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ダイエットの基礎知識③

前回の終わりに、「ヒトはなぜ太るのか?」ということを説明しました。
今回のお話は生理学の内容も含みます。宜しくお願いします。

人間の体には、ホメオスターシス(生体恒常性)と機能が備わっています。
体温、血圧、体液濃度などの体の「内部環境」を一定に保とうとする働きの
ことです。

◆インスリン・・・膵臓から分泌されるホルモン(体内調整物質)

食事をすると、食べたものが体内に吸収されるので、
血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇します。
すると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、いわば「作業員」のようなもので、血液中のブドウ糖を
臓器、骨格筋などの細胞に取り込む働きをします。

インスリン(作業員)が働くイメージ

ブドウ糖は体(臓器や骨格筋)を動かすエネルギーになります。
体(臓器や骨格筋)を動かす分には十分なエネルギーを確保しても
まだ、血液中にブドウ糖が多くあれば、インスリンは余分なブドウ糖を
脂肪細胞に蓄えます。
これが余分な脂肪となり、肥満へとつながっていきます。

ちなみに、インスリンという「作業員」が分泌される量は、
血糖値の上昇に比例します。
つまり、急激に血糖値が上がると、インスリンが大量に分泌されます。
緩やかに血糖値が上がると、インスリンの分泌もほどほどになります。

インスリンが分泌されないと、体(臓器や骨格筋)にエネルギーが
供給されなくなってしまいます。
しかし、大量に分泌されると、先述の通り余分なブドウ糖を脂肪細胞に
蓄えるので、肥満につながってしまいます。
さらに、急激に血糖値が上がり、インスリンが大量に分泌されると
今度はその働きによって、血糖値が急激に下がってしまうことに
なります。

◆血糖値スパイク・・・食後に血糖値が急激に上昇・下降すること。

体(臓器や骨格筋)を動かす分には、ほどほどの分泌で十分なのです。
血糖値を急激に上げないような、食事の摂り方が重要になってきます。

「野菜を炭水化物より先に食べると血糖値の上昇とインスリン分泌量が
抑えられる。」

Saeko Imai, Michiaki Fukui,Shizuo Kajiyama(2014) Effect of eating vegetables before carbohydrates on glucose excursions in patients with type 2 diabetes J Clin Biochem Nutr. 2014 Jan; 54(1): 7–11.

☆食べる物もそうですが、食べる順番にも気を配りたいものですね。

また、脂肪の蓄積(脂肪合成)は食べる時間にも影響を受けます。

◆BMAL1(Brainand Muscle Arnt-like 1)
 概日リズム(体内時計)を司る時計遺伝子の1つで、
 脂肪合成を促進させるタンパク質。

体内のBMAL1量の日内周期(脂肪合成の時間推移)

BMAL1(Brainand Muscle Arnt-like 1)の量が少ない時間帯に食事をするのが
望ましいです。できるだけ、0%に近い時間帯が良いです。
上記のグラフから、同じものを食べたとしても、
2時(真夜中)だと、脂肪になりやすく、14時(午後2時)だと、
脂肪になりにくいと言えます。

☆太りにくい食事時間の目安としては、
●朝食・・・ 8時(遅い方が良い)
●昼食・・・13時(やや遅めが良い)
●夕食・・・18時(早めが良い)
このぐらいの時間になります。

「夜型の食事は1日のエネルギー消費量を減少させる。」
関野由香,柏絵理子,中村丁次
食事時刻の変化が若年女子の食事誘発性熱産生に及ぼす影響
日本栄養・食料学会誌 2010年 第63巻 第3号 pp101-106

同じものを食べたとしても、食べる順番や食べる時間によっては、
脂肪が蓄積されやすいことがあるのです。




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