見出し画像

【小説】漢字小説『愛(マナ)』最終話『愛(マナ)』読了時間15分

最終話『愛(マナ)』

 一か月後の十月中旬。「cana愛合同会議」がcanaのアジトで催された。

 場所は「さいたま新都心」にオープンしたばかりの高級ホテルだった。

 黒や茶、紺や深緑などシックな色調の絨毯が敷かれている。シャンデリアが燦然と室内を琥珀色に照らしていた。

 紅茶と、ちょっとしたケーキが各席に置かれていた。

 暖房もついているが窓はない。外から会議をみられるとまずいため、窓のない部屋に案内されたようだ。いまから日本の未来がガラリと一変する日本語の今後を決める「極秘の会議」を執行するのだ。

「canaのみなさま、そして、愛のみなさま。このたびは忙しいなか、足をお運びいただき誠にありがとうございます。私、司会を務めさせていただきます。『アルティメット』と申します」

 司会までいるみたいだ。マイクを手に長髪の女性がステージに立って進行している。

「それではまず、canaの現段階の案をプレゼン致します」

 アルティメットが言うとおり、まずcanaのプレゼンからはじまった。

 Aリーダーが起立してマイクを手にステージへ上がる。プロジェクターが壁に投影したのは「新仮名コンクール案」と記された画面だった。

ここから先は

4,777字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?