マガジン一覧

気まぐれに綴った『詩』や『小文』を置いてます

自分でも読み返すとちょっと何を言いたいのかわからない。そんな内容もあったりしますが基本的には一生懸命書いています。

『詩』「水滴のロンド」

「ぴちょん」  天井に張り付いた水滴が  重さに耐え切れず落ちてくる 「ぽたり ぼうゎん」  落ちた瞬間崩れてしまった  水滴はすこしぬるく  額からゆるゆると  目から頬へと伝い顎に溜まる 「ぶん」  そう 音を立てるように小さく変わり  じわじわと上っていく  何度も何度も繰り返し  そうやって私をすこしづつ溶かしていく  私はすこしづつ水滴に変わっていく  今日は果たしていつなのだろうか

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『詩』「青く染まる」

戻るとそこは青い 冷たいタイルのような じとりじとりに足を下ろす すっと瞬時に染まる あっという間に 目が青に浸かっていく やがてこれまでを染め 全てを変える 捕らわれる意識の中で 閉じ込められた記憶と傷を感じる 流れる血でさえも 深い海になる 全て変わってしまった 踏み出す その足元を見るのは誰だ

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『詩』「待つ」

昨日はそばにいたのに 胸が壊れる 不安になり 空を飛び交う文字の塊 それは代わりにはならず むしろ 手指が現す形で届く それが欲しい 時間は関係なく 待つ間私の時は止まる 掻き上げる髪は 真っ白に変わっても 私の時は変わらない ほんの昨日のことだ

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『詩』「言の葉」

 言の葉と書いて ことば と  時には強く、時には鋭く心に刺さる  葉の上には色々な気持ちが葉脈のように  連なっている  君が発する言葉は強く刺さるときがある  柔らかくなる時もあるが総じて強い

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記憶に残る曲とエピソードなど

好きな音楽とエピソード。創作や実話色々。

【音楽と思い出】『モア』アースシェイカー

〔ヘビーメタルについて〕 高校生になり聴く音楽の幅も広がってきたときのこと。ヘビーメタルが流行し始めた時期だった。よく聴いていた。 当時ヘビーメタルは「ヘビメタ」と言われていて色物的なニュアンスが含まれていたことが多かった。 有名になる前のXJapanがテレビ(天才たけしの元気が出るテレビ)に出ていたこともあったが、多分にエンタメ的な扱いで出演していた。ヘビメタ、ヘビメタと言われるのはちょっとイヤだったけど番組は面白かった。 友達と「これはヘビーメタルやね。違うぜ、ハード

【音楽と思い出】『横浜いれぶん』木之内みどり

この曲というより、木之内みどりという歌手にまつわる思い出がいくつかある。 曲は出来事ののちに聴いたという追体験の記憶である。 〔きっかけについて〕 彼女を知ったのは、「刑事犬カール」というテレビ番組。女性警察官役で警察犬のカールと一緒に事件を解決していくという内容。木之内みどりの可愛さが記憶に残る。 夜7時からのゴールデンタイムに放映されていて家族全員で見ても問題ない番組だった。 もうひとつ、映画「野球狂の歌」にも出ていたが見てはいない。しかし漫画は読んでいたので内容はな

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【音楽と思い出】『夏のクラクション』稲垣潤一

ここのところ夏はとても暑い。 学生時代の暑さとは違っていて焦げると表現したほうがいいかもしれない。 それでも8月も終わりが近づけば、早朝はほんの少しだが涼しくなり、ようやく暑さがやわらぎ始めたような気がする。 毎年このころになると少し寂しさを感じる。 夏が終わるのが名残惜しい。 子供のころならともかく今も寂しくなるのである。まだこんなに暑いのに。 「夏のクラクション」は、そんな少し寂しい気持ちになるころに聴きたくなる曲。 イントロのギターの音がとても好きだ。 何かに例える

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【音楽と思い出】『風よ吹け』サンハウス

実はリアルタイムでは聴いたことがない。 ロックを聴き出したころはバンドは解散していた。 鮎川さんはもうシーナ&ロケッツをやっていた。聴き始めたころはユー・メイ・ドリームが流行っていたと思う。ロックだけどテクノポップの風味もある音だった(個人の感想) 鮎川さんの昔の音を聴こうとしなかったらここで書くこともなかったと思う。 東京に行ってアルバイトをして少し小遣いを稼ぐといつも中古レコード店に行っていた。 高田馬場駅近くのビルの二階にあるタイムという名前の店だったと思う。邦楽

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ショートストーリー保管庫

書き留めた創作を保管しております

『ショートショート』「いつものとおりに」

朝いつものように目が覚める。しかし、何かがちがうような気がする。まるで誰かから見られているような感じなのだ。  いつものように顔を洗い、服を着て、仕事場に向かう。通りを歩く人たちも満員電車の中の様子もいつもと同じだ。寸分違わず。 ん?寸分違わず?何かおかしくないか。これまで感じたことがないことばかり。 目の前を歩いていた男が突然倒れた。ひどく苦しんでいる。 「おい大丈夫か」 声をかける前に男はこと切れた。 歩く人たちは皆気が付かないのか前を向いたまま通り過ぎていく。

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『ショートショート』「鏡」

じっと見られているような気がした 気になったので振り返る 鏡には振り返る自分が写っていた 「なんでもないよな」とつぶやく また、見られているような気がする 振り返ると自分が見ている  なにもおかしくはない  だけど 変なことを思いついた フェイントをかけてみようか テレビでもあるまいしなどと考えながら ゆっくりと振り返り すぐ前を向いて もう一度素早く振り返る 「あっ」 両手をべっとりと鏡に広げ 吸い付くようにこっちを見ている俺がいた 鏡の向こ

僕が彼女のどこに惹かれているのかということについて

少し首を左にかたむけ、左手の人差し指で唇を触りながら、紙面を追う。集中しているときの彼女のくせ。 「この話って不思議だね」紙面に目を落としたまま、話しかけるようにつぶやいていた。 「何が不思議なんだい」僕は彼女の問いにはすぐに答えることにしている。 「こんなことは普通ありえないよ」と彼女は言った。 「そうなんだ」僕も言った。 僕は『この話』がどのような内容なのかはわからない。 でも僕に目を向けるまでどんな話なのか聞かないことにしていた。 彼女は手にしたタブロイドをそのまま読

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昭和とアナログ

夢を見ていた。 そこでは何もかもが変わっていた。私の机はとても大きかった。立派なひじ掛けのついた大きな椅子に座っていた。椅子に深々と腰かけていた。何も悩むことはない、悩むことはなんにもない・・・そう思いながら、私はよく晴れた空を見上げていた。 そこから先に進まないのである。 なぜかどうしても進まないのである。夢は実現出来ると人は言うけど、寝ているときに見る夢はどうなのだろう。夢だと気づくのは、ゆっくりと背伸びをして、一つ大きなあくびをした時。 目を開けたら空なんかない。

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