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イリ・カルバートソンの『コントラクトブリッヂ家庭教師』という書物を読んでみたという話

今回はイリ・カルバートソンの『コントラクトブリッヂ家庭教師』という書物をご紹介したいと思います。この本は1936年に出版されたもので、タイトルを見るとブリッジの「ジ」が「ヂ」になっています。
そして、このnoteの読者の方ならお気づきと思いますが、著者のイリ・カルバートソンとは、以前の記事でもご紹介しているブリッジプレイヤー「エリー・カルバートソン」(Ely Culbertson, 1891–1955)のことです。
1930年代といえば、エリーが雑誌や書籍を出版したり、競技会で活躍したりと、まさにエリーがブリッジ界をリードした時代でした。その時代の真っ只中に日本でもエリーの書籍が出版されていたと知り、とても興味深く思いましたので、取り上げることにしました。

こちらの本を読みたい方は「国立国会図書館デジタルコレクション」で読むことができます。公共図書館での申し込みが必要で、図書館の端末で閲覧する形になります。ご自宅のパソコンからは閲覧できませんが、目次は確認することができますので、以下にリンクを貼っておきます。

扉ページを見ると、著者はイリ・カルバートソン、そして「譯補」として春日井義治という人物の名前が書かれています。この春日井さんという方は「カルバートソン・ナショナル・スチューデオ(Culbertson National Studios)」を修了している方だそうで、この本の口絵に卒業証書が掲載されています。それと一緒にエリーの肖像やゲームの様子を映した写真も載っています。

本の内容としては、初心者向けにルールを説明する「前篇 競技法」、練習問題が充実している「中篇 ビツド」、カードプレイのテクニックを解説する「後篇 戦術」の三部構成です。
「前篇 競技法」の説明は、専門用語を丁寧に解説しており、初心者にもわかりやすいものとなっています。そして、よりブリッジに関心を持ったら中篇、後篇へと読み進めることでブリッジの上達を目指すことができます。

その他、大人数でブリッジを楽しむ方法を紹介する「パーティブリツヂ」や「ブリツヂ用語とその說明」のページもあります。本文でもそうですが、ブリッジ用語の多くは英語の読みをカタカナで表記しており、日本語で表記する場合も英語のカタカナ読みをルビで示しています。また、「用語」のページでは日本語の後に英語のスペルも併記されているので、ブリッジの用語を正しい名称で覚えることができます。

この本はブリッジの遊び方を簡潔にまとめて紹介したものとなっており、文章を現代仮名遣いにすれば、今の時代でも十分読みやすいものなのではと思いました。少し前にブリッジの遊び方の本を紹介する記事を書きましたが、この本の現代語訳版があったら初心者向けのオススメ本として紹介できるかもしれません。

1936年の状況を想像すると、現代ほど国際的な文化や情報のやりとりが盛んではないだろうと思っていたのですが、欧米で流行していたブリッジがこのように日本にも伝わっていたのだと知り、驚きました。しかもエリー・カルバートソンが著者ですからね。
本当は書籍の画像も掲載したかったのですが、著作権の問題がありそうなので、今回は差し控えます。が、このnoteのヘッダー用に、本の表紙デザインを参考にして画像を作成してみました。今の時代にはない独特なデザインだったんですよねー。
本当の本の表紙や本の内容を見てみたい方は「国立国会図書館デジタルコレクション」のサービスを利用してみてくださいー。ではー。

サポートはコントラクトブリッジに関する記事執筆のための調査費用、コーヒー代として活用させていただきますー。