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スパチャの取り分を求めてみたくなった

※この記事は前置きに一部配信のネタバレを含みます。


皆さんは先日8/10の21:00から行われた、バーチャル史に深くその存在を刻むこととなったであろうライブ配信をご覧になっただろうか。

配信者の名前は加賀美ハヤト。にじさんじ所属バーチャルライバー兼加賀美インダストリアル代表取締役。同期2人を合わせた3人からなるユニットSMC(すめし)組の一人で、よく社長と呼ばれている。

その配信はトラッキングを用いたフルバンドライブという“日本初、下手したら世界初”の試みであり、彼の歌唱、バンドの演奏は多くの人々を魅了した。中盤で行われたデュエルでは“超大型ゲスト”ボルメテウスホワイトドラゴンが登場し、葛葉が喰われた。結果、同時接続数は13万を超え、配信タグはTwitterの世界トレンド1位に躍り出るという快挙を成し遂げたのだった。ちなみにボルホワさんもトレンド入ってた。


そして翌日。トレンドには“スパチャ1000万”というワードが上がっていた。彼のライブ配信に寄せられたスーパーチャットの額が、1000万を超えたというのだ。

実際、彼のライブはそれほど価値のあるものだった。リスナーからの“チケット代”や“ドリンク代”は絶えず届けられ、一時はメッセージよりもスパチャの方が多いのでは?と感じるほど、リスナーからの想いがチャットに溢れていた。

配信の最中、彼は「(皆さまから)頂いた分をこのような光景に還元させていただきました」と語り、その光景を実現するにあたりかかった金額について「具体的には伏せますが…」と前置きしながら、「7桁」と表現していた。これについて、Twitterでは「7桁の還元に8桁のスパチャ」などとその循環ぶりを話題にするツイートが多く見られた。

しかし、スパチャが配信者のもとに全額払われないことは皆さんもご存知のことだと思う。スパチャの内訳についてのツイート(下記参照)を見た自分は、どういう計算で取り分を求められるのだろう?と気になり、考えてみた。この記事はその過程と結果である。(前置きが長すぎて申し訳ない)


<前提>

App StoreのYouTubeアプリからスパチャを送った場合と、それ以外の場合とでは差し引かれる手数料の額が異なる。

例えば、WebブラウザやAndroidスマホなどからスパチャを1000円送った場合、Googleに手数料として300円=30%が支払われる。対して、YouTubeアプリから1220円送った場合、Googleへの手数料に加えてAppleにも手数料として220円≒18%が支払われる。すなわち、実のところYouTubeアプリから送った方が、配信者に金銭を送るにあたっては非合理的ということである。

ちなみに、消費税などによりさらに差し引かれるため、実際の取り分は手数料を差し引いた分よりも少々少なくなるが、情報を得られていないのでここでは考慮しない。

以上の情報は、渋谷ハルさんのnoteマキオさんのツイートをもとにして簡単にまとめたものであり、厳密なものではないことをご了承いただきたい。

<いざ、計算へ>

正直言って計算自体は小学生でもできるようなものであり、記事にする意味があったのか自分でもよくわかっていない。頭の良い方にしてみればなんだこのアホな説明といったところであろう。補足が細かすぎる部分は引用表示してあるので、なくてもおわかりいただける方は飛ばしてもろて。


<前提>に書いた情報を、表にまとめる。

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()内は各列での金額の比を最も簡単な整数で表したものである。

例えばWebブラウザ等から24340円送れば、取り分は24340:x=10:7より17038円となる。

だが今回求めたいのは、スパチャ総額に対する取り分の割合である。それを求めるには、スパチャ総額に対するWebブラウザ等から送られたスパチャの金額の割合と、スパチャ総額に対するYouTubeアプリから送られたスパチャの金額の割合が必要不可欠である。非常に長ったらしいので、Webブラウザ等から送られたスパチャの金額をA, YouTubeアプリから送られたスパチャの金額をBということにする。AとBの和はスパチャ総額になる。

とはいえ、スパチャ総額に対するA, Bの割合など知る由もないので、とりあえずはAもBもどちらもスパチャ総額の半分であるとする。つまりA=Bであるから、全体つまり分母が等しくなるように通分され、表は以下のようになる。

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ここで、スパチャ総額の全体、すなわち分母は610+610=1220となり、取り分、すなわち分子は427+350=777となる。

つまり、A=Bである場合、スパチャ総額に対する取り分の割合は777/1220≒63.69%ということである。

これは{(Aにおける取り分)+(Bにおける取り分}/{(Aの全体)+(Bの全体)}という式で表すことができるが、当然ながら(Aの全体)と(Bの全体)を等しくしなければ、各割合がそれぞれ等しくとも式の値は誤ったものになる。(下画像左半分参照)掛け算だったら約分で式の値も等しくなるのにね。
また、この足し算は通分ののち分母同士も足しているため、一般的な分数の足し算とは異なる。(下画像右上参照)

分子同士、分母同士を足すという点に関して、円グラフで表すととても理解しやすいと思われる。(下画像右下参照)

スパチャ_補足


では、A≠Bである場合はどうだろうか。例えば、Aがスパチャ総額の2/3で、Bがスパチャ総額の1/3、つまりA:B=2:1である場合。

Aの全体は2倍になり、取り分や手数料ももちろん2倍になる。それに伴い、スパチャ総額の全体もAが増えただけ増え、取り分や手数料もAが増えただけ増える。

ここで注意したいのが、スパチャ総額自体は増えていないということ。N/2+N/2=2N/2であったのが2N/3+N/3=3N/3になっただけであり、スパチャ総額はNで一定である。(A+B=スパチャ総額ということを述べている。取り分の話ではないため注意)
ただしA自体は一定のスパチャ総額に対する割合が増えているため、その額も当然増えている。

よって、A:B=2:1である場合、スパチャ総額の全体は610×2+610=1830、取り分は427×2+350=1204となり、スパチャ総額に対する取り分の割合は1204/1830≒65.79%だとわかる。

A=B、すなわちA:B=1:1のときに約63.69%だったことを考えると、スパチャ総額に対するAの割合が多いほど、配信者側に多く取り分が行くことがおわかりいただけるだろう。(AはWebブラウザ等から送られたスパチャの金額のことですね)

ちなみにこれをグラフで表すと、以下のようになる。正方形全体はスパチャ総額を表している。先ほどの円グラフと同じ要領で考えるとわかりやすいはず。(こんなグラフあるのかな)

スパチャ_グラフ


長々と書きましたが、これまでの計算を基に式を一般化してみたいと思います。

Webブラウザ等から送られたスパチャの金額をA, YouTubeアプリから送られたスパチャの金額をBとし、スパチャ総額に対するA, Bの割合をそれぞれx, yとする。

このとき、Aの全体に対する取り分の割合は427x/610x, Bの全体に対する取り分の割合は350y/610yであるから、スパチャ総額の全体に対する取り分の割合は(427x+350y)/(610x+610y)=(427x+350y)/610(x+y)である。

これにスパチャ総額をかければ、取り分が求められる。

x, yが互いに素じゃなくても(最も簡単な整数比で表されてなくても)いいの?と思うかもしれませんが、互いに素じゃない場合、公約数が分子と分母の両方に出てきて約分されるだけなので大丈夫です。例えば、定数m, nを用いてx=2m, y=2nとすると、(427×2m+350×2n)/610(2m+2n)=2×(427m+350n)/2×610(m+n)=(427m+350n)/610(m+n)となります。この式はx, yに代入される値が最初からm, nであった場合の式と等しいですね。

公式みたいにするとこんな感じ。スパチャ総額に対するA, Bそれぞれの割合の比はAとBの比と等しいので。(例:スパチャ総額=20万, A=12万, B=8万のとき60%:40%=3:2)

式

とは書いたものの、上でも述べた通りやっぱり媒体ごとのスパチャ額の割合なんて知る由もないと思うんで、普通はx=yとして計算してしまって良いと思います。そんな大きく値変わらないし。

ちなみにですがついでに自作式公開しました。むしろ自作式のついでのnote投稿なのかもしれませんが。良かったらどうぞ。

<結果>

ということで今回の目的。先日の配信ではどれくらい社長側に届いたのか?というところですが、10269624×777/1220≒6540572より、約650万届いた計算になります。

求められて良かったです。

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