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アナボリックステロイド、基本の『き』サイクル

とりあえずサイクル内容

サイクル表です。

(2024年1月22日 PCTサイクルの薬剤の単位が誤っていたので修正)

トレンボロンを初めて使う場合はこのサイクル表をどうぞ。


【メイン薬剤】

  • テストステロン・エナンセート 600mg/週

  • トレンボロン・エナンセート 200mg/週

  • ナンドロロン・デカノエート 200mg/週

  • (初サイクルなら)トレンボロン・アセテート


【メインケア剤】

  • アロマシン25mg/日 または レトロゾール2.5mg/日

  • タモキシフェン 20mg/日

  • HCG 1000IU/週 2回に分けて接種 

  • カベルゴリン 0.5mg/週


【PCT】

  • タモキシフェン 20mg/日 45日間

  • クロミッド 50mg/日 30日間

  • HCG 2000IU/隔日 10回(20日間)

  • ウルソ 300mg/日 20日間


*略称
テストE … テストステロン・エナンセート
トレンE … トレンボロン・エナンセート
トレンH … トレンボロン・ヘキサヒドロベンジルカーボネート
トレンA ... トレンボロン・アセテート

デカ … ナンドロロン・デカノエート

サイクルの根拠

サイクル全般

サイクルはテスト系、ナンドロロン系、ジヒドロテストステロン(DHT)系から注射剤を一つずつ、ペプチド類から安価なもの、さらにケア剤をスタックします
これは、それぞれ筋肥大に対してアプローチが異なる為です
これらは基本的にどのサイクルでも利用しますし、スタックのベースとなります
バルクアップならこのまま、減量時には減量薬やGHをスタックします
また、メイン薬剤の使用により発生する副作用はすべてケア剤で対応します。ケア剤の使用により新たに発生する副作用や、ケア剤が存在しない副作用は、ある程度許容することになります。(肌が乾燥すること、骨格が変化すること、腎臓や肝臓への負担など)

トレンE/Hの使用、量の根拠

トレンボロンはアナボリック作用が非常に高く、かつケア剤の副作用がそこまで高くありません。腎臓への負担があるため、量には気を付ける必要があります。
副作用がコントロール出来るステロイドの中で最も強い作用を持つため、どのサイクルでも採用できます。
テストステロンとよくスタックされますが、トレンボロンは自己テストステロンの産生に対して悪影響を与えます。よって、体内テストステロンの減少に対抗するためにも、トレン単体などの無茶なサイクルは避けてください。
個人的には、テスト3に対してトレンは1~2程度に抑えるべきだと思います。私の経験上、その量が一番効果が高く、かつ副作用も感じない比率でした。

余談ですが、ロングエステルでも余分な浮腫みが発生しずらいと言われていますが、私はこれを疑問視しています。確かにナンドロロン誘導体ですので、アロマターゼはしません。しかし腎臓に負担が掛かるので、少なからず水分貯留に影響を与えるはずだと思います。また、自己産生テストステロンに対して影響を与えるので、エストロゲンへの影響もあるはずです。エストロゲンレベルが下がると血管収縮が正常に起きず、リンパ管の詰まりが発生し、血行が悪くなります。この結果、手足や顔に浮腫みが起きると考えています。
しかし、ショートエステルの場合は水分貯留が起こらないので、なんだかなあ…と思っています。
「水分貯留自体がなぜ起きているのか」は私自身が勉強中です。本当にすみません。

(2022/10/23追記)トレンA、テストP、NPP追加

上記3点はキックスタート用、副作用対策用、かつ安全に無駄なくサイクルを終えるために必要だと考えています。
キックスタートとは、ステロイドサイクルを無駄なく行うための俗称です。テストEやトレンH、デカなどは、効果期間が長い反面、効き始めるまでが長いです。その「効き始めるまでの期間」を無駄にしないために、キックスタートとして「効き始めるまでが早いステロイド」を使います。
具体的には、
・テストステロン・プロピオネート
・トレンボロン・アセテート
・ナンドロロン・フェニルプロピオネート
を使います。これらはメインサイクルで使う、
・テストE
・トレンE
・デカ
と同じ成分を含有しています。よって。これら6種類を混ぜ、同じ滅菌バイアルに入れて毎日少量ずつ打ち込むのが良いでしょう。
また同時に、効果期間が長い反面、体から抜けるまでの期間も長いです。
つまり、重い副作用が発生した場合、体から抜けるのが遅いため、副作用に長期間苦しんでしまうことになります
特にトレンボロンは前述のとおり、主作用が強い分、副作用も強いのです。トレンボロンを初めて使用する場合は、上記のショートエステルで反応を確認し、副作用に耐えられそうであれば2週目からロングエステルであるトレンEを注射します。

テストEの使用、量の根拠

テストステロンはアナボリック作用が高く、かつ副作用を管理するのが容易です。トレンボロンのアナボリック作用には及びませんが、副作用は圧倒的に少ないです。
また、前述のとおりトレンにはテストステロンの自己産生量を下げます。体内のテストステロンレベルが下がると、気分が落ち込んだり、EDになります。これを抑えるためにもテストステロンはトレンの2倍以上を接種するべきです。
テストの副作用は、自己テストステロンの産生能力を落とすこと、あらゆるレセプターに結び付く要因になることが挙げられます。特に有名かつ厄介なのが女性化乳房です。過剰なテストステロンが女性ホルモンに変換され、それが女性化乳房などの副作用の原因になります。これらをケア剤でカバーすることになります。
テストを600mgとしているのは、有名な600mg実験を受けてです。詳しくはこちらの論文、あるいはこちらの動画をどうぞ。簡単に言えば、「副作用が顕著には現れず、かつ効果が高い」とされているからです。

デカの使用、量の根拠

関節保護目的、かつ副作用の少なさからの採用です。
アロマターゼ阻害薬や抗エストロゲン薬をスタックすると、女性化乳房などの副作用を予防できます。ただし、それは女性ホルモンの産生をブロックするので、関節が弱くなり、また肌も乾きます
肌がドライになるのはステージングではプラスですが、関節が弱くなるのはトレーニングでは大きなマイナスです。
よって、デカの関節保護作用を期待して採用しています。
量はトレンと同じ理屈で、テスト:デカ=3:1 or 2で設定しています。
デカは大量に入れても作用が頭打ちになるのが早く、副作用ばかり大きくなります。よってテストやトレンを増やしたサイクルでも、デカは変わらず200 mg/週 程度で十分です。

メチルトリエノロンではない理由

トレンボロンの説で示した通り、トレンボロンは「副作用が管理できる範囲内で最も効果が高い」です。
メチルトリエノロンは確かにアナボリック作用が途轍もなく高いです。またそこまで高価でもないです。
しかし、副作用の鬱がカベルゴリンではカバーできないです。一言で片づけると危険すぎるのです。

アロマシン

アロマターゼ阻害薬(AI)の一つで、高価ですがかなり副作用が抑えられています。また主作用もかなり高いため採用しました。
高価で買えない、という人がレトロゾールに逃げたりしますが、アロマシンは「アロマターゼと結合すると離れない」という点でレトロゾールより優れています。結合率はレトロゾールの方が高いですが、完全にアロマターゼを阻害すべきではないという個人的な考えによりアロマシンを選んでいます

AIの作用 乳がん細胞を乳房のエストロゲン受容体に読み替えてください


タモキシフェン

エストロゲン受容体は乳房などに存在し、これとエストロゲンが結びつくことで女性化乳房が発症、進行します。これを食い止めるのがAIとSERMsです。
タモキシフェンは選択的エストロゲン受容体調整薬(SERMs)の一つで、女性化作用による副作用をブロックします。アロマシンなどのAIと期待する久賀は同じで、いずれも女性化乳房対策です。ただし機序が異なります。
AIはアロマターゼと結合して、エストロゲンが産生されることをブロックします。
対してSERMsは、エストロゲンがエストロゲン受容体と結びつくことを阻害します。SERMsはその名の通り、エストロゲンに対して優位にエストロゲン受容体に結合します。SERMsが一度結合すると、エストロゲンは受容体に結合することができないため、女性化乳房を予防できるということです。

SERMsの機序 乳がん細胞->エストロゲン受容体 に読み替え


HCG/クロミッド

EDなどの男性機能障害、睾丸委縮などを避ける目的で使用します。HCGはLHとFSHとほぼ同じ作用を持つため、睾丸の機能を問題なく保つ目的で使われます。精子やテストステロンの自己産生能力を高める目的で使われる、という感じです。
対してクロミッドは、視床下部に作用してGnRHを放出させます。クロミッドは精子やテストステロン産生に関わるリレーのほぼ最初から機能を回復させるのに対して、HCGは中間あたりからしか関わっていません。HCGではGnRHを『産生させること』ができないため、クロミッドはサイクル後、HCGはサイクル中後に使います。
両方とも睾丸に間接的に作用して、睾丸の機能が低下することを避けます。

(2023/2/18 追記)カベルゴリン

カベルゴリンはドーパミン作動薬で、今回のサイクルではトレンボロンの副作用であるプロラクチン上昇への対策になります。
普段プロラクチンはドーパミンによって分泌を抑制されています。しかし、トレンボロンによりプロラクチンが上昇することで、人間が自然に分泌するドーパミンレベルでは対処できなくなります。よって、外部からドーパミン作動薬を入れることで制御を取り戻し、高プロラクチン血症を防ぐというものです。
高プロラクチン血症は長期化すると女性化乳房と鬱病を引き起こすので、カベルゴリンは必須です。

雑多なTIPS

インジェクションは多くしよう

インジェクションは多ければ多いほど、血中濃度が安定します。
これは、副作用の抑制に直結します。
血中に薬剤がたくさんあるタイミング、極端に少ないタイミングがあるのは問題です。多いタイミングでは、ホルモンの負のフィードバックによって、男性ホルモンの自己産生能が落ちます。いわゆる「自己テストステロンの減少」が起きます。
こうなると
・鬱
・ED
などといった副作用が顕著に表れます。
それだけでなく、極端に多いタイミングがあると、アンドロゲン受容体の量に対して男性ホルモンの量が多くなってしまいます。つまり、DHTや女性ホルモンへの変換が意図せず活発になります。
この結果
・女性化乳房
・ニキビ
・ハゲ
といって副作用も出やすくなります。血中濃度は安定した方が良いのです。
注射回数を多く、一度に入れる量を少なくすることで、『しこり』も少なくなり、血中濃度も安定します。良いことがとても多いので、インジェクションの回数は多くしましょう。
肩、脚、お尻ならば初心者でも問題なく回せます。私も最初のサイクルではその6か所、週7回のインジェクションを行いました。

入れる量は少なくしよう

ステロイドは上限量が個々人により決まっています。トレーニングの質が高い人は、アンドロゲンレセプターも多いため、たくさんの量を入れることができます。
しかし、レセプターが少ないのに多量のステロイドを入れても、アンドロゲンレセプター以外の受容体に結び付きやすくなるだけであり、副作用が顕著に表れるだけです。これが「初心者はまず3年ナチュラルで頑張れ」と言われる理由です。レセプターが少ない状態を脱し、自分に合ったトレーニングと食事方法を見つけていないのに使っても無意味なのです。

滅菌バイアルを使って楽をしよう

これは「注射回数は多く、一度の量は少なく」という話を受けてのものです。毎日注射をする場合、
「テストを0.5ml吸い出して…」
「あ、トレンは0.25だから、0.75mlの線まで吸い出して…」
「デカは..何mlだっけ…?」
と、毎回頭を使うことになります。簡単な計算ですが、毎回となると面倒です。
なので、1週間で使う量をあらかじめ吸い出し、同じ滅菌バイアルに打ち込んでおき、そこから毎日決まった量を吸い出してインジェクションを行うのが楽です。
今回のサイクルであれば、最初の週でおおよそ
・テストE 2ml
・トレンE 1ml
・デカ 1ml
・テストP 5ml
・トレンA 2ml
・NPP 3ml
で、最大でも合計14mlです。肩、脚、尻上部、尻下部で回せば1日2回1mlずつの注射で終わります。
脚はデリケートなので0.5ml程度、尻は結構入れても腫れないので1.5ml…と、工夫次第でサイクルはかなり楽になります。この方法であればかなり副作用は抑えられます。

経口剤は使わない

私は経口ステロイド否定派ですキックですら遠慮します
経口剤は効くのが早く、何より手軽です。しかし、そのメリットを凌駕するほどに扱いづらいのです。
まず副作用が強く表れやすいです。これは血中濃度が安定しないためです。注射回数を多くする、の項で話した通り、血中濃度が安定しないと副作用が強く出ます。経口剤は効きやすい反面、薬が抜けやすいのです。血中濃度を安定させるためには小分けに飲むしかありませんが、現実的にそんなことは不可能です。
流通しているダイアナボルで恐らく一番単位が小さいのは5mgです。それを半分に割って2.5mgに出来ますが、それでも1日に2-3時間ごとに飲むことぐらいしか出来ません。寝てる間に供給することも出来ません。
よって、血中濃度を安定させる術がないのです。
さらに肝毒性があります。臓器に対するダメージはなるべく少ない方が良いです。経口サイクル中は基本的に食べまくるのですが、肝臓がやられると食欲もなくなりますし、筋合成にも悪影響があります。
経口剤でのサイクルはプロになった人が「ここ一番!」でやるべきだと思います。

ステロイドを使ってもいいのは…

以下の条件を満たしていない方は、ステロイドを使うべきではないと考えています。「趣味でやってるなら使うな」「二十歳未満は使うな」なんてことは言いません。趣味だろうが二十歳未満だろうが、使いたいなら使ってよいと個人的に考えています。
しかし、以下の条件は満たすべきです。

  • ビッグ3のスコアが中級以上、できれば上級以上である

  • 減量/増量期間で、自分に合った炭水化物と脂質を知っている

  • 自分に合ったトレーニングが確立されている

  • 経済的に自由な状態である

  • 心配事がかなり少ない/解決可能な問題しかない

これらの条件を満たしていない状態なら使うべきではありません。精神に影響を与える薬剤を多く使うことになります。食事もクリーンにしなければなりません。
精神的、経済的に自立できていない状態で使うと、ほぼ確実にうつ病を発症することになります。お勧めできません。
ステを使うまでの努力として、上記すら乗り越えられない弱い人間は使うべきではありません

以上です。質問などありましたらTwitterやDMで対応いたします。またパーソナルなども興味ありましたらDMかメールでお待ちしております。
mail -> shuntabata3@gmail.com

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