見出し画像

アンチエイジング、健康寿命を延ばすために細胞分裂を抑制する「ライフスパン」

人間は(60兆個だか37兆個だかの)細胞によって形作られていて、その細胞が死んだり分裂したりして常に入れ替わっている。
だから釈迦は「自分も常に同じ自分じゃないんだ」「無常なんだ」なんて言ったわけですが。。

新しく細胞が産まれるには細胞分裂する必要がある。
だけど、生物が細胞分裂できる回数は限られている。
というか、常にフレッシュなまま細胞が分裂していく訳ではなく、細胞分裂するために必要なDNAが、分裂していくたびに少しずつ擦り減っていく。

また、細胞分裂しなくても、大きなストレスやダメージを受けたりすると、うまく細胞分裂できなくなってしまったり、その細胞が死んでしまったりする。
これが「老い」に繋がるようです。

つまり「老い」とは、細胞分裂する機能が衰えていくことなのです。

ここから、ちょっと遺伝子の説明。

まだ生命が細胞レベルでしか存在していなかった(恐竜も植物も生まれていないような)太古の地球で、その辺の水たまりにブクブク、アクみたいなのが泡立っていて、多くの細胞が分裂しては死滅してということを繰り返していました。

そこに偶然「遺伝子A」「遺伝子B」という2つの遺伝子が産まれます。

「遺伝子A」は(氷河期とか、火山が噴火するとか)環境の厳しいときにスイッチが入って、細胞が分裂するのを停止させるという能力を持ちました。それまでは細胞はとにかく増えることしか能がなかった。
環境の厳しいときにダメージを受けたまま細胞が分裂すると、障害のある細胞が産まれてしまい、後世までは生き残れなかった。
そのため、厳しい環境のなかでは細胞分裂をストップするというスキルが重要になりました。

もう一つの「遺伝子B」は、「遺伝子A」と同じく、環境の厳しいときにスイッチが入って、ダメージを受けて傷ついていたDNAを修復する(治す)という能力を持ちました。

この二つの遺伝子(A、B)が誕生したおかげで、細胞は環境が厳しいときには細胞分裂を停止して、ダメージを受けたDNAを修復するという回路が発達しました。
その結果、生物は成長することができ、今の人類まで成長することができました。

と。

えーと。
つまり。
生物は厳しい環境にいると、細胞分裂せずに、自分の傷ついたDNAを修復するという能力を手に入れました。

では、ここでの厳しい環境とは?ということが気になると思うのですが。
厳しい環境とは、つまりダメージ、負荷がかかる環境ということですね。

本の中で紹介されている、負荷が大きすぎて、DNAが傷ついてしまうものの例を挙げると。

タバコ、放射線、食べ過ぎ、過労、
ケガ(外傷)、精神的ストレス
なんかがあります。

では逆に、細胞分裂を停止させて、DNAを修復してくれる、適度な厳しい環境とは、どのようなものなのか。
本の中で紹介されているものは
・食事制限
(間欠的断食、動物性たんぱく質(肉)を減らす)
・運動する
(運動=ストレス、運動する人の方がテロメアが長い)
・温めたり冷やしたりする
(クライオセラピー冷却療法、サウナ)
なんかがあります。

つまり、結局は
あんまり食べ過ぎないで、適度に運動する
ということですね。

その他、老化を防ぐ治療薬として、近年注目を集めているものを挙げておくと。
・ラパマイシン
(免疫機能を抑制する薬)
・メトホルミン
(糖尿病治療薬、カロリー制限と同じ効果がある)
・レスベラトロール
(厳しいストレス環境を生き抜いた植物にみられる抗酸化物質。赤ワイン、緑茶、ニンニクなどに含まれている)
・NAD
(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、この分子が減ると遺伝子AB の働きが衰える。そのため、頑張って維持したほうが良い)
・セノリティクス
(老化細胞を除去する薬)
・IPS細胞の研究
(成熟細胞を人工多能性細胞に変えることができる)
なんかがあります。

ただでさえ、私の世代では平均寿命が100歳を超えると言われています。
そこには医療技術の発展も少なからず絡んでいるでしょう。
「65歳で定年退職だ」なんて話しは、その頃にはもう笑い話しになっているかもしれません(すでに定年退職を廃止する動きも出てきてますもんね)。

そうなったら、やっぱり「何歳まで健康でいられるか」は人生の幸福度に直結する問題になります。
別に私は生きていることに執着していないし、長生きしたいわけではない。
なんなら今すぐ死んだって別に構わないと思っている。
でも、人生そんなに簡単に(ゲームの電源を切るみたいに)終わるものじゃない。
ということは、日々の仕事で肌身で感じている。
どうせ長生きするなら元気な方が良い(医療費もバカにならないし)。
未来のことはどうなるか分からない。
そうなんだけど。
分からないんだけど!
だからこそ、とりあえず自分の身体、健康に投資しておくという選択は、この不確かな時代に率先して取り組むべきことではないかと考えます。
とりあえず、僕はそうすることにします。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?