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南の島

 こんにちは。最近更新していなくてすみません。投稿しようとした記事が出先で見当たらないので、他のサイトで出し忘れていた短編を公開します。よかったらどうぞ。(3/7に少し編集しました)


 朝早めに出勤するために玄関を出て、すぐそばの小道を急ぎ足で下っていく。
 ふと前を向くと、高台のせいか遠くの霞みがかった山々が目に映って、その景色にしばし見惚(みと)れた。

 ここはわりと都会だが、電車に乗るとすぐに山へ行ける環境で、住んでいる人達もやや高齢だが気のいい方が多くて住みやすい。
 けれど、私はもっと自然に囲まれた土地に住みたいと思っていた。
 その憧れの場所は、国内だが絶海の孤島とも呼ばれていた。都道府県で言えば都会に入るが、住んでいる人の暮らしや環境は辺境の地と言っても過言ではない。一年中海に入れるし、四季を通してランニングとサンダルで過ごしている人もいるようだ。

 気温も沖縄とほぼ変わらなくて、ハイビスカスが道路の脇で垣根になって咲き乱れ、スズメやカラスの代わりに「メグロ」というメジロによく似た小さな鳥がよく飛び回っているらしい。
 そんな辺境の土地へ何故行きたくなったのかというと、その頃の私は人間関係や満員電車に飽き飽きして、どこか遠い田舎でのんびり過ごしたいと心底思っていたからだ。

 昔から島の暮らしや自然に憧れていたが、仕事が面白かったのもあってそのうち実行しようと思っていた。そして、ある日職場で島の転勤を募っているのを知り、心が動いたのだ。それでこの機会にと申請を出して、2月に内定をもらった。

「いよいよか……」
 島での生活への期待と、大きな引っ越しをほとんどした事がないため、不安も入り混じる。
 けれども、もう事は決まったのだ。そう考えると、私は引っ越しの準備をするために業者から貰った段ボール箱を組み立て始めた。
                  了

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