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[エッセイ]ごく側にある関係がくれる幸せ──ママ友リスペクト

世間の人たちは「ママ友」というものに対して、どういうイメージを抱くのだろうか?

私にとっては、
子どもたちを育てるために「なくてはならなかった存在」であり、
多忙さで時に砕けそうになる心を支えてくれた存在であり、
良い人付き合いというものを教えてくれた存在だ。

3人の子どもたちを介して、自分でも驚くほどたくさんの友だちができた。

ルートは主に保育園と少年野球。
大人になってできる友だちなんて「あるのか?」と思っていたけど、その濃密さは青春時代の友だちとの関係となんら変わるところはなかった。

ママ友リスペクト。
大人になってからつくる友だちもいいものだ、という話です。


飲み友

私のママ友は、もれなく飲み会が大好きだ。
みんな子育てに仕事にめちゃくちゃ忙しいはずなのだが、何かあるとすぐに「飲まない?」ってなるし、声かけて断られることがないw

「疲れたから飲もうよ」──その考え方、バイタリティの塊。
そのパワフルさに、いつも力をもらっている。

推し友

ここ数年、BTSというアイドルにハマっている。
「年甲斐もないな」と思わなくもないが、周囲を見れば推し活してるママだらけ。カミングアウトとも言えないくらいのハードルの低さで、速攻でアミ友(BTSのファン友だち)ができた。

毎度推しのニュースにLINEでギャーギャー言い合い、カラオケに集まってDVDをギャーギャー鑑賞し、新大久保で韓国料理を食べながらギャーギャー話す。おばさんが好きを全開にして素になれる最高の時間。

人づきあいの先生

私は昔からどうにも人に頼るのが苦手で、悩みや困りごとは表に出さずに黙々と自己解決するタイプだった。

けど、子育てはそうもいかないことが多い。
実家が遠方で、ほぼワンオペで回す日も多かったから、「ちょっと預かるよ」「一緒に遊びに連れて行くよ」「お泊まりに来なよ」と、人の好意に甘えさせてもらうこともたくさんあった。

下の子が小さいと一方的に世話になる機会も多く、申し訳ないなと思っていたら、ある先輩ママ友からこう言われた。
「大丈夫だよ。甘えられる時は最大限甘えなよ。で、自分ができるときに、違う人に返してあげればいい」

かっこいいと思ったし、本当に救われたし、一生忘れない言葉だと思う。

部活友

少年野球では毎週末のように顔を合わせるし、町内会のイベントも多い。
保育園では3人とも父母会の役員やリーダーの仕事をした。

正直とんでもなく面倒なこともあったけど、チームを組んで一緒に何かを成し遂げたママ友たちとの絆は学生時代に勝るとも劣らない密度だった。
イベントの準備のために家に集まったり、イベントを一緒に実施したり、合宿に行ったり、飲んだり飲んだり飲んだりw

今までも、そしてこれからも再会したタイミングでお互いにその時の話をつまみに飲むんだろうな。「あの時は、しんどかったけど楽しかったね」って。

人生をシェアする存在

なんだか大袈裟になってきたけど、正直、ママ友はフィジカルでもメンタルでも命綱だったし、人生を互いに預け合っていた感がある。それだけ、現代で子育てする女性は切羽詰まっているのだともいえるのではないか。

今まで書いてきたように、私の子育てはママ友という存在なしでは無理だったし、同時にママ友たちの人生も支えてきたと思う。

あるママ友のだんなさん(つまり子どもの友だちのパパ)が突然倒れた時。
パパさんの容体が安定し退院するまでの数ヶ月、毎週一緒に夕食を食べて語り合った。とても不安だったと思う。私は話を聞くことくらいしかできなかったけど、一緒に過ごしたあの時間は「人の絆」というものを互いに実感できた時間でもあった。

あるママ友が、検査の結果が思わしくなくて脳の手術を急に受けることになった時。
その子どもを預かって、何度か夕食を食べさせたりお泊まり会をした。長男の幼馴染であるその子はママと突然離れてとても寂しかっただろうし、不安だろうし、少しでも楽しくなることをしてあげたいと思ったから。お泊まり会の翌日に子どもお迎えに来た、普段はあまり感情を表に出さないパパさんの見せた表情が忘れられない。多忙な中、多少無理しても預かって良かったと心から思った。

コロナ禍での孤立感を救ってくれたのも、「どんな状況であれ、子どものメンタルのためには人との付き合いを絶やしてはいけない」という、同じ考え方を持つママ友たちの存在だった。

自分のキャパが足りなすぎて子育てに自信がないと漏らすママ友と、本音で何時間もトークしたことは数知れない。
子育てに本気で向き合っていればこそ、真面目だからこそ、子育ての「落とし穴」はどこにでも存在する。そういう穴にはまらないように、私たちは互いに自分の思いを確認するために、冷静に子育てを見つめるために本音で話す。「ぶっちゃけ、余裕なくて毎日意味わからんくらいマジギレしてるんだよね」「しかし我を失ったキレ方はいかんよね」って。
誰も責めない。でも、ちゃんと反省につながる。そういう存在が身近にいてくれるのは、ほんと最高だなと思う。

友だちの距離感

よく「遠くの親戚より近くの他人」というが、まさにママ友は私にとってそういう存在。
「子育て」という共感性の高いテーマを共有するママ友という関係には、言葉にしずらい独特の親密さがある。
ずっとくっついてるわけじゃない。でも見えないなにかで確かに強固に繋がっている。

私のそばにいてくれる人たちは性格もとても気持ち良くて、もちろん細かい弱点は色々あるけど、そこも含めて魅力的で「こうありたいな」と思わせてくれる人が多い。

いつも前向き。たまに後ろ向き。
飲み会で愚痴は言うけど後を引かない。
自分が忙しいから、他人も忙しいことを知ってる。
口だけじゃない。
人に頼るけど頼りっぱなしじゃない。
自分を持っていて、他者と比べない。
一緒にいる「時間」ではなく、「密度」に重点を置く。

そういうスタンス人たちだから、引っ越したけど不思議とプツリと縁が切れる感じはしない。
何年か経って、不意に思い出して、連絡して会って昔を懐かしむ。
そういう関係になれた人が多いと思う。

何度でもいうけど、私の子育てはママ友なしに成立しなかったし、
そういう人たちに囲まれて子育してきたこの十数年は、心底しんどかったけど、心底楽しかった。

「あの頃はあんなことがあった」「懐かしいね」と、当時を振り返るエピソードにはこと欠かない。

「夏に遊びに行くよ」「今度いつこっち来るの?」「韓国一緒に行こうよ」
そうやってケイタイが鳴るたびに、その人その人と一緒に戦い過ごしてきた子育ての日々を思い出す。

そういう存在がいる私って、めちゃくちゃ幸せなんじゃないかと思ってしまう。
そんな思いをくれるのが、私のママ友たちだ。

たくさんのことを私に教え、与えてくれた彼女たちに、リスペクトを込めて。

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