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[#2020年読んでよかったnote]社会人1年目のこの気持ちを、忘れたくない

#2020年読んでよかったnote



読んでいてこんなに自分とシンクロした記事は、今までなかった。

そして、この記事は、見知らぬ土地で、はじめての一人暮らし、心細く感じていた私を励ましてくれた。


このnoteに出会った時期、私はひどく落ち込んでいた。
2020年の春、同期よりも遅く社会人生活をスタートした。とにかくハードかつ慣れない作業に、四苦八苦していた。特殊な業界で働いているというのもあったし、男性のみの職場に順応していくことが、そう簡単なことではなかったのもある。

「会社どう慣れた?」
「正直大変です」
「そうかー。でも今大変だと、後が楽だよ!」
「・・・・・。」

飲み会で交わされた何気ない会話である。きっと悪気のない発言だったのだろう。でも「今大変だと、後が楽」という言葉に、ひどく傷ついている自分がいた。もやもやしたけど、何も答えられなかった。しんどくてつらくて、どうしようもない時期のことだった。

そんな時、このnoteをたまたま読んだ。同じ気持ちを抱いている人にやっと出会えて、素直にうれしかった。新人記者として走り回っている獅子さんの姿と、初めての現場仕事に戸惑う自分の姿が重なった。そして獅子さんが先輩から投げかけられた「1年目はみんな大変なんだよ」という言葉と、「今大変だと、後が楽だよ」がダブって見えた。

だから、大変な思いをしているこの「今」も、時が経てばいつか「過去」になるよって。
わかっている。
だからって、明日からサツまわりが楽しくなることなんてない。
つらいこの「今」が無くなることなんてない。
人生から逃げ出したい気持ちから、逃れることなんてできないのに。
あなたに私の苦しみを打ち明けたのは、そんな誰でも知っていることを教えてもらうためじゃない。
私のこの「今」の苦しみに、ちょっとでもいいから寄り添ってもらいたかった。

この部分を読んだ時は、そう!そうなんだよ!って叫びだしたくなった。「今大変だと、後が楽だよ」に感じた違和感の正体がわかった。今自分が抱えているつらさを、未来の希望的観測で誤魔化してしまうような気がして、受け入れ難かったのだ。未来なんかどうでもよくて、ただ"今”を、私はどうにかしたかった。そして情けないかもしれないけど、誰かに自分の痛みをわかって欲しかったのだ。

言葉にできない心の澱みを、こうして言葉にしてもらえることが、こんなに気持ちの良いものだとは思わなかった。そしてこのnoteのおかげで分かった。ただ、葛藤や苦しみを誰かに理解してもらいたかったということを。

残念ながらつらい現状を変えることは簡単にはできなかった。でも、自分の思いを誰かと共有したい、という気持ちに気がつけたおかげで、前よりも周りの助けを積極的に求めることができるようになった気がする。つらいという気持ちを誰かにわかってほしいと思うことは、そんなにおかしなことじゃないと分かったからだ。そして、本当はあの時も、素直に自分の現状を伝えるべきだったのかもしれない。

とはいえ「今大変だと、後が楽」という言葉をやみくもに批判したい気持ちはない。きっと、自分がそうやって新人時代を乗り越えてきたからこその、言葉だったのかもしれない。それに長い社会人生活を振り返れば、新人の時の大変さなんて、たいしたことのないものになっていくのだろう。

それでも。社会人1年目のこのつらさを忘れないようにしたい。必死で乗り越えたこの一年の記憶を大切にしたい。なんの役に立つわけでもないけど、ただ私は覚えていたいのだ。重い装備に足を取られて、ふらふらになりながら必死で先輩の後を追いかけたことも、慣れない出張がつづき、固い布団の上で涙が出て眠れなかったことも。


私の社会人一年目はもうすぐ終わる。なんとか仕事を続けている。今年の繁忙期は乗り越えたけれども、来年はどうなるか分からない。新人が来たらどうしようか。私はなんと声をかけるだろうか。そもそも私に心を開いてくれるだろうか。

獅子さんはこう締め括っている。

だけどせめて、目の前にいる名前も顔も知っている大切な人が、心の弱い部分をさらけ出して来てくれたときぐらい、ちゃんと隣りに座って、同じ目の高さで話を聞ける人でありたい。



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