玲歌

日本に生息する、ごく普通の人畜無害な一般人。 旦那と住んでいるらしい。

玲歌

日本に生息する、ごく普通の人畜無害な一般人。 旦那と住んでいるらしい。

最近の記事

しっぽが生えた話6

メロスは激怒し、山椒魚は悲しんだが、私は不機嫌になった。 しっぽが生えた話、今回で終わると思っていた。 と言うか、この頃には旦那は治っていると思っていた。 治った報告をして、このシリーズは終わるのだと、そう思っていた。 ところが… 「旦那、治らないじゃん!」 まだしっぽが生えたままの旦那、申し訳なさそう。 「ごめんよ」 「いや、怒ってないけど」 なんと、旦那が完治しなかったのである。 書き溜めて、そろそろ騒動が終わりそうだな、と思ったから、公開したのに。 あれまー。

    • しっぽが生えた話5

      と言う訳で、旦那が再び入院した。 寂しいけども、病気を治すためなら仕方ないね。  さて、実家帰ろ。 実家で過ごした10日間は、なんだか懐かしかった。 そして旦那が帰ってきた。 「ただいま」 「おかえり」 旦那、またしっぽを生やして帰ってきた。 今度は何やら紐が出ている。 そういう術式だそうだ。 「旦那、またしっぽ生えたの」 「どうも。しっぽ付き旦那です」 「いつ人間に戻るの?」 「分からない…」 あれまー。 まあ、別に良いんだけどね。 しっぽが付いてようが付いてい

      • しっぽが生えた話4

        旦那のしっぽが取れた。 病院に行ったら、数分でするんと抜かれた。 え、そんなに簡単に抜けるものなの? びっくりした。 ただ、しっぽが取れたからと言って、すぐ全快するかと言うと、そうでもない。 少し、痛そう。 でも、しゃがめるようになったし、家事も少しずつできるようになった。ありがたし。 しかしこの病気、後でちゃんとした手術が必要だそう。膿の入口を潰すとかなんとか。 やれやれ、旦那、また入院だ。

        • しっぽが生えた話3

          旦那にしっぽが生えた。 直腸付近の膿を出すため、おしりから管が出ている。 再手術を終え、退院はしたけど、おしり痛そう。 実際、痛いそう。 夜中も痛みで寝返りが打てず、起こされた。 「布団はいでもらったら動けるから…お願い…」 んむんむ、眠い。 布団をはいでやると、旦那は呻きながら動いた。 「ありがとう。布団かけてくれる?」 ほいよ。 「病気してごめん…」 いや、病気ってのは突然やってくるもんだ。 気にするでない。 夜中、起こされる日が数日あった。 家事も全部、私にふってき

        しっぽが生えた話6

          しっぽが生えた話2

          旦那にしっぽが生えた次の日。 今日退院できるのかな、何時になるのだろ。 私は連絡を待っていた。 おひる頃、旦那から連絡。 「ごめん、再手術になった…」 「え?」 旦那、また40℃近い熱を出してしまったらしい。 管を入れたものの、膿を出しきるのが難しかったそう。 「あらまー」 なんて言っている場合ではない。 心配してるんだよ、これでも。 旦那が家にいないと寂しいし、つまらない。 ひとりの家は静かで、世界にひとりぼっちのよう。 早く帰ってきてほしいね。

          しっぽが生えた話2

          しっぽが生えた話1

          旦那が高熱を出した。 直腸の近くに膿が溜まり、そいつが悪さをしているらしい。 病院に行った。 手術になった。 翌日まで入院。 そう言われた。 驚いても仕方がないので、旦那を置いて帰宅。 感染症対策のため、家族も病室には入れないらしい。 この御時世、仕方ないとしか言えないね。 数時間後、手術を終えた旦那から電話が掛かってきた。 「しっぽ生えちゃった…」 そうか。とうとう旦那は人間をやめてしまったのか。 でもまあ、私は旦那が旦那である以上、愛し続けると決めたからな、うん。

          しっぽが生えた話1

          言葉の違い

          さて。 旦那と私は違う県の出身なのですが。 使う言葉が少し違いました。 あ、ふたりとも日本人ですよ。生まれた時から、この国に棲息してます、はい。 ただ、方言てあるじゃないですか。 となりの県のはずなのに、それが少しありまして。 「旦那の言ってる事が、分かりそうで分からない!」 私は母に相談しました。 「通じない言葉があるなんて、思わなかった。どうしよう」 母は言いました。 「大丈夫だよ、いるみねい(イルミネーション)とか、かころーじ(ごき○り)とか、玲歌語は通じるんでしょ

          言葉の違い

          BGM

          ある日。 スーパーマーケットに行きました。 お買い物おかいもの。 いい天気。 私、ごきげん。 カートを押して、てくてく歩く。 なんか、店内放送でロックなイントロが流れてきて。 いいね、私はロックが好きだ。 気分上々。 あまりにもポップでロックな感じだったので、聴いていた。 すると、前奏に続いてメインメロディー登場。 まさかの唱歌、『茶摘み』。 『夏も近付く八十八夜~…』の、あれ。 いや、確かに季節ではあるんだが… 私、困惑。 いまだかつて、こんなにポップでロックな

          証拠写真

          ある朝、旦那がカメラを持ち出してきた。 「証拠写真撮った」 「何の?」 「ほらほら」 そう言って、撮った写真を見せてくる。 私の寝顔だ。 「まちがえた。これじゃなくて…」 「いや、今の何?」 「嫁ちゃんの寝顔」 それは見りゃ分かる。訊いているのはそういう事ではない。 「あった、これだ」 見せてきたのは、私の寝姿である。 「玲歌がウルル蹴飛ばしてる、証拠写真」 「えー?」 私はウルルを蹴飛ばしたりしない。 確かに寝相は悪いけれども。 「ウルルを布団から蹴り出しているのは、玲歌

          証拠写真

          あたたかい

          ある日、旦那が具合悪かった。 「ごめん、ちょっと布団で横になってるね」 「はいよ。何かあったら呼んでね」 すると旦那、嬉しそうに、 「嫁ちゃん! ハグしたい!」 「はいはい」 洗い物中だったので、テキトーにあしらった。 「嫁が冷たい…」 旦那、不満げ。 嫁、反論。 「私は冷たくなんかないぞ。大体36.8℃くらいある」 「いや、体温の話じゃないんだよ」 旦那のツッコミ、今日も健在。 なんだ、元気そうで良かった。

          あたたかい

          三角卵

          皆さん、卵焼き好きですか? 私は好きです。作るのが。 くるくる楽しい。 しかし、私の作る卵焼きは、一般的な物とは違います。 一線を画している。一緒にされては困る。ふはは。 まあ、三角形なんです、何故か。 切り口が楕円にならずに、だいたい直角三角形になっております。 これでは、卵焼きを斜めに切ってハート型に盛り付ける、かの有名な愛妻弁当が作れないではないか… なんたる失策。 なんでですかね? いろいろ工夫してみても、私の卵焼きはやはり三角形。 「逆に器用だよね」 旦那

          あひるになる

          「ぐわぐわ」 旦那が何やら鳴いている。 「ぐわわ」 どうやら、仕事に集中できないらしい。 これは、相手をしてやるしかないようだ。 「ぐわわわ、ぐわ」 私も鳴いてみた。 「…」 え、何? なんか、旦那に変な人を見るような目付きで、見られたんですが…? 「…何してるの?」 いや、何してるのじゃないよ。 「旦那が、あひるになってしまったようだからね、私もあひるになろうかと思って」 「…なんで?」 「何があっても添い遂げるって決めたから…。旦那があひるになるなら、私も覚悟を決めて、

          あひるになる

          かめごはん

          皆さんは、味噌汁のわかめをごはんに乗せて食べる事ってありますか? 私はあります。 我が家の味噌汁には、大体わかめが入っているので、それを白米の上に広げて、食べるんです。 初めて旦那の前でやった時、 「食べ物で遊ばないの」 と注意されました。 びっくりでしたねー。 実は子どもの頃、母がよくやってくれたんです。 わかめをごはんの上に広げて、 「わっかめかめかめ♪︎かめごはん♪︎」 とオリジナルの歌と共に食べさせてくれました。 行儀の悪い事と思わず、未だにやります。 「あー、

          かめごはん

          立ち食い

          新婚時代、うちには食卓がありませんでした。 ごはんも立って食べていました。 しかし、やっぱりあれですね。 「ごはん、立って食べるもんじゃないね」 「ん?」 「見ろ、旦那が踊りだしてしまった」 踊っていた旦那は、それを聞いて止まった。 「ごめん、なんか、てもちぶたさで…」 「てもちぶさたでは…?」 てもちぶたさって言うと、何だか手持ちブタさんみたい。 ミニブタ? かわいいのかな? きゅいきゅい鳴きそう。 「ごはん中は、踊りません」 「はーい」 旦那は素直に返事をする。 こ

          立ち食い

          悪いやつ

          ウルルを蹴飛ばす悪いやつがいる。 私のとなりで寝ていたはずのウルルが、朝起きると、布団の外に蹴り出されているのである。 かわいそうに… もちろん、ウルルはぬいぐるみなので、自分からは動かない。 旦那は別の布団で寝ているし… 謎だ。 誰がウルルを私の布団から蹴り出しているのだろう。 まったく、悪いやつである。 見つけたら、とっちめてやるつもりでいる。

          悪いやつ

          はんだごて

          「一家に一台、はんだごて」 旦那は時々、そんな事を言う。 手先が器用で工作好きな旦那は、昔からはんだごてを使ってきたらしい。 「私、はんだごてにお世話になったの、中学の技術の時間だけだよ…」 「女子はそれでも良いんだよ」 男子はどうなんだ? 気になったので訊いてみた。 「はんだごてを使えない男は、男じゃない」 すごい差別だなぁ。 「君の定義する『男』って何だい?」 「それは、『漢』ですよ」 ふほん。よう分からん。 旦那の事はよう分からんけど、まあ、長く家族をやっていれば、

          はんだごて