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元湯夏油

秋。紅葉が始まる少し前、みちのく秘湯の横綱『元湯夏油』へ行ってきた。

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夏油温泉(げとうおんせん)はJR北上駅から西へ約30㌔、北上川の支流である夏油川を最上流部までさかのぼった標高610㍍の山中にある。
平家落人の末裔でマタギの高橋四郎左ェ門が傷ついた白猿を追ったところ、湯で傷を癒していたとの「白猿伝説」がある。夏油山中には、駒ヶ岳、五百羅漢、仏石、お坪の松など慈覚大師にまつわる伝説が多く、夏油温泉も856年(斉衡3年)に慈覚大師により発見されたとの説もある。
かつては北上からたどり着くのに一日がかりで、途中まで営林署のトロッコを使い、その終点から徒歩二時間という秘境であった。1968年にトロッコが廃止されて漸く車の通行できる道が通じるようになったが、冬は通行止めとなり雪に閉ざされる。営業は5月中旬~11月初旬。
三軒の温泉宿があるが、「元湯夏油」(もとゆげとう)がロケーション、湯の質・量、規模のいずれも他を圧倒している。元湯夏油には五つの露天風呂がある。いずれも湯船そのものが源泉である。二つある内湯もそれぞれ独自源泉を直接引いている。湯遣いの贅沢さがここにはある。 

[走行データ]
ルート 北上駅→夏油温泉→北上駅
距離 63.2 km (往復)
最大標高差 550 m
平均斜度 全体0% 上り4% 下り3.7%
獲得標高 上り757 m 下り747 m

快晴だ。北上駅から夏油川沿いに上っていく。青空の下、黄色に色づいた稲穂が美しい。

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どんどん高度を増していく。

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スキー場を過ぎると道が急に狭くなり、周囲も山深くなってきた。

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着いた。「ゲトウ」という不思議な名の由来はアイヌ語の「グット・オ」(崖のあるところ)であり、その後、冬は豪雪のため利用できなくなるところから「夏湯」(げとう)と言われ、お湯が夏の日差しでユラユラと油のように見えたので、後に「湯」が「油」になったと伝えられる。

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元湯夏油は7つの源泉を持つ。いずれも豊富な湯量であるが、自然に湧き出すに任せて温度調節など一切していないという。受付を済ませる。「すべて自然のまま。大湯が熱すぎて入れない。また川の対岸にある女の湯(めのゆ)は橋が流されて入れない。」などの説明があった。成る程ワイルドである。

早速、川原にある足元湧出の名湯へ。この先に有名な『大湯』がある。

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数十段の階段を降りると・・・。

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す、すばらしい、素晴らしすぎる。 かつて行ったザイオン国立公園のナローズに似ている・・・。

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ご参考:The Narrows - Zion National Park (U.S. National Park Service)  (外部リンク)

夏油温泉の象徴たる『大湯』はここにある。熱くて入れないとの話だったが心頭滅却すれば火もまた涼し。入って進ぜようではないか。

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(続く)


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