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おじさん小辞典 其一【おいらーの法則】


高の呪縛
おじさんたちの若かりし頃には、多くの仲間がそのワードの呪縛に囚われていた時代がありました。
  高学歴 高収入 高身長
今では、あまり耳にしないワードですが、当時は女性が男性に求める理想像(結婚相手)の決定的条件でした。

顧みれば、世の男性は涙ぐましい努力をしてきました。
勉強・資格・素養など、それぞれスキルアップのため、生活費や小遣いを切り詰め自己投資してきました。
そう、全ては、『高のバッジ』を獲得するためです。
その心意気は千編一律です。
現代の成長ゲームよろしく、高アイテムを獲得していけば、己の経験値がパワーアップしていくことを信じていました。
リアルロープレゲームです。
そして、ゲームの終着点では、美しいお姫様をこの手に入れて、この世の覇者になれると信じていたのです。
完全に、脳内風景がお花畑でした。

高の呪縛
当然、そんな取り組みは無駄だとの意見もありましたが、所詮、少数意見であり、なにぶん「高」信者が多勢を占めていたご時世、異論を唱えようものならば異端者扱いでした。
そう、カルト教が一世風靡していたような、そんな空気が流れていた時代。
でも、女性の意見が、男性に影響を与えていたと言うより、男性側の求めるステータスが女性側の意見をしてトレンドへ導いていたのです。
逆ヴルウィップです。

高の呪縛
経済の原理の視点から、需要と供給という流通を俯瞰すると、実に正常な男女経済活動だと誰の目にも映ります。
滞りない健全な流通です。
と言うのも、その一時期の、男性は実に大人しかったのです。
自らステータスを確立してトレンドを発信するような、自立した男性は少なく、女性からの要望に応じて、男性側のトレンドが生まれるという、同調行動が多勢を占めていました。

高の呪縛
ええ(*_*) まじい

と疑念を抱く諸氏の皆様、特にZ世代の皆様に当時の若者の生態について、一例を披露します。
典型的な、例は「アッシーくん」と称される男性で、対峙する女性との関係は送迎のみという立ち位置なのです。
つまり、タクシー代わりの足として使われている男性を揶揄して「アッシーくん」と呼ばれていました。
女性の求めに応じて足代わりに使われるだけで、何のリターンもないのです。
純粋に無垢な心が故だったのです。
理解不能ですが・・・

高の呪縛
しかしである。
そんなほとんど不毛と思われる『高バッジ』集めのトレンドも衰退しました。
原因として、女性の価値観の変化だとの意見が多数でしたが、私の推論では奮闘していた若者たちの、心のプラットホームが
ただモテたい
という不純な動機だったからだと思います。
自己啓発を継続させうる信念は、やはり己の美学です。
心から、自己を高めたいという純粋な気持ちに裏打ちされていない志が、根底にないので早期に脱落する者が多いのも自明の理です。

そもそもである。
求められている学歴も、超有名大学である、東大・早稲田・慶応レベルが相当で、高収入の道も優良企業への就職が必須条件です。
ハードルが高く、乗り越えられる者はほんの一握りの人たちなのです。
つらつら思うに、高身長は先天的な要件であり、努力云々というレベルとは次元が違います。
高身長を目指した取り組みは、せいぜい、牛乳を大量に消費したくらいで、それで成長ホルモンを活性化させられるのか。(・・?
案の定、胃腸を壊した者たちの悲鳴の方が多かったような気がします。
しかし、世の男性たちは、少しでも『高』アイテムを獲得しようと躍起になっていました。

高の呪縛
時は移ろい『高の呪縛』が解けた諸氏たちですが、最近新たなワードの呪縛に苛まれています。
高血圧・高脂血症・高コレステロール値
共通項がやはり『高』です。
ありがたいことに、健康優良児の私は、どこ吹く風と、まるで他人事であり、あたふたしている仲間たちを傍観していました。
しかし、当のおじさんたちは、焦っています。
なぜなら、今回はドロップアウトできません。
収集する『高バッジ』ではなく、順番に外していかなければならないのです。
次の健康診断は、審判の日を待つような心持です。

高の呪縛
多くの、不名誉勲章を頂いている仲間たちが、取り掛かったのは食生活の改善だと言って、一様にyoutubeで健康法を検索していました。
すると出てくる。出てくる。
コンテンツの多さもそうですが、驚いたのはそのタイトル見出しです。
「唐揚げを食べるな」「小麦を食べたら死ぬ」「お焦げは、寿命を縮める」等々、水以外に口にできなくなる選択肢を迫られていると、錯覚するくらいの「とんでもサムネイル」の乱列でした。
しかし、健康食生活改善スパイラルに陥っている、当のおじさんたちは、できるだけ多く実践しようと必死です。

高の呪縛
私にも「今から実践した方がいい」と進めるおじさんたち。
驚くのは、得た情報を精査しかみ砕いて要約した上、持論に昇華したプログラムを展開して熱弁をふるってくることです。
ああ、完全に呪縛に囚われている。・・・
気持ちは、良く分かります。
長ずれば、体にもいいことは理解できますが、私の心の方程式には合致しないのです。
私の、方程式とは

ストレス>食生活≠不健康

つまり、日常ストレス値が、食事制限という「がまん値」を超えてはならないというプログラムなのです。
食生活改善を極めるが故に、減った体重に比例してストレスが増加すると、心のバランスが狂ってしまい、その結果体調悪化につながること多々あります。
にもかかわらず、健康のためなら死んでもいいと言わんばかりに「節制道」ここの極めたり、と気炎を吐いているおじさんたちは、どう見ても哀れである。

高の呪縛
私のもう一つの方程式として
  旨いもの=脂肪+糖分+塩分
があります。
方程式の起源は、人類有史以来、初めて火を発見した時代に遡る。
それまでは、生で口にしていた食べ物を「焼く」という行為、調理という食材調理方法を発見したのである。
それを機に食材の味を引き立てる調味料の種類も多く発見され、以来人類はおいしく食べるという方法を追及し続けているのが、食文化の起源であり歴史なのです。
  旨いもの=脂肪+糖分+塩分
これは、おいしい食べ物を定義づけている、万国共通の不変の法則だと結論付けています。

高の呪縛
脱線しました。
だからと言って、毎日暴食暴飲を自分に許すという放蕩生活ではなく、いろいろな食のリスクと付き合いながらも、一方でバランスの取れた食生活を頭の片隅に置いておきながら生活を続けていくことが、現代の食生活の落としどころではないでしょうか。
腹八分目の食生活を続けた後は、少々のアルコールも、そして時には「締めのラーメン」も、自分へのご褒美も大事です。
超健康食究極の食べ物とは二律相反する位置に立脚しているのです。
数学の複素数の極形式として、オイラーの等式

がありますが、あえて心の健康のために
  時々口にする究極の食べ物≒健康
というのが、
  おいらの法則
なのであーーーる。
 ※ 虚数の位置には、究極の食べ物(締めのラーメン)が代入されます。

よし、今日の新年会の帰りは「締めのラーメン」を食べようかな。
あれ、確かおとといも食べたような・・・
方程式変えた方がいいのかな(・・?



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