見出し画像

幸福な木

 こんにちは。今日は有料の記事(小説)になります。少しずつコンテンツを増やしていく予定ですので、よかったらどうぞ。

 ある町のマンションに、一組の夫婦が住んでいた。結婚して数年経っていたが、仲睦(なかむつ)まじく暮らしていた。夫はわりと忙しい仕事についていたが、休日になると二人は仲良く連れ立って出かけていた。手に手を取って歩いているのを近所の人たちはよく見かけた。

 けれど、幸せな時は長くは続かなかった。運命の手は容赦なく彼をさらって行ってしまう。ある日、急スピードで横断歩道に突っこんできたトラックに撥(は)ねられてしまったのだ。その報(しら)せを聞いて、妻は急いで病院へ駆けつけた。

ここから先は

2,477字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?