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今日の読書5/19

今日読んだ本は、柚月裕子さんの「ウツボカズラの甘い息」です。

 

柚月さんは本当にヴァイタリティある作家さんだと思います。

本書のようなサスペンスもユーモアあふれるお話も書かれてますが、どれも大好きです。

人間描写が細やかで、どの人物に対しても「こんな人いるんだろうなあ」と、すっとその世界に入れるからだと思います。

今回は知らない間に詐欺に嵌められてしまう主婦と殺人事件を追う刑事との二つの視点で書かれてます。

主婦の高村文絵は昔いじめられたこともあり精神的に弱く、心療内科に通っています。
若い時は必死にダイエットをし美容にも気をいれて美しい容姿になったのですが、今は夫な三段腹とバカにされて日々を膿んでいます。
そんな時に、中学の同級生、加奈子に会います。
整形をし美貌と裕福な生活を手に入れた加奈子に対して卑屈になりますが、その同級生は彼女に恩返しがしたいと…

美しくなりたい、周りからもてはやされたあの頃に戻りたい、今の生活から逃れたい、そんな思いから徐々に深入りしていく文絵。
結果が始めから想像がつくぶん、彼女の愚かしくも哀れに感じられてしょうがありません。

一方ベテラン刑事の秦は植物人間になってしまった妻を持ちながら、刑事としての仕事にプライドを持って捜査をしていきます。
相棒は別の署の若い女刑事中川です。気を使いながらも、彼女の成長を認めて喜ぶ秦の姿に、刑事としての誠実さを感じます。
妻のことを気にかけながらも、義母に任せっきりの自分を責めています。それでも刑事としての仕事を全うしようとする姿は、とてもプロ意識があってかっこいいです。

こちらの期待通りに?被害者は陥れられ、文絵は容疑者として秦刑事に尋問を受けることになります。

ですが、本当の犯人である加奈子の存在を探るうちに…

後半の二転三転のどんでん返しも読み応えあります。

サスペンスが大好きな人におすすめな一冊でした。


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