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焼肉部位解説③ 焼肉メニューの最高級部位リブマキってなんだろう?

 シリーズ3回目は、最も高級な部位の一つであるスペンサーロール・リブロースの小割りの主要なものについて、簡単に解説して行きたい。 英語と中国語の表記ならびに、筋肉が1~2種類程度で構成されている小割り部位については学名(ラテン語で表記)も記した。チャックやクロッド、スペンサーロールなどのような多くの筋肉の集合体の筋肉の学名は、相当煩雑になるため記していない事をご容赦願いたい。

また、英語や中国語は、焼肉店やステーキ店などで観光できた外国人へのメニュー表記に活用して頂きたい。 学名(ラテン語)は、基本的に欧米のパッカーの食肉処理工場における品質管理オフィサー(QA Officer)は筋肉名(解剖学)を学んでいるはずであり、必要な部位や不要な部位をピンポイントで特定するために非常に役に立つため活用して頂きたい。

一例をあげれば、うちもも(トップサイド)からヒラカワ(Gracilis)とコモモ(PectineusとSartorius)を外して"グリムキ"にしたいという場合には、中心部の2つの筋肉名(Adductor femorisとSemimembranosus)のみが欲しいと伝えれば、確実にグリムキトップサイド Topside cap off, 2 muscles only 100VL (100 Visual Lean)と理解してもらえるのである。

3、リブロース
【別名】 スペンサーロール
【英名】 Spencer roll
【中国語】无骨眼肉(Wu2Gu3Yan3Rou4)、沙朗(Sha1Lang3)
【牛の部位】 牛の背筋で厚みのある部位である。海外ではリブアイロールで流通する事が多く、スペンサーロールは少ない。
 また各国によって肋骨(リブ)のカット位置が異なっている。 同じ日本国内であっても、枝肉から分割する位置が異なっており、関西では7番リブから10番リブ(4本リブ)、関東では6番リブから10番リブ(5本リブ)となっている。従って、関東のリブロースが長くなっている。 
 米国と豪州・英国でもカット位置が異なり、米国は6番リブから12番リブ(7本リブ)と長く、豪州・英国は日本の関東と同じ6番リブから10番リブ(5本リブ)と米国より短い。 
 リブロースが長いとサーロイン(ストリップロイン)は短くなるが、この違いは、リブロースとサーロインの価格がより高い部位が大きくなるように地域によってカッティングの規格を決めたものと考えられる。なおスペンサーロールからブレードミート(リブカブリ)を除去したものがリブアイロールである。
【特徴】肉質は、柔らかくキメが細かい。全体的に霜降りになりやすい最高級部位である。
【用途】焼肉、ステーキ、ローストビーフ、しゃぶしゃぶ、すき焼き。

写真:スペンサーロール

・ リブロースの小割 部位名称

3-1 リブアイロール リップオン
【別名】 112Aリップオンリブアイ(米)
【英名】112A Ribeye roll lip-on、Ribeye roll
【中国語】无骨眼肉(Wu2Gu3Yan3Rou4)、沙朗(Sha1Lang3)
【牛の部位】スペンサーロールからブレードミート(カブリ: Lifter meat)を除去し、リブマキ、リブ芯、バラ先(リップ)で構成されている。リップオンリブアイは米国で多く流通しているが、豪州やNZではバラ先を除去したキューブロールが多い。前側の断面は、肩ロースに接しており、後ろ側はサーロイン(ストリップロイン)につながっている。
【特徴】肉質は、柔らかくキメが細かい。全体的に霜降りになりやすい最高級部位である。
【用途】焼肉、ステーキ、ローストビーフ、しゃぶしゃぶ、すき焼き。

写真:リブアイロール リップオン(ステーキカット)
左からリブマキ、リブ芯、リップ(バラ先)となっている

3-1 リブアイロール リップオフ
【別名】 キューブロール
【英名】 112 Ribeye roll lip-off(米), Cube roll (豪NZ)
【中国語】眼肉心(Yan3Rou4Xin1)、肋眼(Le1Yan3)、沙朗(Sha1Lang3)
【牛肉の部位】 牛のリブロースの中心部分の筋肉で、リブマキとリブ芯のみ。スペンサーロールからはブレードミート(リブカブリ)とバラ先(リップ)を除去している。
【用途】焼肉、ステーキ、ローストビーフ、しゃぶしゃぶ、すき焼き。
 
 

リップオフリブアイロール(キューブロール)
左がリブ芯、リブ芯に重なって巻くように見えるのがリブマキ

3-2 リブカブリ
【別名】 ブレードミート、リブキャップ、リフターミート
【英名】 Rib cap, Rib blade, Lifter meat(米豪NZ)
学名latissimus dorsi, trapezius thoracis
【中国語】眼肉盖 (Yan3Rou4Gai4)
【牛の部位】 スペンサーロールからリブアイロールを分離した時のリブアイロールの上部についているプレート状の部位。
【特徴】キメはリブ芯に比べやや粗いが、霜降りになりやすく、柔らかい。
【用途】焼肉、ローストビーフ

写真:リブカブリ(リブキャップ)

3-3 リブ芯
【別名】 リブロース芯、アイフィレット
【英名】 Ribeye filet, Eye filet(米豪NZ)、学名Longissimus dorsi
【中国語】肋眼心(Le1Yan3Xin1)
【牛肉の部位】 牛のリブロースの中心部の芯でサーロインのロース芯から続いている最高級部位の一つ。
【特徴】キメは細かく、柔らかい。霜降りと赤身が程良く調和している。
【用途】焼肉

写真:リブ芯 ステーキカット(アイフィレット)

3-4リブマキ ←
【別名】マキ
【英名】Ribeye cap,  学名M.Spinalis dorsi
【中国語】眼肉巻 *(Yan3Rou4Juan4)
【牛肉の部位】 リブアイロールのリブ芯のまわりに巻きつくようにある最高級の霜降り肉。前側の肩ロース側が大きく厚みがあり、ストリップロイン側に近づくにつれて小さく薄くなっている。
【特徴】キメは細かく、柔らかい。リブ芯より霜降りになる
【用途】焼肉

写真: リブマキ


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