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男女どちらを小説の主人公にするか決める方法

小説を書くときに、まず主人公の性別とプロフィールを決めます。多様性が尊重されるご時世でも、男女どちらの性別のフィルターを通すかは物語の様相を決めることだと思います。

物語のテーマが性別に依拠している場合は、主人公も自然と決まります。例えばシングルマザーの貧困をテーマにするなら、当事者の心情を描ける女性を主人公にした方が書きやすいです。
ただ、テーマによっては、別の性別から見た方が客観的に描ける場合もあります。セクハラを受けている女性を助けるために男性視点で描く手法もあるでしょう。

悩むのは、男女どちらでも成立する物語の場合です。
拙作「ひとりたちの余命」に収録されている6篇の短編のうち、女性主人公の作品が3篇、男性主人公が3篇です。「女社長の余命」「ギャルの余命」は女性性か母性を主題としているので、主人公は自然と女性になりました。全く悩むことはなかったです。
「マッサージ師の余命」は男女どちらが主人公でも成立する話だと思います。無口で人と接するのが得意ではないマッサージ師なので、男性が主人公でも成り立つ気もします。
「5歳の余命」は、男子児童が全盲のお爺さんにお話を聞かせる話です。これも女子が主人公でも成立すると思います。
「戦場の余命」は、戦争で戦う傭兵が主人公です。今では女性兵士もいるので、男性が主人公でなくても構いません。

物語を描くときに、男女どちらにするか悩んだ記憶はありません。僕の場合、小説を書くときに絵を思い浮かべているので、その絵に描かれた性別のまま採用することが多いです。
ただ、その方法は、自分の意識下での偏見(とまではいかないかもしれませんが、決めつけ)が作用している気もします。
マッサージ師なら女性、兵士なら男性みたいな決めつけが自分にはないかと問われると、正直自信がありません。
自分のイメージと異なる性別を据えてみるのも面白いかもしれません。当事者ではなく、離れた視点から観察することで見えるものもあるかと思います。
まだ、試したことはありませんが、思い浮かぶイメージと反対の性別を主人公にして書いてみるのも悪くないかも。そうやって性別にこだわるのも古い考えなのかもしれませんが。



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