第四話 山井那奈(壊れかけ)
ベッドの上の山井那奈はドアが開く気配で目が覚めた。
男たちが帰ってきた。
那奈はノソノソと起き上がるとヘッドボードを背にして座り込み汗と血と尿と精液で汚れた薄い毛布で体を覆い直した。手錠で柵状のヘッドボードに繋げられている右腕以外。
「まだ生きてんじゃん」五人のうちの一人、五十嵐が部屋の中を爆音のヘビーメタルで満たしていたスピーカーの電源を切りながら言った。
男たちの姿を見ると山井は体が震えるほど怯えたがそれでも良かったと思えたのは、帰ってきたのが男たちだけだったことだ。別の