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遠野へまた戻りたいと思えるようなまちづくりを #004菊池陽一朗

菊池陽一朗
Kikuchi Yoichiro
遠野市役所六次産業室

プロフィール
遠野市出身。2006年、遠野市役所に入職。税務課、遠野地区センター、まちづくり再生担当などでの勤務を経て、2018年からは六次産業室所属。2016年からは、地域おこし協力隊の担当として、都市部から地域資源の活用にチャレンジする人材の受け入れに取り組んでいる。遠野市在住歴32年(通算)。

東日本大震災で全壊した遠野市役所が再建したのは、2017年9月3日のこと。庁舎北側に位置する遠野ショッピングセンター「とぴあ」とも渡り廊下でつながっていることもあり、市役所職員ではないビールの里プロジェクトのメンバーが通りがかって、菊池陽一朗に声をかけることも。

「あ、陽一朗さん、特に用事はないんだけど」

と言いながら、何気ない会話をしつつコミュニケーションを深めていく。こうやって関係者とも話しやすい環境が作られ、情報共有の壁が取り払われているのは、菊池の人柄によるものかもしれません。

ビールの里プロジェクトについては、市役所という立場で考えてはいないですね。プロジェクトの一員として一緒に盛り上げようとか、何かお手伝いできことはあるかなとか。その意味では、市役所職員としてという感覚はあまりありません」

遠野市役所の六次産業室に所属している菊池は、菅原のサポートをしつつ、地域おこし協力隊の受け入れなどを主な業務として行っています。

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遠野市役所勤務は2006年から。税務課、遠野地区センター、まちづくり再生担当などを経て、現在の六次産業室へ異動。ビールの里プロジェクトが「だんだん楽しくなってきている」という菊池ですが、以前は遠野から外へ目を向けていた時期もありました。

外へ目を向けつつも遠野とのつながりは切れていなかった

菊池は2005年に遠野市と合併した宮守村の出身。父の実家でホップを栽培していたものの、菊池が幼少の頃に栽培をやめてしまったため、菊池自身はホップに多く触れていたわけではありません。

また、以前は遠野に対して特に思い入れはなく、違うところで暮らしてみたいという思いもあり、高校は市外、大学は県外へと進学します。それでも遠野市に戻ってきた理由は、実家から市役所の採用試験を受けてみてはという話があり、たまたま採用されたから。

とはいえ、県外に進学していたときも、遠野とのつながりは途切れていませんでした。遠野には郷土芸能がたくさんあり、菊池の地元である宮守地区ではさんさ踊りが盛ん。菊池自身も中学生の頃からさんさ踊りに参加しており、その意味では地元への愛着はあったと言います。

「県外に進学していても、さんさ踊りの仲間から祭りのたびに『今年も戻ってこいよ』と声をかけてもらっていました。市役所で採用になったときも、他のやりたい仕事と迷っていたんですが、地元の仲間から『戻ってこいよ』と

本当にやりたい仕事とは異なる市役所勤務。市役所勤務を頑張ってそれでもやりたいことが諦めきれなかったら、そのときにチャレンジしたらどうか。葛藤はありつつも、そんなアドバイスを受けて、遠野市役所に勤務することになります。

その気持ちが徐々に変わっていったのが、遠野地区センターへ異動になってからのこと。

遠野の力を感じて腰を据える決心を

遠野地区センターでの仕事は、公民館でその地域の人たちと地域づくりをすることが主な業務。必然的に地域住民と関わることが多くなってきます。

「それまでの仕事はあまり市民と関わる機会がありませんでした。でも遠野地区センターに異動になってからは、地域の方々とお会いし、いろいろとかわいがってもらって。それから、この方々に恩返しがしたいと思うようになったんです」

また、東日本大震災の際にも、遠野は多くの団体を受け入れて後方支援活動を行っていたのですが、そのときに遠野の人たちを見て、菊池は遠野の力を感じ、腰を据えようと決心しました。

そんな思いを持ちつつ、まちづくり再生担当に異動になってからは、公的施設のリニューアルなどハード面での利活用を担当することに。首都圏の大学生と地元の高校生とともに廃校の利活用を探るというようなプロジェクトも担当しました。

そして、2015年には遠野市でも地域おこし協力隊を導入し、「遠野ローカルベンチャー事業」を開始。菊池もこれに関わるようになります。

「遠野には高校までしかないので、それ以上の進学を考えると市外に出るしかない。そうなるのはさびしい気持ちもありますが、地域おこし協力隊の方々と関わって、遠野に対して役に立つということがモチベーションになりますね

また戻ってきたいと思える遠野に

そうやって、地元の人々や地域おこし協力隊と関わってきた菊池が感じるのは、遠野市役所のコミュニケーション能力の高さ。もともと遠野市自体が異なる文化や人などを受け入れられる風土があったということもありますが、それに加えてコミュニケーションに慣れていると言います。

遠野市は他の自治体と比べると、イベントの数がとても多い自治体。さらに、イベント運営を業者に発注することなく、自分たちで協力し合いながら進めていきます。そのため、人と関わる機会が多く、協力し合える体制も整っているのです。

「職員の多くは若いうちに地区センターでの業務を経験することが多く、地域住民と一緒に地域づくりをする機会があるんです。そこで地域とのコミュニケーションの経験を積んでいるのが遠野の強みかなと」

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菊池は、ビールの里プロジェクトでホップ農家とも関わり、後継者問題など課題が多いことを感じてもいます。課題がありながらも、菊池自身から見て当たり前にはできない仕事を「当たり前」だと言い切って長年取り組んできている農家もいる。そんな状況を改善するために、遠野から出ていってしまった人が技術などを習得してまた遠野に戻りたい、と思ってもらえる街にしたいと菊池は考えています。

コミュニケーションの強みを生かして、関係人口を増やし、当たり前にできないことを当たり前だといえる環境を作る。そんな仕事をしていくことが菊池の目標。

「ビールの里プロジェクトに関わっていることが本当に楽しい。だんだん楽しくなってきているんですよ」

一度遠野を離れ、戻ってきた菊池だからこそ、また戻ってきたいと思えるようなまちづくりができるのかもしれません。


ホップの里からビールの里へ VISION BOOK


富江弘幸
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企画
株式会社BrewGood
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