Bo_z_結成記念写真

歪んだ正義、 やわらぐ心

激しいスポーツに打ち込むようになり、

きついトレーニングにも耐えて体を鍛えるようになった中学・高校時代。

「世の中やるかやられるか、スキを見せれば足元を掬われる」

という考えは変わらず、その思想は友人関係にまで影響していました。

いま思うと非常に滑稽なのですが、当時は学校の先生や同世代の友人にすら

「この行為にはなにか打算や悪意が潜んでいるのではないだろうか」

という考えを持ち、常にうがったものの見方をしていました。


しかし、「自分は人を信用しないが、人には自分を信用させて

安全に立ち回るにはどうしたらいいだろう」ということは常に考えており、

その答えが「相手の要望をできる限り叶え、恩を売る」ことでした。

言うまでもないですが日々そんなことをしていれば

つまるところただの親切なお人好しであり、

そんな人間はむしろ好かれて当然といえます。


ところが僕はその根底に人間不信にまみれた厭世観があり、

自分の行動によって得うる他者からの好意を

ことごとく打算や悪意の産物と捉えていたのです。

「みんなのようにいつも笑顔で仲良くしないし、

明るく楽しい話もしないし、そんな人間を好きになるわけがない」と。

学校で周りに溢れる話といえば家族との団欒に

友人との遊び、部活の愚痴や授業の不満。

しかしそういった話をするクラスメイトはみんな笑顔で楽しそうであり、

自分の後ろ暗い家庭状況などだれも聞きたくないだろうし、

話せばそれこそ無駄に嫌われるだけだと思っていたので

自分の身辺は必要以上に語らないようになりました。

そんな歪んだ思春期だったので友人とのいさかいや

教員との確執も多々ありました。

が、それは大きな問題にならなかったので割愛。


そんな中で友人の頼みごとや困りごとは進んで解決していくわけで、

気づけばいつしか「おまえって自分の話をしないよな」

「あいつはどこか壁がある」「ミステリアス」「ただ悪いやつじゃない」

「信頼できる」というような評価をもらうようになり、

『ぶっきらぼうだが情に厚い職人肌』のようなポジションを

確立していきました。しかしある時期部活動で

練習やミーティングに消極的でだらけた態度に出るチームメイトに

「なんで俺みたいにがんばらないんだ、勝ちたくないのか」

「こんな活動に時間を取られて遊びや勉強の時間を無駄にしたくない」

と嫌気がさして部活を辞め、同じようにひねくれていたり

はじめから課外活動などせずに自由気ままに高校生活を送る友人達と

連日つるむようになり、気づけば自分にとって

とても居心地のいい仲間たちが集まるようになっていきました。

いま思うとみんなやるべきことはこなしていたし、

チームメイトへの不満は非常にひとりよがりなものだったのですが。


そして気づけばチンピラの集いみたいな日々のだらけた放課後生活や

文化祭を通した校内外との交流などにも積極的になり、

部活を辞めても当時のチームメイトたちは仲良くしてくれ、

人間不信などどこ吹く風、家庭は嫌いだったものの

学校は自分にとって唯一と言ってもいいほどの居場所になっていました。

そのころの写真を見ると、非常に柔らかな笑顔をしていたと思います。

(キャッチ画像はみんなでイタズラしたときの反省写真です。
名付けて”大人気男性アイドルユニット【 Bo’z(ボーズ)】”。
平日の教室で大パイ投げパーティーをして
再起不能、授業不可能の状態になりました。
クラスメイトの誕生日でした。
みんなでQBハウスに行って全員五厘刈りになったのはいい思い出です。)


結果高校3年生に上がるころまでは体ばかり鍛えて遊び回り、

成績はどん底もいいところ、進学は絶望的でした。

しかし「このままではいけない、親父があれだけ苦労して

行かせてくれた進学校なんだ、それなりの大学を目指してみたい」

と思い立ち、父も「金のことは心配するな、おまえが行きたきゃ

私立でもなんでも行け」と背中を押してくれたので

当時の学力を冷静に鑑みて勉強科目を3科目に絞り、

私立大学専願での大学受験を決意しました。

友人との遊びもほどほどに断ち切り、

30台だった偏差値は60台に乗るまで半年かかりませんでした。

まさに尻に火がついた状況だったと思います。


そして迎えた卒業式、日本人ならだれでも知っているであろう

第一第二の志望校には受かりませんでしたが、

余裕の成績で学習院大学経済学部への現役進学を決めた私は、

やさぐれていた自分に純粋な友情を育んでくれた友人たちへの

言葉にできない感謝と将来へのささやかな希望を胸に、

6年間育った母校を卒業するのでした。


城北成人式

(成人式を兼ねた大同窓会。大学2年次に撮影)

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