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弟子の質問力にも注目──『論語』読書感想文

『論語』の中で、私のお気に入りの箇所をつらつら書きます。みなさんはどの章段が好きですか?


書籍データ

お気に入りの箇所

(第一-15)子曰、不患人之不己知、患不知人也

世間の人が自分を知らないことを憂うのではなく、自分が人を知らないことを憂うべきだ。

これ、最近ひしひしと感じているところです。
”自分が”じゃなくて、まずはその他者に興味を持ち、すばらしさに気づき、それに学ぶ。
結局それが自分のためになるんだよね……

(第二-15)子曰、学而不思則罔、思而不学則殆

先人の知識を学んでも、ただ詰め込むばかりで自分の頭で考えないなら、何も見えてはこない。
逆に自分勝手に考えるばかりで先人の知識を学ぶことをしないと、独断に陥って危険だ。

何事もバランスですね。でも、それが一番難しい。

(第三-4)林放問礼之本、子曰、大哉問、礼与其奢也寧倹、喪与其易也寧戚

林放が礼の本質について質問した。
先生はおっしゃった。
「なんという大きな質問だろう! 礼の精神からいくと贅沢をやめて質素にすべきだ。喪は細々した形式にこだわるよりも、悼み悲しむ気持ちを大事にすることだ」

形や礼儀にうるさそうな孔子だけど、こういう風にきちんと本質をついてるところがやっぱりすごいんだよなあって思う。

(第四-14)子曰、不患無位、患所以立、不患莫己知、求為可知也

先生がおっしゃった。
「地位が無いことなんか気にしてはならない。
地位を得るための正しい方法をこそ気にしなさい。
世の中に認められないことなど、気にしてはならない。
認められるだけの仕事をする。ただそれだけに努めるのだ」

私が一番好きな章段です。
ただただ耳が痛い。本当にそうです。

(第六-20)子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者

先生がおっしゃった。
「道を志すことにおいて、ただ知っているというだけの人は、
それを好きな人には及ばない。
それを好きな人も、それを楽しむ人には及ばない」

真理。
好奇心のある人はいくつになっても成長する。だからいつまでも物事への興味を失ってはいけないと思う。

(第七-20)子不語怪力亂神

先生は怪異のことと暴力のことと背徳のことと鬼神のことは語らなかった。

自分の人生において不必要なものは信じず、意識の外に置く。追い詰められていると手っ取り早い解決方法や甘い言葉や神霊の類にすがりたくなるけど、それをすると身を滅ぼす。

(第十二-22)樊遅問仁、子曰、愛人、問知、子曰、知人

樊遅が仁について質問した。先生がおっしゃった。「人を愛することだ」知について質問した。「人を知ることだ」

上記を実践すれば、人が整い、世が整う。
……人として、洗練されたいですね。難しいけど。。。

(第十三-4)樊遅請學稼、子曰、吾不如老農、請學爲圃、曰、吾不如老圃、樊遅出、子曰、小人哉、樊須也、上好禮、則民莫敢不敬、上好義、則民莫敢不服、上好信、則民莫敢不用情、夫如是、則四方之民、襁負其子而至矣、焉用稼

樊遅が穀物を栽培することを学びたいと願った。先生がおっしゃった。「私は穀物を栽培することにおいては年老いた経験豊かな農民には及ばない」
〜中略〜
樊遅は退出した。
先生がおっしゃった。「小人だねえ樊須は。上が礼を好めば、民は上を敬さないことがあろうか。上が正しいことを好めば、民は服従しないことがあろうか。上が真心を好めば、民は情け深くならないことがあろうか。このようになれば、四方の民はその子を背負って自然にやってくるだろう。このように上に立つ者はその徳によって人民を感化すべきなのであって、どうして穀物の栽培をする必要があるだろう」

視点をもっと高めることが必要だなって、仕事でいつも思う。
畑をうまく耕すことはたしかに自分の食を満たして豊かにする方法の一つだけど、上限があるし視点が狭いよね。たくさん学んで、意識して視点引き上げて、大局を見ることが大事なんだよなあ。

*   *   *

論語のすごいところって、
もちろん、孔子の集積知や経験値に基づく回答は素晴らしいんだけど、弟子たちの質問力がもしかしたら一番なのかもなあと思います。

もちろん的確に真理をつくような質問もそうだけど、孔子本人に呆れられたり馬鹿にされることも含みでがんがん攻める態度を見習いたい……

プライドばっかり高くちゃダメだよねえ。。。
肝に銘じます。


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