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トキさんの思い出

不惑を過ぎたあたりから、冠婚葬祭の後半2文字に直面することが如実に増えます。

自分の成長とともにいろんな出会いも増える分、いや、結果としてそれ以上に別れが多く思えてしまうのも、己の加齢に伴う心情面での変化かもしれません。

トキさんは、オレが飲み屋のカウンターのとまり木を定席にした時の最初のバーテンダーです。

青森出身で、女性と酒をこよなく愛す飾らない人柄。

オレのキープしたバーボンボトルの毎回3分の1は彼の胃の中に消えていたような気もします。

後に独立して丸ノ内線の南阿佐ヶ谷にカウンターメインの自分の店を出し、毎年大晦日にはノッペ汁を大量に仕込み、古くからの馴染み、特に若者たちをメインで呼び集め振る舞っていました。まるで、そこだけ津軽の大晦日の雰囲気でした。

そんなトキさんに教わった映画が末尾リンクの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。

トキさん自身は加藤和彦好きでしたが、昭和の洋楽全般も好んでいました。

店でこの映画をご自身の解説付きで見せられた時、オレはキューバ音楽自体には特段思い入れはなかったのですが、監督がヴェンダースだし、音楽監督はライ・クーダーだしと、オレの痛いところを突かれまくり。ラストのカーネギーホールのシーンはたまらないです。基本はドキュメンタリーなんですがね。おそろしくドラマチックです。
反米を貫き、何もかも60年代で止まったかのようなキューバの風景も、ハイテク文明がなくてもどこか豊かな精神性を感じて不思議な感銘を受けました。

クリスマスや年末になると、この映画を観ながら昔みたいにラムかバーボンを傾けたくなります。トキさんが鬼籍に入ってからも、すでに十年以上。

そちらにまだオレの席はありますか?

きっと先に行かれた多くの人ばかりですし詰めでしょうが、できればその末席でまたバカ話しながら飲ませてください。

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』がミュージカルに - amassライ・クーダーがキューバ音楽界の古老たちと作りあげたアルバム『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』。この作品にインスパイアされた新しいオフ・ブロードウェイ・ミュージカル作品がマンハッタンで上演されています。これにあわせて米紙がミュージカル版を特集 

amass.jp


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