見出し画像

報酬安い中小監査法人への交代増える

監査法人の交代件数は228件

金融庁の公認会計士・監査審査会によると、21年7月~22年6月の1年間で国内の上場企業による監査法人の交代件数は228件(監査法人の合併による変更を除く)で、前年より21件増えた。近年は百数十件で推移していたが増加が目立つ。2014年7月から2015年6月には100件もなかった。

企業側は監査対応と監査報酬の相当性を理由とする

監査報酬の増加を交代理由にあげる企業は多く、公認会計士・監査審査会によると交代理由としては「監査対応と監査報酬の相当性」が69件と最も多い。中小監査法人に変更すると報酬額が下がるのだろうか。

監査報酬の値上げの背景

監査法人は「会計基準の変化や開示量の拡充に対応するために、監査報酬を上げざるを得ない」と主張する。最近は会計士の業務が増える一方で人手が足りない模様。一方、企業側は新型コロナウイルス問題やウクライナ危機の長期化で経営環境の先行きに不透明感が強まり、監査報酬の値上げを容易には受け入れにくい。

金融庁は不安

金融庁幹部は「大手監査法人による寡占の解消が進んでいることは望ましい。ただ中小が大手の受け皿になりうる体制はまだ整備されていない」と指摘する。金融庁は安易な監査法人の交代が監査上の問題の温床になりかねないとみる。中小監査法人には独立した立場で大企業に指摘できるか疑問視されている。

中小監査法人の質を底上げ

金融庁は5月に公認会計士法を15年ぶりに改正した。具体的には監査法人が上場企業の監査を担うにあたって、自主規制団体の日本公認会計士協会による登録を義務付ける。従来は自主規制の枠組み内でとどめていたが、法的拘束力を設けることで、中小監査法人の質を底上げする。22年度内にも施行する。

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?