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R6年診療報酬改定 ベースアップ評価料と賃金改善計画

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R6年診療報酬改定の主要施策であるベースアップ評価料と、その算定に伴う賃金改善計画について、正しい理解とベースアップ評価料収益のうまい活用と病院負担支出の合理性担保を目的に、具体…
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【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料 賃金改善計画策定の進め方と重要ポイント

ベースアップ評価料の区分は厚労省配布の計算シートと疑義解釈その1をよく読めば、問題なく算定出来ます。が、賃金計画書が難解で、さらに賃金改善報告書はさらに意図が読めないというご相談が集まっています。2.5%、4.5%アップの基礎額は、年間の総金額なのか、開始月の基礎賃金等なのか・・・。 全体を見ながら、相互の項目の関連性を読み解いて、基本的な進め方のひな形を作成してみました。 なお、ここでは、賃金改善策は、対象職員職員一律で定額で基準内賃金の処遇改善手当Ⅱで支給する施策(処遇改

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料の理解ポイント

厚労省の出しているベースアップ評価料や賃金改善計画の項目の意味がわかりにくいというご意見をクライアントから多数伺います。 確かに、日頃慣れ親しんでいる労基法上の賃金項目の定義とも微妙に違います。たとえば、ベースアップ評価料の区分算定に用いる1年間の賃金実績に、賞与は含むのですが、その他の臨時手当は含むのでしょうか。また、基本給等=毎月決まって支払われる給与と言う定義に、ほぼ毎月シフトに入っている当直手当等は含まれるのでしょうか。 さらに、賃金改善改善計画における開始月の基本給

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料が謎すぎる

厚労省のHPがしらーっと更新されている。 ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医療保険 > ベースアップ評価料等について そのFAQが衝撃すぎます。以下、転載。 Q 給与総額とはなんですか。 A 給料(扶養手当、時間外勤務手当、夜勤手当、危険手当、役付手当、通勤手当など労働の対価として職員に支給した全てのものを含む。)、賞与、法定福利費(事業主負担分を含む)の合計です。ただし、役員報酬は除きます。 また、「看護補助者処遇改善事業補助金」や「

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料が謎すぎる その2

厚労省のHPが、またまたしらーっと更新されている。 一番下にあったFAQが消えています。 (この前の記事に、一部再掲しているので、ご参考に。) ベースアップ評価料等について|厚生労働省 (mhlw.go.jp) そのかわり、届出様式と賃金改善計画書の記載事例がアップされています。 総賃金の記載は変更されており、給与(扶養手当、時間外勤務手当、夜勤手当、危険手当、役付手当、通勤手当など働の対価として、職員に支給した全てのものを含む。)という文言は消えています。基本給等は、ほぼF

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料算定を進める上でのシミュレーション

ベースアップ評価料を算定して、自医療機関の賃金改善事業を国の目標に従うかたちで実施した場合、原資(直近総賃金額の2.3%)を超えた支出になり、医療機関の持ち出しが生じることは明らかです。従って、計画においては、以下のシミュレーションが必要となります。 1. ベースアップ評価料賃金改善計画 R6年度版 2.ベースアップ評価料賃金改善計画 R7年度版 3.ベースアップ評価料対象外職員 R6&7年度ベースアップ計画 4.ベースアップ評価料賃金改善報告書 R6&7年度版 5

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料が謎すぎる その3

「ベースアップ評価料が謎すぎる」のテーマでの第3弾は、ほぼ厚労省への苦言です。 ベースアップ評価料の賃金の定義に関して、4月中旬から2週間、毎日のように告知もなく変更が続きました。全国の医療機関に影響が出る重要なことをこんな風に扱うなど、到底理解しがたいものです。 3/28疑義解釈その1の(別添2)問9により、ベースアップ評価料の年度評価は分母も分子も「年度の1月あたりの基本給等の総額」ベースになっています。その後の情報開示において、賃金体系の項目の意味合いを理解しているので

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料 賃金改善計画作成のコツ

1.賃金改善計画策定の基盤になる3つの定義 ベースアップ評価料を正しく理解し、確実で合理的な賃金改善計画を作成するには、以下の3つの情報をどう理解するか、がとても重要です。 ①令和6年度診療報酬改定の概要 【賃上げ・基本料等の引き上げ】の令和6年度及び令和7年度における賃上げのイメージ ②基本給等(基本給又は決まって毎月支払われる手当)に係る事項」 別添_計画書(病院及び有床診療所)および(別添)_実績報告書(病院及び有床診療所)の「Ⅳ対象職員(全体)の基本給等(基

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【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料 賃金改善計画策定の進め方 その2

ベースアップ評価料の区分算定と賃金計画書は、ベースになる”給与”の定義が異なり、その理解が重要であることは、前項【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料 賃金改善計画策定の進め方でご説明いたしました。  全職員一律にて定額で基準内賃金の処遇改善手当Ⅱで支給する施策を事例に、進め方をとりまとめた資料を公開しています。  今回の施設基準では、賃金改善のタイミングは、R6年度6月とR7年の2月になり、R7年度完了後の精算は認められていないことから、賃金改善に係る数値モデルの理解と把

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料についての認識の誤りその2&3

R6年診療報酬改定ベースアップ評価料についての先入観による認識の誤りで、二つ目に代表的なものは、「定期昇給もベアに含まれる」です。 結論から申し上げると、「定期昇給は、全体のベア計画には含まれるが、ベア等による改善率には含まない。」です。この誤解は、厚労省の説明用動画の解りにくさが原因と踏んでいます。当初から定期昇給は含まないモデルだと明示されていますが、昨今の医療機関は採用における競争力向上や離職防止の目的で、経験年数や資格年数による定期昇給テーブルを導入するケースが増加し

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料算定シミュレーション(標準版)

ベースアップ評価料を算定して、自医療機関の賃金改善事業を国の目標に従うかたちで実施した場合、原資(直近総賃金額の2.3%)を超えた支出になり、医療機関の持ち出しが生じることは明らかです。従って、計画においては、算定式や評価方法の理解度を深めるため、シミュレーションがが必要となります。 特に、評価のポイントを明確にしたベースアップ評価料の要件でもある賃金改善計画策定が重要になります。 賃金改善計画書と報告書のひな型もようやく安定した頃合いですので、おおよその構造は見えてきまし

【R6年診療報酬改定】ベースアップ評価料 まちがいだらけのベースアップ評価料の進め方

ベースアップ評価料は、医師と事務を除くほとんどの職員が対象になるため、多くの医療機関は、下記のように対策を進めているのではないでしょうか。 (A)いち早く、厚労省の計算シートを使ってR5年3月からR 6年2月までの総賃金(賞与と法定福利含む)からベースアップ評価料の区分とひと月あたりの金額を計算しました。 (B)しかし、この収益はすべてベースアップに使う必要があるため、この金額を対象職員数(常勤換算)で割って一人当たりの賃金改善額を試算しました。 (C)看護助手に対する処遇改

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【H6診療報酬改定】ベースアップ評価料 コンサルファームのアンケート

ベースアップ評価料の算定に伴う賃金改善計画に関して、多くの病院がお悩みの事だと思います。この状況下で、複数の大手経営コンサルティングがここぞとばかり、ベースアップ評価料の取り組み状況に関するWebアンケートを実施しています。 狙いは、明らかで、「賃金改善計画で苦労しているだろうから、この機に病院にアプローチして、自社の人事制度改革コンサルのスキームを売り込もう!」です。狙いは悪くないかもしれません。問題は、この施策を理解せずに、妙なアンケートを流布してるところにあります。

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【R6診療報酬改定】ベースアップ評価料が謎すぎる その4 「5/20診療報酬オンラインセミナー」を視聴して

1.「診療報酬オンラインセミナー」の開催 2024.5.20厚生労働省保険局医療課主催でベースアップ評価料に係る「診療報酬オンラインセミナー」が開催されました。 ベースアップ評価料について理解を深めるものと期待しましたが、かえって違和感を深めるものでしたが、同時に今までの迷走の原因も判明しました。 2.ベースアップとは何をさすのか そもそも「ベースアップとはなにか」を考えることが重要です。ベースアップとは、「労働の対価である賃金を対象に、年齢・勤続年数・学歴・職務・職

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