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火の玉を見た 本当です

今から20数年前のこと、深夜に大きな火の玉を見たのです。今回はその体験談をご紹介します。 決してホラではありませんので・・・

裏のお寺

私の家は、鳥取県境港市という港町に建っています。
魚介類がおいしくて有名ですが、もっと有名なのが「ゲゲゲの鬼太郎」の作者として有名な、水木しげる先生が幼少期を過ごした町でもあることです。

妖怪や幽霊の話には事欠かない土地なので、あの名作が生まれたのでしょう。今回の話も、この土地だからこそ起こりえたことかもしれません。

私の家の裏には大きなお寺があり、裏木戸から境内に抜けられるようになっています。

子供のころには境内で、かくれんぼやキャッチボールをして遊んだものでした。
町中の寺なので夜も比較的明るく、不気味さは全くありません。 
まさかここで、あんなものを目撃するなんて・・・

ある日の深夜

ある10月の深夜、午前2時ごろでしたか、おしっこがしたくなり目が覚めました。

私の部屋は、家族が寝ている母屋ではなく「離れ」になっていたので、トイレに行くにも母屋のカギを開けて、靴を脱いで上がらなければなりません。

とてもめんどくさかったので、いつも道路際のブロック塀に向かって放水していました。

その日も寝ぼけまなこで放水していましたが、ふっとお寺のほうを見ると、本堂の大屋根に何とも言えない違和感があったのです。あたりの木の枝が何だかボーッと光っているような。

火の玉ついに登場


突然お寺の屋根の上からシュバババーッ、という音とともに目にも鮮やかな真っ赤な火の玉が空中を10メートルほど横切り、バーンという大音響とともに破裂したのでした。
火の玉の大きさは、直径1メートル以上もあるように見えた超大物です。

あわてて寺まで走り、境内から火の玉が出たあたりを見回しましたが、なにか起こった痕跡などは見当たりません。

不思議なこともあるものだと思い、また布団に入って朝まで寝たのでした。

母親の体験談


朝になり、早速その話を母親にしましたが、たいして驚きもせず終戦直後の昔話を聞かせてくれました。

それによると、母親のおばあさんが亡くなった後の四十九日法要の日に、当時住んでいた長屋の裏を、真っ赤な巨大な火の玉が横切り、大音響とともに破裂した、というのです。

昨夜の火の玉と色も大きさも、破裂して消えるエンディングも、同じじゃ!

「あれは、おばあさんの魂があの世に火の玉となって去っていったに違いない。お前が見たのも誰かの魂だろ」
と、こともなげに言うのです。

後日、法事で集まった親戚に確かめたところ、「自分も見た」との証言を複数から得たのでした。

ミステリアスな話を聞くまでは良かったのですが、そのあと急に母親が憤怒の表情に変貌し、こう言ったのです。

「ブロック塀にションベンをするな!」

情けなくも40歳にもなって、こっぴどく叱られたのでした。
火の玉のせいで、とんだとばっちりを受けたものです。
クソ火の玉め !

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