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解説書、出版しました。作品紹介を兼ねて3つのこだわりをご紹介します。

2024年の2月に「これ一冊ですべてわかる PPP/PFIの教科書」という解説書を、中央経済社より出版しました。ウレシイことに、発売開始6日目でAmazonで在庫切れ。発売1週間で増刷が決まり、3月下旬にも再増刷が決ましました。執筆は地獄の日々(笑)でしたが、PPP/PFIの情報を探している方にお届けできた実感があり、本を出して本当に良かったと思っています。

15年以上前から、PPP/PFI(官民連携)分野のコンサルタントとして、民間や行政を相手に、全国を駆け巡ってきました。
ウレシイことも、楽しいことも、理不尽なことも、腹が立つことも、色々経験し、公募側の地方公共団体のためののポイントも、応募側の民間企業者側のためのノウハウも、たくさん学ぶことができました。

でも、PPP/PFI(官民連携)分野は、制度が多岐にわたり、そもそもPFIがイギリス発祥ということもあって、アルファベットやカナカナの専門用語も多くて、「知っている人」と「実はわかっていない人」の差が大きいのです。それなのに、難しいことは難しいままで解説されている資料ばかりで、知識ゼロでもわかる基本解説書が存在しないことが気になっていました。

そこで、「誰もがカンタンにスルっと読めて、でも基本だけにとどまらず実践的なスキルも習得でき、しかも、新しい切り口による社会的な課題に対する視座を持てる」という、この1冊で「おいしいとこどり。」ができる解説書を執筆することにしました。

ここでは、こだわった3点をご紹介します。
その前に、ひとことだけ「それで、そのPPP/PFIって、何ですか?」についてお話させてください。


現在、全国の多くの自治体では、戦後の人口増を伴う大規模な都市開発と、その後の急速な少子高齢化の影響を受けて、公共施設の老朽化や陳腐化、余剰という課題を抱えています。
地域のにぎわいの核だった商店街はすたれ、せっかく駅前につくった交流施設なども思ったほど人は集まらず、水道や道路、橋などのインフラ維持の負担も大きく、すでに自治体のチカラだけでは、まちの活力や安全性を確保することが難しくなりつつあります。
 
こうした中で、国が推進しているのが、PPP/PFIすなわち官民連携によるまちづくりです。公共と民間が連携し、地域住民への公共サービスの提供のために、民間ノウハウをフルに発揮してもらうことで、行政職員だけでは企画できなかった魅力的な施設や、自治体だけでは思いつかなかったインフラ管理技術などを導入することが、期待されているのです。
 
ただ、この官民連携(PPP/PFI)の手法は、先にもお伝えしたとおり、制度など理解するのに時間がかかり、それに慣れている大手ゼネコンや先進的な自治体職員などはともかく、まだ取り組んだことのない自治体や地方企業は、何から手を付ければよいのかわからないことも少なくありません。
 
そこで、「まったく経験・知識がない方でも気軽に読め、読み終わった時には、専門的な取組みができるようになる」ことを目指し、解説本を出版したというわけです。


さて、では、こだわりの3点のお話を。
1つめは、「わかりやすさ」です。
PPP/PFIに携わるヒトは、自治体職員であれ、民間企業社員であれ、みんなが法律に詳しいわけでも、制度を熟知しているわけでもありません。
そこで、「電車の中で鼻歌うたいながら読んでも、基礎知識がスルっと理解できる」ことを目指し、文章表現にこだわりました。

PPP/PFIの難しい制度を、難しいまま解説するのは、私自身セミナーなどでもよく行う手法でもありますが、わかりやすくするには、言葉そのものの解説はもちろん、書物として前から流れるように構成することが必要です。
そのため、社内の誰の手も借りず、ライターなども入れず、全ての原稿執筆と全ての裏付け調査をひとりで行いました。

仕事しながらの原稿執筆はなかなか大変でしたが、だからこそ、全体の解説トーンを揃えることができたように思います。


2つめは、「事例紹介でページ数を稼がない」ことです。
実は、出版社の方との最初の会議では、執筆にわりと取り組みやすく、でもページボリュームが増やせる「事例紹介」をふんだんに取り入れることを勧められました。確かに、制度解説に比べ事例紹介はイメージしやすいので、読者からの評価も高くなると思います。

ただ、内閣府や国土交通省が無償でたくさん事例紹介資料を公開しているし、そもそも世の中の成功事例には、表に出てこないけれども、その案件だから通用した特殊な事情が隠れていたりします。
そのため、解説書として紹介するならば、それらの裏どりをすべて行い、「これは、全国どこでも再現可能なおススメ事例だから、参考にしてみて!」と言い切れない限り、無責任ではないかと思っていました。

結果的に、事例紹介はほぼ無いまま出版しましたが、民間企業の読者の方から、「わかりやすかったので、これを参考に初めてのPPP/PFIに取り組んでみようと思っている」というご連絡を先日いただいたので、事例ナシでも伝わったな…とうれしくおもっています。


そして3つめは、「自分(自社)の自慢につなげない」ことです。

コンサルティング会社や民間シンクタンクなどが出す書籍やネット記事、セミナーなどは、実は、解説をしながらも「・・で、他のやつらはイマイチで、結局オレたちに任せたら上手くいくんだゼ」という結論に持っていくためのストーリー展開というのが多くなっています。

コンサルタントにとって、ビジネス戦略の一環として書籍や記事を出版書くのが一般的だと思うので、それを一概に、否定しようとは思いません。
ただ今回は「教科書」と銘を打っており、例えばコスト的にコンサルに依頼する予定がない自治体や地方企業の方にも、ニュートラルな情報をお伝えしたかったので、自社誘導を徹底的に排除しました。

逆に、他社であっても、「この書籍は役に立つな」「この方の論評はすごいぞ」と思うものは、どんどん紹介しています。
(なので、出てくる氏名・企業名・自治体名は、すべておススメのつもりで記載しています。)
ちょっと商売っ気がなさすぎるかもしれませんが、本当にPPP/PFIの入り口に立つ方の「教科書」として、愛され続けるとうれしく思います。


PPP/PFIは、自治体のまちづくりに活用する制度で、これを読んでくださっている、日本に住む全てのヒトに関係しています。そのため、仕事てPPP/PFIに関わっていない方も、もしもこの本をどこかで見かけることがあれば、手に取っていただけるとうれしいです。

「やっぱり、専門用語なんぞ、わからん!」という方は、ぜひ、各章の最後にあるコラムをどうぞ。PPP/PFIの専門知識は一切関係なく、でも「なるほど・・・これからのまちは、どうなっていくんだろう・・・」と考えていただくヒントになっていると思います。

コラムの登場人物の名前の由来の秘密も、絶賛募集中!
これが由来かな?とわかった方は、ぜひコメントお待ちしています。


◆後日談◆
「わかりやすさ」をご評価いただき、先日(3月28日)、建設業関連の専門紙である建設通信新聞さんに「著者と1時間」というインタビュー記事を掲載いただきました。
記者の坂川さんが、1時間インタビューにお越しくださったのですが、本当に内容を読んでくださっており、プロの新聞記者の方から、「お世辞ではなく、わかりやすかった」というお言葉をいただいたのは、一生の宝物となりました。
今年で発刊2万号を迎える建設通信新聞さん、どうもありがとうございます!

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