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絵本の中のティータイム。幼い頃のノスタルジックな思い出。

幼少の頃の懐かしい思い出は、誰にでも心の中に持ち合わせていることでしょう。
その思い出はすぐに引き出せるものもあれば、引き出しの奥の方にしまい込んであってしばらく忘れ去られているものまで。
そんな思い出がある出来事をきっかけにひょいと顔出す瞬間があります。ああ、そうだった。私はこれに夢中になっていたんだ。
その感情は新しい出会いのように新鮮でどこか懐かしく嬉しくなるものです。

先日見た英国の映画・2019年制作の”エセルとアーネスト”がとても面白かったので調べてみることに。
作者レイモンド・ブリッグスの若き日の両親の出会いからありふれた日常と激動の時代を描いたこの作品はノスタルジックな雰囲気でどこか懐かしい印象を持ちました。ヴィクトリア時代に生まれた両親の物語は1928年の第二次世界大戦前のアールデコの時代から始まります。エセルとアーネストの新婚の住まいはヴィクトリア時代の建物で、薪コンロのついたキッチンは古いけれどリビングについている電球やバスルーム、トイレ・フレンチ窓とその当時の最新システムに喜ぶふたり。何もない暮らしに時が進むにつれベットルームにマホガニー製のベットやキッチンに念願のガスレンジや水切り台、リヴィングにはカップボードにソファやカウチなど買いそろえて部屋が完成していく様はとてもほほえましく思えこちらもなんだか嬉しくなります。そして時はさらに進み1940年代の戦争の時代を乗り越え、1970年代の戦後経済発展のおかげで人々の日常が豊かになり人も文化も時代の流れで変化していきエセルとアーネストの物語は終わります。
物語の中に幼きレイモンドの姿がでてきます。絵が好きだった彼が作家として賞を受賞するところがあり、何の本を書いた作家さんなのかとても気になり調べてみることにしました。

1973年ケイトグリーナウェイ賞 ”さむがりやのサンタ”

びっくりしました。それは幼き頃大好きだった絵本の作者さんだったのです。
小さい頃は誰が書いたのかなど気にせず読んでいましたから今まで気が付かなったのです。
思い起こせばあのサンタの家はエセルとアーネストの家の中そっくりなんです。
サンタがくつろいでいるソファや紅茶をいれているキッチン、食事をしているリビングなど、共通点がいっぱいです。
エセルとアーネストの家がどこか懐かしく思えたのは小さい頃読んだ絵本の影響だったのでしょう。
作者レイモンド自身も自分の生まれ育った家に幼少の頃の思い出がたくさん詰まっていて絵本の世界に登場させたのかもしれませんね。

英国の建物やインテリア、食卓に魅せられてしまう理由のひとつは小さい頃、何度も何度も繰り返し読んだ絵本の中に憧れがあったのかもしれません。自分の引き出しの奥底に眠っていた思い出が掘り起こされた懐かしくも新しい発見でした。

Brocante307では絵本の中や映画の中でみるどこか懐かしく新しい発見をこれからもお届けしていけたらと思っております。


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#絵本の中のティータイム


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