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【マーケティングトレース】鬼滅の刃に見る集英社のマーケティング

大ヒットを記録している鬼滅の刃。

かれこれ少年ジャンプを20年上読み続けている私ですが、あれよあれよという間に人気漫画の仲間入りを果たしたこの作品の成功を全く予想できませんでした。

入れ替わりの多い作品群の中において尖った魅力に感づけなかった私。

いつ本誌の後ろに追いやられ
「ご愛読ありがとうございました。吾峠先生の次回作にご期待ください。」となるのかと心配していた見る目のない一人でした。

ここ数年、ジャンプの毛並みがすごく変わってきていて例えば
「約束のネバーランド」
「僕のヒーローアカデミア」
「ハイキュー」
「Dr STONE」はなんとなく夢中になれなかったりします。

自分が少年から中年になってしまったこともひとつ要因なのかもしれません。

すこし、逸れましたが鬼滅の刃は連載開始から際立っていたかというとそうでもなかったはずなのですが・・・

ところが、とあるタイミングから潮目は変わり近年見ないほどの快進撃が起こっていたのです。

我が家にも鬼滅ブームが到来し、あわやはじめから読んでいた私は置いてきぼりです。

長女主導でコミックスを揃え始めたころ18巻が発売され店頭では売り切れ続出の騒ぎ。

結局、初版にノベルティとして付いていたポストカードは入手できなかったのです。

以来、鬼滅人気に便乗したキャンペーンは過熱しすぎの様相を呈している感が否めませんがいちジャンプファンとしては新たな稼ぎ頭の登場を素直に喜びたいと思います。

ジャンプが、というか集英社のマーケティングは本当に鏡とするところだらけです。

鬼滅の成功について考え、そこからジャンプ全体の考察に入っていきたいと思います。

しかしやるぞ。と言い放っておきながらマーケティングトレース自体、作品に当てはめて考えるのが間違っているような気もします。
なぜなら漫画家を含めアーティストは
「売れる作品とは?売れる要素とは?」から出発していないケースが多いとのではないかと思うためです。

自己表現や自分の書きたい作品を素直に追求し、その結果多くの読者に愛されていくという順序が美学ならば本質をはき違えた考察になってしまうのかもしれません。
あくまではマーケターの筋トレ、頭の体操ということでご容赦ください。

本来のスタイルを捻じ曲げ賞レース受けしやすいネタを選択する姿勢に葛藤を覚えるお笑いの世界にも見られる罪悪感だと思うのですが、芸術の領域においてさらにその思想は色濃いのではないかという仮説はいったん横において進めたいと思います。

▼鬼滅の刃もジャンプの得意とするヒット作を輩出してきた得意ゾーンにプロットされます

得意ゾーン

鬼滅の刃の魅力を分解

登場人物の多くがえも言えぬ絶望を抱えており独特の表現で描かれています。

まず主人公、竈門炭治郎の深すぎるやさしさでしょう。
あらすじを語りだすと戻ってこれなくなるのですが連載早々、家族を鬼に殺されてしまいます。
そんな深い悲しみに晒され身がちぎれそうなはずなのに腐らず、どこまでも謙虚で鬼すらも慮ってしまうお人よし感。
そんな炭治郎が女性ファンのハートをとらえて離さないのでしょうか。
(自分の周りは無一郎人気が際立ってる気がしますが)
このように炭治郎をはじめ、敵役の鬼も含めた登場人物の多くがえも言えぬ絶望を抱えており独特のタッチで描かれています。

見えない作者の人物像
作者の素性はあまり明かされていません。

それゆえに、様々な憶測が飛び交っています。
単行本の中にはラフスケッチもところどころ差し込まれており直筆の文字や線の繊細さから女性作者説がかなり有力視されています。

顔ばれすると生きにくい時代ですから、身辺を気にする女性らしい護身の発想なのでは?と勘ぐってしまいます。
見えそうで見えないものは気になり、見ようとしてしまうのが人の習性で隠されると気になってしまいますね。

展開が早い
キャラが立っている柱の面々、まさか煉獄さんがあんなに早い段階で命を落とすとは・・ポートガスDエースも真っ青です。(炎つながり?)

魅力的なキャラの描き方と併せて展開の速さが迷いがない!と評価されています。

自分の周りには少年漫画は長い!という非難もあります。

あんなに面白すぎるワンピースは長いからと敬遠されることがあります。
ワンピースの魅力を語るうえで避けて通れない「異常なほどの伏線の多さと回収の鮮やかさ」はなるほどライトな読者には伝わりにくいかもしれません。

ファンの多くは女性ファン 
アニメイトやジャンプショップに足を運んだ時、鬼滅コーナーには人垣ができており9割が女性という状態でした。

この現象は旧来の少年漫画ではなかなかお目にかかれなかった光景ではないでしょうか。

これは登場人物が男前、イケメンだからですか?

うりきれ

新たなファン層の獲得
ここが非常に重要だと思っています。

この図を見ていただくとわかりやすいのではないでしょうか。

リーチできる層

原作はやや地味に見えたはずなのに、アニメにはわかりやすく見せ場が描かれていました。
技は派手なエフェクトで盛り上げられ印象が全く違うものになっていました。
集英社の粋を結集した作品の作りこみ。
豪華声優陣や、音楽を効果的にもりこみ世界観を引き上げています。
これらの演出は結果的に功を奏し、水面斬りを連呼しているキッズたちを量産することとなったのです。 
これまで数多くの人気作を世に送り出している集英社の経験値と言われれば納得せざるを得ないのですが、非常に的確ですよね。

ジャンプ+(ジャンププラス)のデータの活用

的確だな~とのんきなコメントをしてしまいましたがこれを発見して納得しました。
2018年、米国Google社サイトに 集英社によるアナリティクス 360およびGoogle データスタジオ導入活用事例が、米国Google社サイトにグローバル成功事例として掲載されておりました。

マンガ誌アプリ『少年ジャンプ+』では、ユーザーの好みや興味関心に対応したコンテンツを制作するため、Google アナリティクス 360およびGoogle データスタジオを活用して、リアルタイムのモニタリング環境を構築しました。
その結果、コンテンツに対してユーザーがどんな反応を示しているか、訪問数とアクティブユーザーの増加にどれだけ貢献しているか、などのデータがリアルタイムに作成されるレポートで把握できるようになり、編集者や作者がコンテンツ制作の判断材料として即座に活用することも可能になりました。

集英社クラスの会社ですから当然の取り組みではあるもののGoogleのお墨付き成功事例。
ともなればこの先ヒットを量産するスピード感も加速していくことに疑いようはありません。冒頭で、作者は自分の書きたいものを書いていくのでは?と仮説建てをしていましたがこの前提を見るかぎり編集者の誘導で作風もより、時代に求められている作品に寄せられていく気がしないでもありません。

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最短、最速で量産できる体制が整ったその先

極端な話、集英社の息のかかった作品がヒット作連発の快進撃を続けた場合どうなるのでしょうか。
漫画家を志す卵たちは今以上にジャンプに群がるのではないでしょうか。
今でもジャンプは新人発掘の賞を多く設け独自のサプライチェーンを築いています。

ベルトコンベア

国内では一強、集英社の行く手を阻む脅威は?

これまでは、原作を所有する日本がアニメの制作を中国など海外に外注し制作コストを安く抑える仕組みがありましたがこの力関係が変わってきています。中国アニメの市場規模はすでに2017年で2兆5000億円と日本のそれを上回っています。
優秀な日本のアニメーターを引き抜き好待遇で迎える中国企業も出てきておりリソースの奪い合いは激化することが予想されます。
クールジャパンを掲げ日本の文化を推進しようとする日本同様に、中国もアニメの推進を国策として掲げています。
5フォース分析では可処分所得争奪の競争という観点からほかの身近な娯楽をいくつか挙げましたが脅威としては中国が力を入れているアニメ事業を挙げています。
ユーザーや、ユーザーを引き付ける源泉となるクリエイターも奪われているリスクをはらんでいるとなればこれは本当に恐ろしいことです。

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まとめ

なんだか尻すぼみに暗い結びになってしまいましたがこれまでのジャンプの成功要因はこの二つによるところが大きいと感じています。
・ヒットまでの道筋をビジネスモデルに落とし込めており、作品のポテンシャルを最大化できる
・リアルタイムデータから「求められるコンテンツ」を見抜く嗅覚と再現できるリソースを確保できる求心力

予定より倍以上のボリュームになってしまい若干散らかった感もありますが最後までお付き合いいただきありがとうございました。
最後の最後にひとつ、付け加えさせていただきます。
私が初めて少年ジャンプを買ったのはドラゴンボールで悟空とナムが天下一武道会で戦っていた号でした。以来、ずっとジャンプファンとして欠かさず買い続けてきた私ですが今年の1月からジャンププラスに移行しました。
コミックスはワンピースをずっと買い続けています。
小6の娘は「鬼滅の刃」「約束のネバーランド」「呪術廻戦」をそろえていて共通の話題を与えてくれるジャンプおよび集英社には感謝しかありません。
これからもずっと応援しています。失礼にあたる表現や的外れな見解があったかもしれませんがそんなスタンスではありますので何卒ご容赦を。


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某IT企業でマーケティング、デザインを主に担当しています。※副業禁止な会社なので本名伏せてます。おもしろいデザイン、おもしろいマーケティング、おもしろいプロダクトにアンテナを張って生きています。個人的に関わった仕事やインスパイアされたことを発信します。