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サードプレイス通信 #8 〈番外編〉デイサービス福老 BLGいわき

「にぎらないおにぎりカフェふくろう」で利用者さんが働いて報酬を得るデイサービス(いわき市)


福島県いわき市内郷にあるカフェ、「ふくろう」。おにぎらずをメインに、野菜豊富な小鉢や具沢山お味噌汁とのランチセット、から揚げ、手作りチーズケーキが手ごろなお値段でおいしくいただける場所。
テイクアウトも人気です。


好きなおにぎらずとお味噌汁、小鉢やデザートがついたおにぎらずランチ。写真は韓国風キンパのおにぎらず。12月22日のこの日は、冬至カボチャが添えてありました。

このカフェの特徴は、2Fに併設されているデイサービスの利用者さんが、働いていること。

仕事をすることで、メンバー同士で協力できるように


利用者さんは、朝、9時にデイサービスに到着すると体温や血圧を測り、お茶を飲んで少し休憩したあとから、勤務に入ります。エプロンをつけると勤務開始。
利用者さんは同じ仕事をするのではなく、自分のやりたいことをして過ごします。
鶏のから揚げなど調理を担当する人、店内の掃除やアルコール消毒などの開店準備を担当する人など各々、できることを行うことを大切にしています。

店内の清掃を担当する利用者さん

他の利用者さんは、テイクアウト用のおかずを容器に詰めたり、食器の消毒をしたり、準備を進めます。
開店してからは、水や飲みものをテーブルに運んだり、食事を運んだり。テーブルの位置は壁に絵を飾り特徴をわかりやすくするなど、工夫している様子がうかがえました。お店が忙しい時は、ずっと動きっぱなしになることもあるようですが、一生懸命に仕事に取り組まれてるのだそうです。 
スタッフは仕事をする利用者さんを見守りながら、協働します。利用者さんはメンバーとしてメンバー同士協力しあい、スタッフ(介護員)を同じ仕事をするチームと感じているそうです。『介護する側とされる側」ではなく、水平な関係性を生むことができる場所なのです。


テイクアウト品のおかずを詰める仕事中
小物を買ったときに入れてくれるかわいい紙袋も、利用者さんが準備する


利用者さんの声がきっけになり、みんなで準備したカフェ

「福老」代表の長谷川さんは、デイサービスを運営しながら、介護施設が考える活動メニューを提供するだけではなく、認知症の方が自分のやりたいこと、できることを通して社会参加ができる方法があるのではないかと考えていました。そんな時、長谷川さんが運営する利用者さんで料理を作って食事を楽しむデイサービスで、作った「おにぎらず」を売ってみたいという利用者さんの声がきっかけになりカフェをオープンさせることになったのだそうです。場所が見つかると利用さんと一緒に開店準備。床磨きや家具の組み立てを行いました。
 テイクアウトの注文品を用意する部屋の道具やモノの置き場所は、メンバーの意見で改善してきました。自分で決められることで自信につながり表情が明るくなった方もいらっしゃるのだそうです。
 

仕事を通して心のリハビリに

デイサービス「福老」では、利用者さんの勤務表をつけていて、有償ボランティアとして報酬が支払われます。
(カフェ)ふくろうでは、駄菓子の販売もしています。ご自身で金銭管理をしていない利用者さんは、働いた報酬で、お孫さんのために買い物ができると喜んでいらっしゃいます。
また、利用者さんが作った手編みの服や小物なども売っており、売上金は作った人が受け取れる仕組みもつくっています。

店内では駄菓子の販売コーナーがある。ここで利用者さんが買い物をするのも楽しみの一つ。

認知症であっても仕事を通じてできることがあることを実感できる喜び。仕事に出かけられるという喜びがあります。
長谷川さんは、デイサービス内だけでなく、社会や地域での認知症への理解が深まる地域と仕事を通じて関わっていけるしくみをつくることができないか、模索中。仕事をすることが不安な気持ちを抱えていた利用者さんの心のリハビリとなっているのを目の当たりにしているからです。


入り口には、丁寧なあいさつ文が

自分で決められる、やりたいことを大切に

お昼までのカフェの仕事を終えた後は、利用者さんはみんなで同じことをするのではなく、ドライブを選んだり、仕事をしたり、ゆっくり室内で過ごしたりと、自分で決めて夕方まで好きなことをして過ごすそうです。自分で決められること。希望をかなえるよろこび、できることを実感できる喜びが、利用者さんの表情を明るくしているのだと思いました。


データ
●にぎらないおにぎりカフェふくろう OPEN 火曜日~金曜日 11時~14時
テイクアウトあり 
TEL 0246‐88‐7976
いわき市内郷御厩町2丁目87 1F

●デイサービス福老(ふくろう)BLGいわき
TEL 050-8883-0308
いわき市内郷御厩町2丁目87 2F


サードプレイスとは、自宅や職場・学校とも違う第三のコミュニティの意味。日常的に担っている義務や役割を離れ、居心地の良い場所で、人と会い、話し、目的を見つけて活動したり、楽しいことを一緒に行ったりします。何かをしなくたって、誰かに会うだけでもいいし、その場所に来るだけでもいいのです。
サードプレイスの条件は、心地よい場所であること。そして、かかわる人達の平等性が保たれていること。
サードプレイス的な場所を持つかどうかは、幸福度にも影響します。「ハーベストカフェ」もまた、シニア世代が幸福であるための交流の場、サードプレイスを目指して、活動しています。
「サードプレイス通信」では、福島県郡山市や近隣の市町村でサードプレイス的な活動をしているグループを紹介していきます。

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