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自分史(2003年頃)。バンドAの話し①フライヤー配り。恵比寿みるく。

売れていないバンドがどうやって知名度を上げ、ファンを獲得するか。そんなマーケティング的な話しと共に振り返る私の過去。

今ならYouTubeやSNSを駆使するだろうか。
とにかく人の目に触れる機会を増やし、音源を聴いてもらい、なんとかライブに来てもらうということを考えるだろうか。

いや、そもそも、先に音源や映像をアップして、ある程度の人気が出るまでライブなんてやらないか。
お客さんが来る見込みもないのにライブをやるって。。どういう発想だ?
たまたまライブを見に来た人(そんな人いるか?他のバンドのお客さんとか?)に気に入ってもらおうという発想か。

今はCDも買わない時代だもんな。

2000年代前半。ネットもスマホも普及していない当時、バンドのマーケティング手段の一つとしてフライヤーというものがあった。
まぁ、今でもあるんだろうけど。

自分のバンドでイベント等を企画するとなるとフライヤーなるハガキ大の印刷物を作成し、それをバラ撒くことでマーケティングの一手段としていた。

というか、マーケティング(仕事)した気になっていた。

2003年。

私は、何故かバンドAのマーケティング担当、フライヤーを配る係ということになっていた。
バンドがイベントを企画する毎に都内ライブハウスやHIPHOP系の服屋さんにフライヤーを置きに行く。「こんにちわー。フライヤー置かせてもらいたいんですけどぉ」と。


今考えると「バンドのイベントを企画する」ということに、まったく主体的に参加できていなかった。


やはり既存のバンドに途中から加入するとなると(しかも「自分は田舎から出てきたばかりで、バンド活動のことなんて何も知りません」というスタンス)、必然的にバンドの活動に受け身になってしまう。

というか、当時私は「ドラマー」「プレイヤー」として、自分の演奏のことしか考えておらず、バンドのメンバーという意識も希薄だった。そもそも、上京した当時はスタジオミュージシャンを目指していたし、バンドに入ろうと思ったきっかけも「ステージでの演奏経験を積むため」だった。
やっぱりドラムが上手くなること、ライブで良い演奏をすることばかり考えていた。

そもそも、すでに知名度のあるバンドに加入するという発想が、大企業に就職する就活生みたいで浅はかじゃないか(笑)

自分から仲間を集めてバンドを結成し、一旗揚げるみたいな、そういうDIY精神みたいなものは皆無だった。たぶん今も無い。


当時、バンドAがよくイベントを企画していたのは、恵比寿にあった「みるく」というクラブだった。

今はもう閉店してしまったようだが「伝説的なナイトクラブ」「大人の遊び場」として、ある種の人たちには人気のハコだったようだ。ライブも深夜が多かった気がする。

ここでのイベントに参加したり、イベントを企画できていたのは、バンドのリーダーがココでよく遊んでいて、知り合いが多いからという理由だった(うん。今考えても、自分とはまったく縁遠い世界だ)。

まず、クラブで遊ぶということが当時は分からなかった(今なら、良い音楽が大音量で聴けるなら行ってみても良いかなという気持ちはある)。そして、そこで知り合いができるとか、お店の人と仲良くなるということが、まったく私には起こりそうもない出来事だ。

クラブは地下2階まであって、1階のステージではバンドがライブをやっていて(スティールパンとかを使う変わったバンドが多かった)、2階ではDJが大音量でクラブミュージックをかけたり、プロジェクタースクリーンの大画面で大人たちがマリオカートやウイニングイレブンをやって大騒ぎしていた。そんな印象。


このように、上京したての私には大抵のことが刺激が強すぎたし、何が何だかよく分からなかった(笑)


今考えると、よっぽど好きなバンドじゃないと、まずライブに行こうとは思わない。

ましてや、全然知らないバンドのフライヤーを見てライブに行こうと思う訳がない。

ところが当時の私は、何も考えず言われたとおりにライブハウスや服屋さんにフライヤーをせっせとバラ撒いていた。
おかげで東京のライブハウスや渋谷、原宿なんかの服屋には詳しくなったが。。

ある時、例によってフライヤーを配りに、裏原宿のHIPHOP系の服屋さん行った。そのとき「別にいいですけど。こんなとこにフライヤー置いても意味ないんじゃないですか」と言われた。

今考えると「御もっとも」すぎる。
むしろ言ってくれてありがとう。

でも、当時の私には想像力がまったく備わっていなかったし、人見知りだったし、「東京のチャラいお兄さんが何か言っている」くらいにしか認識できなかった(汗)

自分がよく服を買いに行くお店があったとして、そこに知らないバンドのチラシが置いてあって、それを見てライブに行こうと思うだろうか?

絶対そんな訳がない。

すごい確率で、そのチラシに載っているバンドのライブを見たことがあったとして、そのチラシを見て、もう一回ライブに行こうと思う人が何人いるだろうか。
ほとんどいない。

でも、当時は他の宣伝方法は思いつかなった。


そんな、ド田舎から上京して2年くらいのときの
右も左も分からないときのバンドの話し。


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