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最強のラテン音楽を求めて|マキマさんも田舎のバジェナートが好き編|Liner-note

ラテンミュージックの世界では不思議大国だったりするコロンビア。この国にはいろんな音楽があってVallenato/バジェナートもそのひとつ。特徴はアコーディオンを前面に押し出している点で、その音色がこの音楽をどこか感傷的にさせている。

どうやらベネズエラとの国境にあるセサル県あたりが発祥らしい。その県都バジェドゥパルでは、El Festival de la Leyenda Vallenata(フィエスタ・バジェナータ)が毎年開催されている。1968年からだから結構な歴史がある。人口40万人ほどのなんの色気もない地方都市に何千何万もの人が集まり、1週間まるまるバジェナートの狂宴を繰り広げるのだという。自分的には「コーチェラ」や「フジロック」や「シカゴ・ブルース・フェス」なんかより数段行ってみたい度が高い。

このフェスでは「レイ・バジェナート」という最高栄誉の賞がある。初代受賞者のAlejandro Durán/アレハンドロ・デュランが長らくバジェナート界の王様とされた.

そんな昔話はおいといて、バジェナートをメジャーシーンに押し上げた中興の祖はCarlos Vives/カルロス・ビベスと言い切っても問題ないだろう。ディズニー映画の『ミラベルと魔法だらけの家』のテーマ曲を歌った人で通じるかな?

ビベスはこのやぼったい田舎音楽をロック風にリノベした。1991年、バジェナートの伝説的な作曲家を題材にした『Escalona』というテレビドラマの主演に抜擢され、好評を得たこともビベスの人気を後押しした。1994年のアルバム『Clásicos de la Provincia』はビルボードのラテン部門2位を記録している。

改めてバジェナートを要約してみよう。アコーディオンを中心とした楽器編成で、他にはカハという太鼓やグァイタという笛、スパニッシュギターなどが加わる。パセオのリズムを基調としている。歌詞は感情豊かで詩的であり、しばしばコロンビアの日常生活や風景を描写する。

では例題に入る。

Perdóname, Los Gigantes Del Vallenato

まずは泣ける曲から。
ロス・ヒガンテス・デル・バジェナートの「ペルドナメ」は、イントロのボタン・アコーディオンとギターが叙情的なアレンジで、泣き虫顔のボーカルのエベル・バルガスをのっけから泣かせにかかっているようだ。「オレは結局きみを愛し、きみの友だちを続けることができなくなった。ごめんよ」というベタな歌詞が、ラテンアメリカ中のもてない男たちの心を鷲掴みにしたんだろうな。

Donde Estarás, Los Embajadores Vallenatos

次も泣ける曲…っていうか、バジェナートは基本ブルージーなので(と強く思い込んでいる)。
ボーカルのロビンソン・ダミアンとアコーディオン奏者のラミロ・コルメナレスのデュオ。名手ラミロは2022年9月17日没。合掌。前の曲でもそうだが、バジェナートの間奏で土地や人の名前をやたらと連呼するのに最初は驚いた。ハマるとこれもまたクセになる。あと、殺し屋顔のロビンソンはビデオに出ちゃダメ!

Full Full, Pipe Peláez y Manuel Julián

最後ににぎやかな曲をライブでお楽しみあれ。
ボーカルのピペは1976年生まれ、アコーディオンのマヌエルは1985年生まれと前二者より若い。この映像で初めてバジェナートのステージダンスを見たような気がする。早口のサビ部分で、YouTubeの字幕機能がまったく追いついていないうえに間違えまくるのがユーモラス。語呂がいい歌詞「フルフル」をスペイン語として理解しようとしているからかな。

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