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我が家のEvaluation体験記#2 by あつこ

前回は息子君のEvaluationが、始まったところまで書いたのでしたね。Evaluationが始まってからも、盛り沢山というか、右往左往したというか、色々と印象に残る出来事がたくさんありました。

このプロセスは、できるだけ、わかりやすいように書こうと心がけてはいるのですが、いわゆる専門用語も使わざるを得ない事が時々あります。もし、「早くEvaluationが必要なのに、何が何だかさっぱり分からない!」ようでしたら、ぜひニューヨークこどもサポート(kodomo.nyc@gmail.com)までお問い合わせください。また用語については、私の過去のブログエントリーでもなるべく説明するようにしているので、そちらも参照していただければ嬉しいです。

さて、

我が家のEvaluationの最初のプロセスはCPSEオフィスで行われた、Social Workerからの聞き取りで始まりました。(CPSEは3〜5歳児のSpecial Edのサービスを手配するDOEの部署です。)

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1)Social Workerの聞き取りの後は、それぞれ 2)Psychologist、 3)Physical Therapist、4)Occupational Therapist、5)Speach TherapistのEvaluationが行われました。

こどもサポートの先輩ママから、(サービスが要らなくなったら辞退するのはさほど難しくないが、追加してもらうのはだんだん難しくなってゆくので、最初にできるだけ多くのサービスを獲得してしまった方が良い)と伺い、私もできるだけ多くのサービスを提供してもらう意気込みで準備をしました。

具体的には、普段困っている問題行動については、伝わる様にできるだけ強調し、息子の良いところはあまり話題に出さない、というのが私達のプランでした。「なんだったら、息子が極悪な様子を見てもらえたら、こっちのものだね、ウッシッシ。」くらいの心づもりでした。

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最初の聞き取りに続き、Psychology EvaluationもCPSEのオフィスで行われました。School Districtによって場所が異なるCPSEのオフィスですが、このCPSEオフィスは全体的に殺風景な上に古い。バックトゥー・ザ・フューチャーしちゃったのかと思うほど古く、しかもこの日は地下に連れて行かれたので、蛍光灯はついてはいるものの、雰囲気が暗い!ドヨヨ〜ン。

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PsychologistのEvaluationには通訳エージェンシーから派遣された日本人女性の通訳者が同席することになり、息子君はPsychologistと通訳者に連れられて、廊下を隔てた別室に入って行きました。ほとんど人見知りをしない息子君は、初対面の大人2人に対しても、特に抵抗することもありませんでしたが、私と夫はドキドキしています。

息子君がEvaluationを受けるあいだ、私と夫は会議用テーブルと椅子が5つほど置かれた、窓のない部屋で待つように言われ、待機中に記入すべきフォームを渡されました。フォームには、子供の普段の様子についての質問が、箇条書きでズラリと並び、全ての項目を5段階(?)評価で答える、というようなものだったと思います。2、3枚ありました。

息子君が、別室に入る様子を見届けてから、私たちは廊下を挟んで向かいの部屋へ入り、そこでフォームの記入を始めました。

でも、自分の子供について一貫してネガティブに答えるのって、なかなか難しいものですね。私も日本人ですし、息子君のことはよく謙遜もするのです。それでもやはり、よそ様には可愛がっていただきたいなぁと思うからでしょうか・・・(困ったところを最大限に知ってもらおう)と意気込んで記入しているフォームも、気をつけていないとポジティブな面ばかり強調しようとしていました。それを夫婦で修正し合いしながら記入します。

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そんな私たちの耳に、別室にいる息子君の声が聞こえてきました。廊下とドア二つを隔てているのに、はっきり聞こえるほどの大声で、息子君はひたすら「No, No, Noooooo!」と何かを拒んでいるのです。Phychologistの声も通訳者の声も全く聞こえないのに・・・。

私と夫は変な汗をかきましたが(息子の最も難しいところを、できるだけ見てもらって、より多くのサービスを受けさせてもらおう)と話し合っていたのだから「一応これで計画通りなんじゃないかな」とお互いに言い聞かせました。

しかし、10分ほど経ってから出てきたPsychologistの言葉を聞いて、私たち夫婦は驚かされることになります。

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Psychologistの手元にあるバインダーには、Evaluationの判断基準となるチェックリストが挟まれていますが、空欄が目立ちます。息子君がひたすら協力を拒んだために、テストらしいことは何一つできず、ほとんど記入できなかったそうです。Psychologistは夫と私で記入したフォームにも一通り目を通し、私たちの話を手短に聞いた後、息子君のことを「Autismだ」と言いました。

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当時の私たちは、発達障害やNeurodiversityについての知識もほとんど持ちあわせてなかったし、Evaluationのややこしい事情などにも、全くと言っていいほど通じていなかったので、この「Autism/自閉症」という言葉を聞いて心底びっくりしました。(この人何を言ってるのかしらん?)と思いながらPsychologistの説明を聞いていました。

というのも、息子はとても社交的で、英語でも日本語でもよくお喋りをし、人見知りもほとんどせず、ニコニコと色々な人に寄っていく性格なので、「自らを閉じる」という文字で表記される自閉症・Autismとはかけ離れた所にいる子供のように思っていたからです。Evaluationを始めてからも、Autismではないか、という可能性については考えたことがありませんでした。

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ただし今から考えると、この当時の私は、明らかに認識不足でした。社交的でおしゃべりで人見知りをしないというだけの理由で「Autismでない」と判断することはできないからです。言い換えれば、上記の様な特徴を持ちつつ、ASD(Autism Spectrum Disorderの略。いわゆる自閉症)であると言う可能性もありうるから、ということです。

しかしこの後、我が息子君は、二つの別々の病院で、発達障害などを診る専門家2人に、個別に診ていただき、Autismではないと診断されています。最初に見ていただいた専門医は100% Autismではないとまで言い切りました。

それではなぜCPSEのPsychologistは、息子君はAutismだと言ったのか?

その秘密はこのAutismという言葉が、DOEと専門医では、全く異なる文脈で使われている、という点にあります。

この点に関しては、よく混乱を招く点なので、ぜひ解説をしたいのですが、いかんせん・・・今日はここで、晩ご飯の支度をする時間になってしまいました。

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今日で「我が家のEvaluation体験記」は完結にするつもりだったのですが、書けば書くほど書きたいことを思い出してしまうのです。あの頃の私は全然知らなかったけれど、知ってさえいたら気が楽だったのになぁとか、役に立ったのになぁと思う事柄を、次々に思い出してしまうのです。たいへん申し訳ないのですが、しばらくは、この話題にお付き合いいただくことになりそうです。

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でも、「こんな引っ張るブログ付き合いきれん!私は今すぐ情報が必要なんだ!」と言う方がおられましたら、お手数ですが、ちゃぶ台をひっくり返す前に、是非kodomo.nyc@gmail.comまでご連絡いただければ、と思います。お手伝いできることもあるかもしれませんから。

それでは皆さん、今日も長々とお付き合いいただきありがとうございました。今週後半から暑くなる様ですが、お体に気をつけてお過ごしください。

次回まで、ごきげんよう〜。

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