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最高の先生

 今日は、中学校のときの先生の話をしよう。

 中学生になったばかりの時、教室の隅で本ばかり読んでいた。自分でも信じられないんだけど。
 私の住んでいた学区はね、そこそこ人数がいたこともあって小学校からのそのままの持ち上がりなんですよ。他の小学校の人と同じになることもないし、中学受験した人だけがいなくなっちゃう感じの学校で。
 つまりつまり、クラスメイトは、全員知り合い。少なくとも名前と顔は一致しているんだけどなぜか空気に馴染めなかった。今振り返っても謎の1ヶ月。
ってか「アイツキャラ変してるぞ」ってヒソヒソ声が聞こえてきたぐらい。
 小学校までの私のキャラを唯一知らない人が声をかけてきた。

「本!好きなんだ!」

 あの顔は、今でも忘れない。担任のO先生だった。
 
「あ、いや、まぁ。。」
苦笑いで答えた。
 自分でも何で本読んでいるのかわからなかったし、出席番号が1番だったこともあって端の一番前の席だったから、そういう生徒に見えたんだろうね。
 O先生は、英語の先生で歳は多分36歳。もっと若く見えてた印象なのを覚えている。結婚もしていて確か子供もいたはず。実家は貧乏って言われてずっと育ったのにハワイ旅行に家族で行ったときに実は貧乏じゃないのかも、とか思ったんだって。その旅行中にエレベーターで声をかけてきた男性がすごくかっこよかったとか、中学生に目線を合わせながら接してくれる人。人気あったと思う。
 あと一番覚えているのが、家族で寝る前に必ず「愛してるよ」って伝える話。とにかく「愛」を大切にしているらしい。
 「愛(love)ってどうやって書くんですか?」って訊いたら、「書くものじゃないよ。愛は、感じれば良いんだよ」ってプーさんの世界線で返されそうだった。
 とにかく優しくて中学特有のヤンチャな生徒のいなし方もバッチリなだった。ヤンチャな生徒が下ネタ見たいな話をしていた時なんて「そんなこと考えてるんだぁ♡」とか言って、ヤンチャ君たちをからかっていたのを覚えている。
 そんな中学生のこころを全てお見通しなO先生なんだけど私には、一段優しくて気にかけてくれていた。球技大会のときに昼休みに先生の席に呼ばれたかと思うと「午後も頑張ってね!」とか言って弁当の唐揚げを一つくれた。
 
「先生!頑張ります!」

とは、当然言えず、「いらないっすよ〜」とか香ばしいこと言ったんだっけ。
でも素直に喜ばなかったのと、心でガッツポーズしたのだけは覚えている。
 O先生が担任だったのは、1年生の時の一年間だけ。ていうか、先生には付き物の異動ってやつで違う学校に行ってしまった。その事実を知った時は正直落ち込んだなあ。
 だってもう唐揚げくれないんだよ?苦手な英語教えてくれないんだよ?
少し経って別の先生が、O先生と食事に行ったときに私の名前を出してくれていたらしく、「期待してる」って言ってたんだって。そのときは素直に嬉しかったな。何に期待してくれてたのかは分からないけど、それでもそう思ってくれていたのが嬉しかった。
 今もまだ教員してるのかな。
 それでは、また!

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