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犯罪者はわざわざ靴を脱がない

鎮火後大田の遺体は検視に運ばれていった 焼死体はもろく崩れる
焼死でなければ靴を履いたままでも運搬は難しくなかっただろうが
焼けた足に焼けた靴 安定せず邪魔だった
靴は外れ その場 居間畳の上に残された

現場検証の「主役」として 焼け焦げた靴を指さす写真を撮られた
遺体は仰向けなので靴先は天井を向く
足先の位置で焼け焦げた靴のつま先を天井に向けるセッティングに苦労していたが すぐに細かい再現は省略された

私にはその遺体が大田ということは知らされず 
同じような犯罪を繰り返してきた者だということももちろん知らされず
犯罪の知識はあまり無く 瞬時には靴の意味がつかめなかった

「これ靴なんですよね・・」
証拠写真撮影サポートで私に同行する若い警官に聞いた
「はい・・」
「なんで靴履いているんですかね」
「さあ・・」
困惑した返事を覚えている
それぐらい分かるだろう
冷静に考えれば何の不思議もない

住民が寝ている朝4時に犯人が侵入してくることも
犯罪をする人間がわざわざ靴を脱がないことも
そのとき思い至れなかった

土足だったと報道すれば 事故ではなく事件だと誰にでもわかる
マスコミ協力のもと「土足」は隠された

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