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ヘルプマークを半年付けてみて分かったこと 〜双極性障害の頭の中 47

みなさん、こんにちは。
双極性障害2型(双極症)のフツーの会社員、パピヨンです。

昨年、障害者手帳を取得した際にもらったヘルプマーク。
散々悩んだ末に、これを初めてバッグに付けたのは昨年9月です。
ヘルプマークを付け始めて半年が経ったので、感じた事など記しておこうと思います。





◾️ヘルプマークを付けて知ったこと

障害者手帳と同時にもらったヘルプマークでしたが、ずっと付けるのを躊躇っていました。
精神障害者の多くは外観からでは“障害者”に見えません。

「電車で座りたいからヘルプマーク付けてるんじゃね?」

と思われそうという恐怖でずっと付けられずにいました。
しかし、私は満員電車が苦手で通勤もフレックス出勤させてもらっています。

そして昨年の夏、とある満員電車でのアクシデントをきっかけに“電車の中だけ”ヘルプマークを付ける決心をしました。
↓↓


あれから半年が経ちました。
そこには良くも悪くも“今まで見えなかったもの”がたくさんありました。


◾️ヘルプマークは誰も見ていない


まず、初めにに知ったこと。

『電車の中では、みんなスマホしか見ていない』

ということです。
ドキドキしながら付けている私のヘルプマークなんか、みんな1ミリも見ていません。
99%の人がスマホに夢中です。

満員電車で席を譲られたのは、半年でたったの一度きりです(20代くらいの若い青年でした。ありがとう!)

こうして改めて電車の中を見回してみると、もうほとんどの人がスマホをいじっている。
ヘルプマークに気付く云々という思いよりも、

「通勤電車の光景を変えちゃったスティーブ・ジョブズって凄いな!」

という謎の感動まで覚えるくらいです笑

とにかくまぁ、誰もヘルプマークなんか見ていない。


◾️優先席でも席をゆずる

ヘルプマークを付けたことで、罪悪感無く優先席に座ることが出来るようにはなりました。
しかし、明らかに優先席が空いている時だけにしています。

優先席に座っている健常者(たぶん)の前にヘルプマークを付けて立っていても、席を譲ってもらえたことは一度もありませんでした。
みんなスマホに夢中だからです。
なので、優先席が埋まっている時に前に立つのは辞めました。なんだか側から見ると『ヘルプマーク付けてんだぞ!気付けよ!』と、威圧感に見えるのでは?という周囲の目が気になってしまい、怖くて満席の優先席には近づけません。どこまでも自意識過剰ですが。

そして優先席に座ったとしても、席をゆずる機会は逆に増えました。

何故なら『杖をついた人』が目の前に立っていてもほとんどの人が席を譲らないからです。
優先席はたいてい2〜3席繋がっていますよね?
ですが、『杖をついた人』に気づくのは大抵私だけです。
私は優先席に座った時にはスマホを見ないようにしています。そのためどうしても真っ先に気付くのは私になります。

『杖』で車内に立っているのは、さすがに物理的にも危険なので席を譲ります。
しかし、譲られた『杖をついた方』も、私のヘルプマークを見てためらわれますが、揺れる電車では“精神障害者”よりも“杖”の方が優先だと思っています。

自分がヘルプマークを付けてみて初めて、優先席であまりにも無視される『杖をついた方』の姿に気付くようになりました。

“杖をついてヘルプマークも付けている”のに気付かれないんじゃ、ヘルプマークだけなんて気付かれるワケが無い。

スマホ、恐るべし。


◾️優先席は居酒屋

これも自分がヘルプマークを付けるようになって初めて気づいたことですが、電車の優先席でお酒を飲んでいる人がめちゃくちゃ多いこと。
特に電車がすいている時にしばしば出くわします。

『すいているなら人があまり寄りつかない優先席で』

という心遣いのようですが。
優先席は居酒屋じゃ無い。
う〜ん、居酒屋か家で飲んでくれ。

優先席に座らないまでも、優先席の前は車椅子用に広いスペースがある場合が多いですよね?
あのスペース、手に缶ビール持って立ってる人めちゃくちゃ多いんですよ。(私が乗ってる線だけなのかなぁ?)
中にはロング缶用のカバーみたいなのを缶に被せて飲んでるベテランもおられまして。一応隠してるつもりなんでしょうか?

だから、優先席付近は常に酒くさい。
これも今まで気づかなかったことです。


◾️それでもお守りにはなっている

私が苦手な場面は今のところ通勤電車だけなので、電車から降りたらヘルプマークはしまいます。会社の同僚に見られたく無いという思いもあります。

私は、会社には“障害者”であることを開示していますが、同僚すべてに“障害者”であることをオープンにしている訳ではありません。
なのでトップ写真のように持ち手部分にポケットがあるバッグを使っていて、電車の中だけヘルプマークを外に出して使っています。

たとえ電車で気づかれなかったとしても。
万が一過呼吸が起こった時のお守りとしては、安心感をもたらしてくれています。





スティーブ・ジョブズがiPadを開発した時、自分の子供には触らせなかったのは有名な話。
デジタルの世界は魅力的。
彼は世界中の通勤電車の風景を変えてしまったと言えるでしょう。

ヘルプマークを付けた人に目もくれずスマホに熱中している今の状況を見て、天国のスティーブ・ジョブズはどう思うんだろう…。

いや、自分がヘルプマークを付けるまでは、自分もたくさん無視してきたのかも知れない。
そう考えると酷く申し訳ない気持ちになってくる。

なってみないと分からない世界がたくさんある。

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