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触れるを考える⑤:ハンドリングの目的とは?

5回目にしてようやく本題です。
今後は実際の臨床場面やセミナーでの実技場面の動画などを提示しながら、実践的な内容を書いていきます。


今回は、ハンドリングセミナーでも、お伝えしている

「ハンドリングの目的」「何のために患者さんに触れるのか?」

についてです。


何のために患者さんに触れるのか?


これはこれまでの記事で触れていますね。

過去記事はこちらのマガジンより👆(今後有料化する予定です)


ハンドリング=介助?


こちらの解釈では、
いわゆる「介助」は、対象者が受身的であり、「ハンドリング」ではそうではない、と。


ここで大切なのは、


「本人の能動的な参加」


です。


ただ、セラピスト側が刺激すれば良い、動かせば良いというわけではないってことです。


僕自身は、介助もハンドリングも、

本人の残存能力+潜在能力を活かして、不足した要素を助けることで、目的を達成する、というイメージなので、介助とハンドリングは同一のものとして捉えています。


この「能動的な参加」が、まぁ難しいわけですが。

代償運動でも、能動的な参加とも言えるので。


ハンドリングの目的


ハンドリングに限らず、セラピストにおける介入は、

日常生活に何らかの支障を及ぼしている異常な(正常と呼ばれるパターンから逸脱した)姿勢・運動戦略を、日常生活をより円滑に過ごせるための実用的な姿勢・運動戦略に導いていくこと

が大きな目標となります。


脳卒中や脊髄損傷など、発症前の(いわゆる正常な)状態に戻ることが難しく、後遺症が残るといわれるような疾患であっても、残存能力や潜在能力の活用によってより実用的な戦略を獲得していくことは可能です。


ここで上図にあるような問題にセラピストは直面してします。

【問題抽出の難しさ】
異常と言っても、何が異常で、どんな要素が日常生活に影響しているの?

【ゴール設定の難しさ】
目の前の患者さんの変化においてどんな変化が良い/悪いのか?様々な問題点を抱えている場合、どうゆう改善の変化のプロセスを辿るのか?

【問題解決:介入の難しさ】
で、実際どんな介入をしたら良いの?


もちろん、ROMや筋力、麻痺の機能評価やバランス・歩行の評価から活動面の評価を数値化することはできます。

でも、そこから上記の問題を解決するには、目の前の患者さんごとの個別性を踏まえて考えていくことが大切になります。


姿勢・運動制御は情報処理の結果


姿勢・運動制御について、めちゃめちゃざっくりとまとめました。

例えば、椅子から立ち上がる場合、
「意図」として、トイレに行きたいなどの目的が生まれます。
トイレに行くために椅子から立ち上がる前に自身の外部情報(テーブルがある、椅子に肘掛けがあるなど)と自身の身体の状況である内部情報(背もたれにもたれ座っている、足が浮いている)を収集し、自身の状況を把握(知覚・認知)します。

その状況をもとに運動プログラムを立てていくわけです。上記の状態であれば、テーブルにぶつからないように椅子を後ろに引いてから立つ、肘掛けを両手で支えて立つ、足が浮いているので足を地面につく、など状況に合わせて適切なプログラムを選択します。

その運動プログラムをもとに、筋肉に指令を送り、筋緊張を変化させることで立ち上がり動作が起こるわけですね。


見た目に観察できるのは、最後の筋収縮によって起こる関節運動ー立ち上がり動作だけです。

その目に見える動作が起こるまでには、意図から運動プログラムを選択するまでの目に見えないプロセスがあります。


患側の下肢をほとんど使わない、上肢にすごく頼っている立ち上がり動作が観察された場合、それらはあくまで結果でしかないわけです。

そこで患側の下肢を使ってー
上肢は使いすぎないでー

というだけで、問題は解決しないことがほとんどですよね。

なぜ、患側下肢を使わないのか?
なぜ上肢に頼るのか?

上記のプロセスのどこにつまづいているのか?

を考えていくことが触れる前に考える大切なポイントになります。


【こまつの活動】

◼️人材育成
 ・名古屋・東京での定期的なセミナーの開催:日曜
 ・名古屋での不定期なナイトセミナーの開催:平日夜
 ・法人研修:リハ・介護施設スタッフの技術指導

◼️自費リハビリ
 ・名古屋を中心に愛知・岐阜・三重への訪問自費リハビリ

などを行なっています。詳細は以下のリンクより👇


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