連載小説「49」第7話
【穏やかに変わりゆく】
その夜はサトさんという男性の家に泊まった。子供達が独立して夫婦2人というその家は、温かく俺を迎えてくれた。外の人間というのはみなこうなのだろうか。俺は必要な接触しかない村の人間達を思い出していた。
「サカドには弟がいたんだがな……」
大雨で亡くなったんだとサトさんは教えてくれた。知っていることだったが人から聞くのはまた違う印象を持つな。村を出てから初めて体験することばかりだ。
次の朝、迎えにきたサカドと簡単な準備をして村を出た。サカドは手際良く旅程