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短編小説「笹の葉の願いごと」(前編)
割引あり
これは自分が体験した不思議な出来事で
6年間誰にも話せず、
心にしまっていた話です。
きっかけは彼女の死でした。
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彼女とはバイト先で知り合いました。
と言っても
バイト自体はすぐ辞めてしまったので、
一緒に働いていた時間はわずかでしたが
まあその短い時間で、
すっかり彼女のことが
好きになってしまったのです。
彼女はなんというか、
ちょっと変わっていて。
無口で無表情、おまけに霊感が強く、
たびたび天井をボーっと眺めてたりする
いわゆる不思議ちゃんでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715908550763-3ABKceDhix.png?width=800)
一緒にでかけたりしても、
突然立ち止まって
何もないところを見つめているので
「どうしたの?」と聞いたら
「うん、ちょっと」って。
![](https://assets.st-note.com/img/1715908896006-Dz72FnfS7D.png?width=800)
ああ、たぶん何か
見えてるんだろうなって思うけど、
自分には霊感なんてないので、
彼女に何が見えてるのかわからないし、
彼女も詳しく話そうとしませんでした。
というか彼女は、
普段から必要最低限のことしか
喋らないというか、
むしろ必要最低限のことすら喋らないし
表情筋があるのかさえ怪しい。
正直言って何を考えているのか
わからないところがありました。
![](https://assets.st-note.com/img/1715909019476-8z3lwaakyB.png?width=800)
そんな彼女は人付き合いにも無縁で、
周囲からも避けられていました。
けれど、自分は7人兄弟の真ん中だからか
そんな彼女の不思議なところが
あまり気になりませんでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715909155962-c967CGqnz2.png?width=800)
むしろ、彼女と過ごすうちに
ちょっとした彼女の表情の変化に
気づくようになって
あ、これは喜んでるときの顏だな。
とか
これは不満なときの顏だな。
とか
そういうのが
なんとなくわかるようになってきて、
そんな時は、
まるで彼女の心に触れたような気がして、
そのことがとても嬉しかったんです。
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