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包丁を持ち出した息子

何気ない朝の会話から、急に包丁を持ち出した息子。

その場が一瞬で凍りつきました。

実は私からしたら、また?という出来事でした。

娘にとっては、このような状況は初めてでしたので、

とても恐怖を感じていました。

他人から見たら、恐ろしい場面でしょう。

悲しいことに私は、この状況に少し慣れてしまっていました。

なぜ、息子は包丁を持ち出したのか。

理由は、家族間の何気ない会話から、結果自分が当たり前と感じていることを

指摘されたと感じたからでした。

こんな些細なことで?と誰もが思うと思いますが、

実は、息子にとっては、このようなことが今までに学校等含め、何度もあったというのです。

「何で自分はいつもこうなんだろう」と、そんな自分や、自分の人生に嫌気がさして、

自分で自分を切りつけたくなって、思わず包丁を持ち出したとのことでした。

ですので、包丁を持ち出した時点で、誰かを傷つけようと思ったのではなく、究極な自虐的思考の状態で、息子は自分を傷つけようと思ったのでした。

かなり激しい神経質で、プライドが高いとも言えると思います。

ヒステリックとか、パニックという言葉が当てはまるのでしょう。

でも、私は、息子の気持ちを理解できないわけではありません。

息子が包丁を持ち出した瞬間は、もちろん ドキっとはしますが、まさか本当に家族の誰かを傷つけたり

自分(息子自身)を傷つけたりはしないだろうという思いがありました。

今回のようなことが、いままでに3度ほどありました。

初回は、恐怖で警察を呼んでしまいました。

2度目からは、恐怖心はもちろんですが、悲しみやら怒り、疲れと呆れなどの感情が複雑に絡み合い

とにかく 一刻も早く 包丁を閉まってほしいと思っていました。

今回3度目の包丁の持ち出しでしたが、3度目にして初めて、

なぜ息子は包丁を持ち出したのかを、深く掘り下げて聞くことができました。(やっとです)

1回目の包丁の持ち出しの際は、私が警察を呼び大ごとになってしまったので、

息子は警察に強く叱られました。警察は、息子が私のことを脅そうとしたと思ったようです。

息子がいくら、母を脅したり、刺そうとしたのではなく自分を傷つけようとしたと訴えても信じてくれなかったそうです。

1回目のその当時は、息子がなぜ包丁を持ち出したのかを、

深く聞こうとする心の余裕がなく、

私も警察と同じ気持ちで、息子が私を脅す為に包丁を持ち出したのだと

思い込んでいました。

2度目の包丁持ち出しの時から、おや?息子は私を刺そうとしているのではない?と

気づき始めました。どうやら息子は息子自身を刺そうとしている。。

ということで、今回の3度目を迎え やっと、腰を据えて、なぜ息子が包丁を

持ち出したのかを、聞き出すことができたのです。

包丁を持ち出した理由は先に記載した通り、自分が当たり前に知っていることを、指摘をされたと感じたからでした。

そこで、私は息子へ下記のことを伝えました。

”人の考え方は千差万別で、みなその千差万別の価値観の中から、

発言をしている。そこにはそれ以上もそれ以下もない。

あなたの考え方の癖は、自分が否定されたと感じるアンテナがとても強く立っている。

なので、家族団らんを楽しいと感じるアンテナではなく、話しの内容から

自分が指摘を受けたことだけにフォーカスをあてる”思い癖”が強すぎると思う。

いわゆるトラウマのようなものからすべてを見ているということに

気付いてほしい。”

と話しをしました。

ではなぜ、そのようなトラウマができてしまったのかというと、それは

私の育て方のせいも関係しているということも伝えました。

そして、大事な次のことも話しました。

包丁を持ち出した時点で、どんな理由があろうと、傍にいる他人は家族で

あっても誰でも自分が刺されると思うのが当然の心理なので、他人の前で

包丁を持ち出してはいけないと。


息子は私の話しに、理解を示してくれました。

この数回続いた”包丁持ち出し”の件で、こんなにちゃんと話しが出来たのは、初めてでした。 

息子は絶望と悲しみの果てに包丁を持ち出していましたが、私は自分が刺されると思っていました。

こんなに何年も、息子のことで、頭を悩ませていたはずなのに、実際は

息子のことを何も分かってあげられていなかったのだと、自分が情けなくて仕方ありません。

いずれにしても、一旦は、息子は私の話しに納得をしてくれたのでした。

ですが、頭では理解をしても感情が爆発してしまうのを抑えることは難しいと感じています。

そう簡単に人の心は変わるものではないと思いますが、

ことあるごとに、タイミングを見ながらで話していくしかないと思っています。

少しづつでも、本音トークを意識して過ごすのみです。




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