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湯俣温泉

秘湯マニア垂涎の『湯俣温泉』はご存じですか。あまり知られていないダム湖の奥にある秘湯だ。信濃大町が最寄り駅となる。

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湯俣温泉は標高1,534メートル。2,000メートル級の高峰に囲まれた秘境にある。

湯俣温泉は秘湯好きの方々の間で『究極の秘湯』として知られる。その理由の一つはアクセスの困難さにあるだろう。「歩いて往復6時間以上、歩く以外にアクセス方法無し」である。自転車は途中のトンネル通過が管理者により禁じられているので、事実上、進入不能である。ネット上で「自転車で行った」という報告がほぼない有名秘湯といったら、湯俣以外では険しい山岳路をいかなくてはならない白馬鑓温泉や高天原温泉くらいしか思いつかない。

しかしである。この秘湯をぐっと身近なものとする方法を思いついた。

七倉にあるトンネル入口には『七倉登山相談所』とダム管理者である東京電力の監視小屋がある。

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許可車輌のみが七倉からトンネルを2本抜けて高瀬ダム堰堤までの出入りが可能である。自家用車のみならず自転車も通行止めだ。但し登山者がトンネルを歩行して高瀬ダムまで行くことは認められている。これには、きちんとした理由がある。高瀬ダムは堆積土砂の問題があって、ダンプカーで大量の土砂を運びださなければダムが機能しなくなる。土砂運搬用ダンプがこのトンネルをひっきりなしに通過するため、段差を設けた幅1メートル弱の狭い歩道を歩くことができる登山者以外の入坑を禁じているのだ。

というわけで、トンネルの先の高瀬ダム 堰堤の上にたどりつくには、徒歩か許可タクシーを利用するの二通りしかない。が、ブロンプトンの携帯性というアドバンテージを活かして、折り畳んだブロンプトンを許可タクシーでトンネルの向こう側に持って行ってしまうことは可能だ。徒歩で往復6時間以上といわれるアクセス時間を大幅に短縮できるだろう。ダム管理者にも不都合はなかろう。大町駅からタクシーでダムの上にあっという間に着いた。

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早朝6時半というのに、ダム上には登山者がひっきりなしにタクシーと徒歩で到着中である。

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秘境のダム湖は美しい。槍ヶ岳の山頂だけがちょこっと見えているのに気付いた方は、相当なヤマ通である。

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めざす湯俣温泉晴嵐荘は、ここ、高瀬ダム堰堤から約10キロの地点にあり、標高差は244メートルもある。4.5キロ地点で林道が途切れ、そこから先は登山道となる。

暫く走行して、ふり返ると北アルプスの雄大な景色だ。不動岳、船窪岳、さらに遠くに針ノ木岳、そして右手に七倉岳が見える。

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ダムの建設と保守のためにつくられた三つのトンネルをくぐっていく。

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ダムから約6キロ地点、名無避難小屋に到着した。当初はここにブロンプトンをデポして、そこからは徒歩でと考えていたが、タクシーの運転手さんの「名無から先も結構平坦なところが多いから自転車でも大丈夫なのではないか」との言葉に従って、晴嵐荘までブロで行くこととした。

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確かに平坦な走行可能箇所が大部分だが、ブロンプトンで来たことを一瞬後悔する担ぎ必須の箇所も多数あった。

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それにしても川の水は感動的に清冽だ。しかしまだ見えてこない。

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見えてきた!

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(続く)