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私がOTとしてのアイデンティティ・クライシスから脱却できた方法

病院の情報


私は函館市の総合病院に勤務しております。(現在5年目)

身障領域であり、主に障害者病棟や地域包括ケア病棟を担当しています。

入職当時はOT部門5人で活動していました。

入職当時のOTの臨床・・・

結論を言うと、OT部門の臨床ではPTと同じようなことをしているだけでした。医学モデル中心の考え方をしており、身体機能へのアプローチが中心でした。

私が新人教育を受けた時も、ほとんどPTと似たような指導であり、作業を主体とした介入方法を学ぶことができませんでした。

そのため、当時の私は「OTはPTの下請け?」「ADLの練習を担当する?」「上肢にアプローチするだけ?」と疑問で溢れ、PTとの違いを実際の臨床と比較して説明することができませんでした。

さらなる絶望

私が2年目に入ったころ、OTのスタッフが一人、また一人と次々に退職され、気づけば私一人だけになりました。(笑)

笑うしかありませんでした。とうとう誰も頼る人がいなくなり、私自身も退職をしようと決意していました。

そんな折、PTの上司からあるOTさんをスカウトしたとの情報が入りました。そこで、退職は少し考え直し、半年間一人でOTを続けていました。

人間作業モデル、Nさんとの出会い

3年目に、私だけのOT部門にNさんという方が入職されました。

Nさんは教育や作業療法への知識が豊かな方であり、熱心に指導をしてくださりました。そこで、Nさんから人間作業モデル(以下、MOHO)という概念を教えてくださりました。

MOHOはクライエント(以下、CL)が意志,習慣化,遂行能力を持ち,取り巻く環境を通して適応行動を発達させていくという理論であり,作業療法における臨床的実践モデルの一つです。

MOHOの評価法(MOHOSTやVQなど)も教えていただき、臨床で使用することで「作業」を主体とした介入を少しずつできるようになりました。

また、MOHOについては湘南OTさんの勉強会に参加することで、さらに理解を深まることができました。こちらは初学者向けの講習がたくさんあるため、非常にオススメです。

作業療法理論の勉強

MOHOの存在を知ってから、作業療法理論を積極的に学ぶようになりました。

作業療法理論を活用することで、OTとしての専門性を最大限発揮することができると気づいたからです。

私が実践した方法は、前述した湘南OTさんなどの勉強会に参加し、得た知識を積極的に臨床に活用することです。今はオンラインでの勉強会が主流であるので、便利なものはどんどん使ってます。

また、こちらの書籍も様々な作業療法理論を解説しているため、学ぶきっかけとして初学者にオススメしたいです。

他職種へのアピール

4年目に入ると、新たに既卒のOTさんが入職され、OT部門は3人となりました。

自信が付いてきた私は、MOHOを用いた症例を日本作業療法学会へ投稿し、ポスター発表をすることができました。

その伝達講習をPTさんにも行いました。それにより、OTが扱う専門性についてPTさんの理解が深まっていき、徐々に私にCLの対応について相談されることも増えていきました。

職場で作業療法理論を活用することで、OTとしての専門性を発揮することができるだけではなく、他職種にもOTの価値が認められることができるのだと、初めて気づきました。

まとめ

  • MOHOなどの作業療法理論を学び、臨床で実践する。

  • オンラインでの勉強会に積極的に参加する。

  • 定期的に学会発表などで発信し、他職種にもアピールしていく。


この過程でOTとしての自信が付いていき、アイデンティティ・クライシスから脱却
することができました。

また、急性期や施設など、職場によっては作業療法理論を活かしにくいこともあるかもしれません。

それでも、CLの必要な「作業」に焦点を当て続けることで、OTとしての専門性を発揮できると思います。

おまけ -今後の展望-

現在5年目の私に、OTの新人さんが3名入職されました。

私のような経験を後輩にもさせたくないので、OT部門全体で真の作業療法ができるように教育にも力を入れていきたいです。

もちろん、作業療法理論の勉強も続け、MOHO認定セラピストや、認定OTの取得を目指して精進していきたいと思います。


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