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魔女ガラ・ダサ(老獪な百姓娘)

■ガラ・ダサ(老獪な百姓娘)
アンダルシア出身。

小農家の娘として生まれる。
ある日、母親から
「学問を知る女は女でない。嫁に行けない。」と言われ、
嫁に行きたくなかったガラは、
学問に希望と救済を感じる様になる。

この地にペロと呼ばれる悪童がいて、
仲間の子供達に盗みを教えたが、
多くの子が食べ物を盗んできたのに対し、
ガラは都会から来た商人や名家から書物ばかりを盗み、
ペロから、その異様なまでの知識欲を気に入られ、
以降、二人は悪友関係になる。

その後、ペロの協力もあって、
数多くの書物を手に入れる事に成功するが、
行き過ぎた窃盗行為によって悪事がばれ、ある日、ペロが捕まる。
他者の犠牲、代償によって、自分が偉大な知恵を得た事に
世界の仕組みを知ったと感じた彼女は、
さらに貪欲に、用心深く知恵を求める様になる。
こうして、無知のふりをしながら大量の知識を貯め込み、
文学、政治だけでなく、
まじない、妖術にまで手を出した彼女は、
農夫の妻として暮らしながら、
密かに妖術の世界に足を踏み入れる事になる。

帰る女2色

だが、[ボルシェビキの三年]に、夫が共産主義にハマり、
家の扉に[レーニン万歳]と書いた頭の悪さを
「政治の仕組みよりも、
夫婦の財産分与の仕組みを何とかしろよ」
と大笑いしてしまい、結果、憤慨した夫にガラは殺されてしまう。

夫は彼女の死体を秘密裡に肥溜めに埋めたが、
知性(高潔)で穢れた者を、糞尿(下劣)で穢れた場所に埋めた為、
悪霊が憐れんで彼女を生き返した。

しかし、それ以降、彼女は人間社会で帰る場所を失い、
「永遠の仲間外れ」という呪いを背負う魔女となる。

「女は知性を得、真実を知る事で人でなくなるのなら、
生きた家畜になるよりも、賢者の死体の方がマシだ」と、
彼女は自らを[死者]と名乗り、国中の墓地を転々と彷徨う。

その知性ゆえに、彼女は魔女仲間からは、
「老獪な百姓娘」と呼ばれる。
しかし、彼女は膨大な知識を持っていても、
その知識を生かす事は出来ない。
社会は死者の知識を認めない為、
彼女の知識は永遠に彼女だけのものとなる。


スペイン・オペラ楽団「墓の魚」
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