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やめてほしいな。

とある方が自殺ほう助で逮捕された、らしい。
無論初期の度重なる報道で事情は存じていたが、その、報道の仕方に不安がある。
向精神薬についてである。

メンタルを病んで四捨五入すれば20年。大体の薬は通ってきたように思う。
都度処方を調整してもらい、一時期は寛解にも至ったが復職してあえなく再発。何度目か知らぬ自宅加療中である。
精神科病棟へも三度お世話になった。リストカットもODも経験した。今も左腕にはきれいに傷が残っているし、必要外の処方薬は所持しないようにしている。

OD、オーバードーズ。やってしまえば一発で入院ものの行為、当然死する可能性の高い行為でもある。
主治医はよくよく私の特性を鑑みて、細心の注意を払って処方を行ってくれている。本当は薬剤管理ができる家族が同居していればもう少し治療の幅も広がるのだろうが、うちの両親は高齢なこともありそれは望めない。
向精神薬は医師や薬剤師の処方と管理の元、正しく使用しなければならない。ゆえに私は勝手に薬をやめてうつを治しました!というお題目が好きではない。
まっとうな医者ばかりではないことは、知っているのだが。

今回、報道で誤った使い方が堂々と晒されたわけだが、あれは当事者も怖い。
精神科の薬というものはこの病気であるからこれしか使わない、というものはあまり見受けられないように思う。
幻聴、妄想、パニック、鬱、躁。
どれも急性期には起こりうるし、併発しうる症状であるからではないかと思う。(ちなみに私は双極性障害とパニック発作を併発している)

つまりどれも精神科で投薬治療を行っている人間ならば誰しもが口にする機会のある薬ばかりなのである。特に睡眠導入剤。

私はしにたいと思ってもその裏に強すぎる生への執着を持って生き抜いてきた。一時は復讐のために生きていたこともある。
ただ埋まらない何かが虚しさを連れてきたときに希死念慮はやってくる。今でもそうだ。いい死に日和だな、と笑うときもある。
生きることは緩やかな死への導き、これほど確実性のある方法はない。
それでも強制終了させたくなる、そんな瞬間が今のこの世界には多すぎる。

報道以上のことは知らないが、その人もまたそんな瞬間に行動を起こしてしまったのだろう。

さて、どうやらその薬であるらしい、というものが先日私にも処方された。
急に今までの薬では眠れなくなってしまった結果の処方変更だが、私は大いに震えた。
確実(?)なる強制終了の切符が手に入ったようなものだからだ。
絶望を飼いならす術を身に着けた私はしにたいと呟く同じくらいの熱量でまだ生きていたいと思う。
だがふとした誘いは唐突に訪れるものだ。気づいたら薬の在庫を数えていたというまだ新しい記憶もある。

希死念慮に負けない完全な強さは、持ち合わせていないだろう。

私にとって方法を知ってしまったのは、治療への恐怖につながった。今でも飲みたくないなと思いつつ次の受診日を待っている。
たった0.5錠で引き起こされる予定外の情緒不安定。

実は薬を変えることはあまり簡単ではない。
飲み合わせもあるし、効果がみられる二週間から一か月は様子を見ることが多い。睡眠導入剤だと依存性も重要視される。
減薬第一。服薬数が多くていいことなんてない。内臓のどこもかしこも疲弊していくんだから。

青い錠剤を押し隠すようにして私は今日も夜を待つ。

っていうわけで報道はもうどうしようもない部分もあるので、何事も不安を感じた仲間たちはテレビを消してSNSから離れようね。
そして高野豆腐でも煮てください。煮豆作るのもいいよ。
クッキー生地にストレスぶちまけるのもあり。料理じゃなくても、お散歩でも、漫画でも、断捨離でも、

何か手元や身体を動かすことをしましょう。とにかく気分をそらしましょう。
私はいつの間にか楽になってます。

こうして文章書くのも、結構いいですよ。





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