にマネーゲームを展開しているチームは僅か。クイーンズを見ても,Verlanderのような高齢選手にはAAVを高めに設定することで不良債権化を防いでいますし,NYYほどのリスクを感じない編成。ふと周りを眺めたとき,時代錯誤なチーム編成に愕然とする瞬間が訪れそうでなりません。
もちろんRodón獲得は喜ばしいことですが,NYYがトッププロスペクトへのバトンタッチに失敗したときの爆弾が1つ増えたとも取れます。我々の絶対命題はAnthony VolpeやOswald Peraza,Austin Wellsらが1人も転けることなく最低年俸でチームを牽引することに他なりません。
最後に
NYY。。左腕獲得。。最強ローテ。。
来年春のローテーションが①Cole②Cortes③German④Brito⑤Trivino(オープナー)とかになってたら感激の涙ながしちゃうわね。。。
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