見出し画像

そんなに捻くれてない

変わってるねって言われると、なんだか自分が特別みたいで子供の頃は嬉しかった。
だけどそれが良い意味じゃないって気づいてから、普通になりたくて仕方なかった。

大人になっても結局言われる、お前はやばい奴だって。
「自分のこと普通だと思ってるのが怖い」とか
「お前が相変わらずぶっ飛んでて安心したよ」とか12月にも言われたばかりだ。

…で、よくよく考えてみて、
私ってめちゃくちゃ普通の人間じゃんってやっぱり思う。

『花束みたいな恋をした』を観た。
いわゆるサブカル男女が出会って惹かれ合う物語。
それを観て思った。

私はこんなに捻くれてない!

いや、性格は捻くれてるかもしれないけど、
なんていうかその、全然サブカル人間っぽくない!

高校生の頃だか、バンドシーンにおいて「ロキノン系」という言葉が全盛期の時、
「サブカル人間」はバカにされる対象になりつつあった。

生粋の2ちゃんねらーだった私はまんまとそれに影響されて、
口には出さないものの、やはり心のどこかでサブカル人間を小馬鹿にしていた。

だけど大学生になって、軽音楽部に入って、
そこはサブカル人間の巣窟だった。
サブカル人間こそモテて、サブカル人間こそ崇まれて、サブカル人間が正義だった。

ええ〜いいな〜
いいな〜〜〜〜〜

嫌味に聞こえたらごめん、でも本気でそう思うんだ。

当時こそ私はメンヘラだとか言われたけど、
実際、家庭環境は全く悪くなく、両親とも大の仲良し。
裕福な家庭ではなかったけれどお金に困ったことはなく、それで何かを諦めたこともなく、自由に生きてきた。

特別頭が悪かったわけでもないし、特別頭が良かったわけでもない。

しかも厄介なことに、当時あったガソリンスタンドが企画してた絵本のコンテストに応募したら採用されたり、
小学校の美術の授業で描いた絵がこの間亡くなった海部俊樹元首相に文科大臣特別賞をもらったりと、
非凡過ぎるというわけでもなかった。

銀杏BOYZの世界観みたいな恋愛経験の全くない童貞がちやほやされてたけど、大学生になるまでそこまで恋愛経験がなかったかといえばそうでもなく、
クリープハイプの世界観みたいな(尾崎世界観のことじゃないよ)誰でも良いから抱いて寂しさを埋めて欲しいとか風俗で働くとかそこまでぶっ飛ぶこともなく、
それなりに告白されて、それなりに告白して、それなりに恋人ができて、とにかく普通だった。

そして孤独かといえばそうでもなく、保育園の頃からの幼馴染とは今でも仲が良く、
大学で大切な女友達もできたし、今でも定期的に飲み会をする先輩もできたし、何でも相談できる男友達もできた。

そう、とにかく普通過ぎる。

全くサブカル人間じゃない。

まだまだ続く。
椎名林檎を聴く女はメンヘラだと言われてたけど、
椎名林檎なんてお父さんが聴いてた影響でたぶん保育園くらいからもう聴いててそんな特別な存在ではなかったし、
っていうかそもそも、音楽との劇的な出会いが全くない!

歳の離れたお兄ちゃんが音楽好きで部屋からCD借りパクしててとか、
学校でいじめられてて音楽しか逃げ場がなくてとか、
当時大好きだった告白もできなかった女の子に唯一CDを借りてとか、
そういう音楽人間らしいエピソードが一つもない。

ただ両親がTSUTAYAに通うのが趣味で、
当時よくやってた10枚で1000円のレンタルキャンペーンの余った枠をもらって一人で適当にジャケ借りしては発掘してただけ。

そして、サブカル系音楽人間の中にも派閥(?ジャンル?)がある。
生粋のUKロック好きとかボカロ信者とか邦ロックキッズとか。
そしてそれらはなんとな〜く敵対し合っていて、
口では「音楽はどんなジャンルもいいよね」とか言うものの、
決して他のジャンルを開拓しようとはしない。
すぐ、「ダサい」とか「ロックじゃない」とか言い出すし、
それに対して「J-POPって逆にいいよね」とか言う年頃もあるんだけど、
そこで言われるJ-POPって何故だか松任谷由実とか宇多田ヒカルとかで、
浜崎あゆみ大好きです!とか倖田來未好きです!みたいな人に出会ったことない。

いや、私、人生で初めて行ったライブ、浜崎あゆみですけど?
当時シングルもベストも全部持ってて、今でもたぶん一定の時期までの曲なら全部歌えますけど?

んで、もっと倦厭されるのがHIP-HOPとかK-POPとかチルミュージックとか、いわゆる最近TikTokで学生に人気のジャンル。

いや、めちゃくちゃ聴きますけど???
2PMカッコいいな〜って思いながら高校生活を過ごして、今でも普通に全然詳しくないBTSのMV観ては「ジョングクカッコいい付き合いてえ〜」って思ってるし、
たぶんTWICEもシングルならどれも歌えるし(いや韓国語だから歌えないんだけど)、NIZIUのオーディション番組全部観て感動したり、Red VelvetのMVいいな〜とかIVEの レイちゃん可愛いな〜ってライブ映像観ながらバスタイム楽しんだり。

ってか何なら大学生の頃はラッパー本気で追っかけしてたり、去年もMCバトル観に行ったり…

で、何が言いたいかって、
別に、「私はいろんな音楽聴いてて、詳しくて凄いでしょ!」とかそんなこと言いたいわけじゃ全くないんだよ。
でもこうやって書いておかないと、音楽の話って何故かそれを指摘してくる人が一定数いるでしょ?

違うのよ、
とにかく普通なのよ私…

サブカル人間でもなければ、サブカル人間じゃないわけでもない。

そうか、これを中途半端って言うのか…

なんかこうもっと…

そんなのなんだっていいじゃん、って言われたらその通りなんだけど…
ただ私は、羨ましいだけ…

スクールカーストなんて言葉があるけど、
オタクたちは自分たちのことをその中で最下層だと言う。
けれど私からしたら、オタクはオタクだけでそれはまた楽しそうだと思う。
自分たちが好きなものでコミュニティを形成していて、
確かにそれはメインカルチャーではないかもしれないし、
カースト上位の趣味ではないかもしれないけど、
それはそれで素敵なことだと思う。

YouTuberのFischer’sが自分たちのことを「一軍と二軍を行き来できる『第三勢力』だった」と発言して、それがイタイと炎上してたこともあったが、
それで言うならば私は戦力外。
一軍にも二軍にも属することができず、しかも需要もない。
どちらかに片足突っ込むには中途半端過ぎて、「なんか違う」って言われる。

そもそもギターすらそんな運命的な始まり方はしてない。
小学生の頃になんか弾いてみたいと思って、気づいたらスクールに通わせてもらってて、ただ一人で趣味で続けてきて…
大学デビューで才能開花したとか音楽一家生まれで天才だったとか音楽で食べていきたいとかもない。
ただ常に隣にあって、今もある、それだけ…

音楽に限った話じゃない。
やりらふぃー系の人たちも、オタクも、量産型黒髪マッシュも、流行りの韓国系センターパートもみんなカッコいいと思いながら街を歩いてるし、
大人系のファッションをしたい時もあれば、地雷系女子になりたい時もあって、それでも生まれの青文字系がやっぱり王道で、仕事に行く時は韓国系なんか狙ったりして。

そうか、やっぱり中途半端なんだ私…

なんかめちゃくちゃに書き殴っちゃったけど、
何かに突き抜けてるキャラの人っていいなって思う、
違うジャンルの人たちになんて言われようと特定のコミュニティに属せる人っていいやと思う。

っていう…

で、そういう人、誰かいないかな〜
いや、いるわけないよな〜って思ったら、
そうか、やっぱり田口だった。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

524,764件

#眠れない夜に

69,118件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?