スーパーのおせちを統べし母の餅
実家に帰らず過ごす正月。形だけでもと拵えたおせち料理も、大半はスーパーで買ってきた間に合わせだ。
紅白かまぼこに伊達巻、数の子入りのひたし豆、昆布巻きに、郷土料理のいかにんじん。ここまでは出来合のもの。それらを抑えて主役の座に着いたのは、母の送ってくれた餅だ。雑煮、納豆餅、あんこ餅と、賑やかに三種。
おせちには、私が勝手に決めている格というものが存在する。格上のおせちとは、家内で手作りしたものであり、尚かつ郷土色の強い献立だ。例年、実家で食すおせちであれば、会津地方の祝い膳に欠かせない「こづゆ」が正一位で、これは別格。次いで雑煮などの餅料理、いかにんじん、などなど。
全国共通の、それもスーパーで買ってきたままのおせちともなれば、母の搗いた餅を地元風に仕立てた雑煮の前に、平伏す他ないのだ。
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