論90.日常での感性と声での表現(9680字)

○感じることについて

何かを表現するためには、感じたことが元になります。自分が強く心を動かされた、それでそれを自分でも再現したい、再び体験したい、そういったことで生まれてくることが多いのです。
そもそも芸術というのは、自然の模倣から生まれたものです。美しいなどといった、その一瞬の感動を、なんとか形で残したい、もう一度味わいたい、その複製品の制作が、アートの発端ともいえます。

となると、できるだけ強く感じられる人の方が、そういうことを制作するのにふさわしいとはいえます。
もちろん、感じるだけではダメですが、それは第一の条件ということになります。感じれば感じるほど、それを味わう方向で終わってしまうと思いますが、何か創造しようという方に向けられる人もいるからです。何かを作ろうと思う方向から入って、感じているものを探っていくような人もいます。

ともかくも、せりふでも歌でも、心を伝えるものですから、感じる感性というのが、元になっているのはいうまでもありません。
これを取り出して、表現する手段を鍛錬していこうというのが、トレーニングになるわけです。でも、あまりトレーニングでくくってしまうと、あらぬ方向に行く危険もなくはありません。
しかし、勉強というのは集中して、そういった材料を詰め込むことであるのですから、より多く感じる機会を取ることが、ベースということになります。

それでは、何において感じるのかということになると、身の回りのものから、なんでもありますが、旅や名所巡りといったような、人間が歴史を経て、行ってきたものに接する方が、当然、感じやすいわけです。
さらに、創造物としてのアート作品であることも多いでしょう。小説や詩など文芸作品も、絵画や彫刻などといった工芸品もあります。写真、映画、テレビ番組、マンガなども、です。
日頃、使っているような道具にも、芸術品というのは、あるわけです。すべてはあなたの心次第ということです。

俳優であれば、映画、ドラマ、舞台などを見ることも、そうした面での感性を磨く機会となるでしょう。歌い手であれば、当然、歌い手の歌を聞かなくてはなりません。
こうしたものが全く入っていないのに、自分の中からそういうものが出てくるということは、なかなか難しい、いや、不可能です。
ただ、この2つの分野に関しては、日常生活の中にも、歌や言葉が溶け込んでいるため、知らず知らずに、生活の環境の中で習得された分も大きいので、やや複雑といえます。

○感性の違い

ポップスとクラシックの感性の違いについて、聞かれることがあります。
これは一概に2つに分けられるということではありません。
そもそも感性というのは1人ずつ違っているわけです。クラシックの歌い手とかポップスの歌い手という以前に、一人ひとり違うのです。

食べ物と好み、和食と洋食と同じように、ポップスとクラシックというジャンルの違いというより、その人の育ってきたような環境や元々の気質などによって、違うのではないでしょうか。ですから、どちらかの感性がどちらかを邪魔するなどということは、ないと思います。
豊かなのか、強いのかどうかということだと思います。

歌において、音楽としての感性の力をどのようにつけていくのかというのは、大きな問題です。どんなに声が出て、歌がうまく歌えるようであっても、その感性がなかったり、表現能力がなければ、その力を充分に活かせないからです。
優れた作品をたくさん聞いていたら、自然とその感性が備わってくる人もいれば、そういったことは、さほど経験なくても、自分が歌ったときに魅力的な歌となる人もいます。ある程度の量は必要でも、それだけで決まるものではないということです。

ですが、ヴォイストレーニングのように、プロセスを順序だてて学んでいくということになった場合には、そこは勉強法という形でステップアップするように取り入れられることが求められるのです。
それが、感性的に取り入れられることの邪魔をせず、相乗効果が出るように意図することです。
感性が豊かな人は、勉強することによって、より高まればよいし、それが欠けていると思う人は、勉強することによって、高めていけばよいのです。勉強から学ぶだけではなく、それを離れたところでも、感性を豊かにすることをめざせばよいのです。

○特別に思う

何か物事を行うときに、そのことをどのぐらい特別に思うかということによって、かなり、その扱い方、感じ方が違ってくるわけです。モノに感情移入する場合もあれば、人に対して、ということもあるでしょう。
人間は慣れてくると、小さなことやあたりまえのことは、無意識にこなせるようになります。しかし、そうしたことも、最初は、かなり気を遣って、気をつけてやっていたはずです。

○初心

その初心を忘れないようにしましょう。
慣れて、うまくこなせるようになることは、とてもよいことなのですが、それはあくまで、そのこと以外にも、さらに気をつけてできるようになるためです。
ですから、同じ事は、細かな事ほど、小さな事ほど、ていねいにしましょう。そして、あたりまえのことに対して、真剣に望みましょう。

○疲れることを大切に

昔、元気に行っていたことが、歳をとるとともに、疲れを感じるようになってきました。それは、体力や気力の不足などかと思っていましたが、必ずしもそうではありません。
疲れ方にも、よい疲れと悪い疲れというのがあります。
若い頃は、エネルギーがあるために、結構、鈍感にそういったことに気づかなかったのだと思うようになりました。
うまくいったときにはよい疲れ、悪くいったときには悪い疲れとなりますから、どちらにしろ疲れるわけです。
まして、他人に対して何かを伝えるというような仕事をしているときには、思い入れがあればあるほど、疲れとして跳ね返ってきます。
ですから、その仕事が疲れるからといって向いていないわけではなくて、むしろ、向いていると考えた方がよいと思います。

○声かけ

初対面の相手と知り合いになるのは、そんなに難しいわけではありません。
声を一言かければよいだけです。
日本人の場合は、そうした習慣があまりなく、社交的にパーティーなどの文化がないために、それだけでも、かなり高い障壁になっている場合が多いです。
どちらかというと、相手からの働きかけを待っている人が多いのです。
皆がそうであれば、自分から声をかけたらよいだけの話なのですが、なかなかそういうふうにできる人は少ないようです。
何事も自分から、みんなが相手からと待っていることを、自分から行動として起こす人は、物事をうまく進めていけるわけです。

○すればよいこと☆

私は、レクチャーの会場などに行くと、来場した人から声をかけています。アポのお店で人を待つときも、店の人と話したりしています。もちろん、店の人が忙しいときなどは避けますが。
そうしたことで、こちらもリラックスするし、相手とのコミュニケーションもスムーズに始めることができるわけです。
多くの人は、人が何かをしてくれるのを待っています。すると、なかなかチャンスにめぐり合えることはありません。自分から動き、相手を受け入れていくだけで、大きく人生は変わるのです。
何をするのかというのは、簡単です。自分がして欲しいことを相手にすればよいだけです。

○靴

足元を見るというのは、どちらかというと、相手の弱みにつけ込んで、自分が利益を得ようとするような悪い意味に使われています。
しかし、客商売の人たちは、足元、つまり、相手の靴を見て、相手の身分や、財力などを把握しているとは、よく聞く話です。
確かに、それなりの地位にあるような人たちは、その靴が汚れているということはありません。

○誰のもの

他の人のものは自分のものというような考えは、それほど珍しくありません。人類は皆、共同の生活をすることによって、生きながらえてきたからです。
ですから、国によっては、豊かな人の富というのは、貧しいもので、シェアするのが当然だとか、必要としている人が勝手に使ってよいみたいな考え方もあるわけです。
逆にいうと、私たちが個人の所有、自分のものだとして、主張する根拠というのは、結構、薄いものかもしれません。

○シェアする☆

2個持っていったら、1個を相手に与える、そのことによって、どれだけ、お互いの関係がうまくいくのか、自分だけ、ため込んでいくことが、どれだけお互いの関係を悪くするのか、考えてみたらわかります。
個人の財産権を主張する私たちでさえ、身内の者や親しい人とは、いろんなものをわけ合ったり、贈ったりすることに喜びを感じます。それこそが、その証拠でしょう。
人は人を喜ばせることが最も嬉しいわけです。

○恩送りとペイフォワード

相手から喜ばせてもらったときに、それをお返ししたいと思うのは、人の常です。しかし、大体、そういう相手は、自分よりも目上であったり、先に死んでしまったり別れてしまって、自分が、恩を返せるようになったときには、そういう状況にないことも多いわけです。
親の恩などというのもその一つかもしれません。
そういうときには、自分の子供に返す、自分より若い人に、人から受けた恩を送っていく、恩送りというわけです。
「ペイ・フォワード」という映画があります。自分の受けた恩や思いやりを、受けた相手でなく、それ以外の3人に渡していくということです。つまり、3倍になっていくわけです。

○ウィンザー効果

ウィンザー効果とは、当事者よりも第三者が発信した情報のほうが信頼されやすいという心理効果を意味します。高い評価を受けているものの方が、さらに高い評価を受けやすいという心理的な現象を指す用語です。人々はすでに評価が高いものに対して、更なる価値を認める傾向があるのです。第三者の褒め言葉を聞くと、信用できるものでしょう。

○気にかける

私は、事務所では、すれ違った人、みんなに声をかけ、大体は、一言、加えます。
常に、自分のまわりに目をかけておくこと、気にかけておくことが必要です。ただ、それだけでは相手には伝わりませんから、声かけが必要なのです。
声をかけて初めて、相手に伝わり、声を介して、コミュニケーションが成立します。
どんな人であれ、気にかけてもらえることで喜ばない人はいません。だれでも承認されたい欲求を持っているからです。そのためにも、声が出やすい状態、気持ちが出しやすい状態を、自分なりにつくっておくことが必要です。

○否定しない

若いときは、相手の言葉を何気なく否定して返してしまうことが、よくありました。
相手が時計を褒めてくれても、「あーこれは安もんです」とか。「とってもいいスタジオですね」といわれても、「いや狭くてよくは、ありません」と。
確かに、安物ですし、大したスタジオでもないのですが、相手は、そんなことを言いたいわけではないのです。それは、良好なコミュニケーションのための持ち上げです。
褒められるのに慣れてないと、自慢みたいにならないようにと思って、自ら下げてしまうのです。そうなると、相手の面目もつぶれてしまいます。
そういうときは、素直に喜んで「ありがとうございます」と応じたらよいわけです。

○かける言葉

「何かお手伝いできることありますか。」
これもよく使うようになった言葉です。いろんなイベントなどに行くと、スタッフは忙しく働いています。
お客さんとしてお金を払って行くときには、向こうに変に気を使わせては大変なので、できるだけ、お客さんで入るようにしています。でも、続けていくときには、それなりに、何かしらこの借りを返したいと思うわけです。
一緒に何かをすると、そこに一体感が生まれ、コミュニケーションも、うまく取れるわけです。大変そうなときに会場の片付けを手伝っていると、いつの間にか受付を頼まれたりする仲になります。それは、ただ招かれるよりは楽しいことなのです。居場所ができるのです。

○雑談の効果

私は、相手が誰でも、あまり用件とは関係のないことばかり喋っている場合が多いです。商談であっても、相手が切り出さない限りは、大体は、最近あったことや行ったところ、あるいは国際情勢や国内の事件、身近な所で起こった出来事などを話しています。いわば、広い意味での情報交換です。
私の仕事などは、売り込むものでなく、向こうから頼まれて、応えていくものですから、こちらから無理にアピールをしても、よい方向にいかないからです。
こちらがやりたいことをやるのでなく、向こうがやってほしいことに応えることだからです。
ですから、こちらが出向いたときも、向こうがいらしたときも、どうでもよいことをしゃべって終わります。しかし、このどうでもよさそうなことが、私にとって、大きな材料、次の活動への情報となるわけです。

○できない人

「いわれたことができない人といわれたことしかできない人のどちらがいいですか」と聞かれたことがあります。普通であれば、いわれたことができない人は困るということだと思います。
いわれたことしかできない人でも、いわれたことだけでもできるのであれば、それは戦力になります。
しかし、いわれたことができない人が、もしいわれたこと以外のことができるのであれば、それは、結構、面白いことだと思います。
多くの人は、上司の下で、いわれたことをするのが仕事だと思っているからです。しかし、上司にいわれたことができなくて、違うことができてしまう人は、案外と、上司以上の能力があるのかもしれません。もちろん、いわれたこともいわれてないこともできない人では、どうしようもありませんが。

○集団行動

昔から、私は団体行動というのは結構、苦手でした。決められた時間に集合し、決められた通りのスケジュールをこなしていくということは、人間の社会においてはあたりまえのことだと思います。チーム組織として一糸乱れずに、動かなくてはならないところでは、それは絶対条件です。
しかし、私が団体行動したことがないのかというと、合宿や研修やイベントなどでは、リーダーとして、ゼロから全てを考え動かしてきた経験は、多いわけです。
多分、そういうときには、自分の立てたスケジュールですから、自分も守らなくてはいけないという覚悟になるのでしょう。
そういう場合、状況に応じて、自分自身でよりよく判断する権限があります。
となると、私が苦手なのは、決まったスケジュールが、状況に応じて、いろいろ変えた方がよいのに、それに縛られ、非効率的な行動を強いられるようなときだとわかってきました。「もっとこうすればよいのに」というのが閃くと、そうでないままの現実が耐え難いということでしょう。

○経験と学び

リーダーは、常に、自分のスタイルや立場を維持しておかなくてはならないという緊張感が欠かせません。
合宿でも、最も眠らず、最も素早く飯を食べ、最も多く動いていたのは私自身であったように思います。若い人たちとの研修ですから、本来は、こちらが向こうに学ばせるものなのに、いつも最後に思うことは、自分が1番、学んだなということです。
それは、全員にアンケートなどをとってみても、実感することです。
もちろん、私の知らないところで、私の数倍学んでいる人はいるとは思います。
でも、自分がプランニングをし、最後まで成し遂げたというところでは、その重圧と責任感を伴う実体験が、キャリアとなるのです。
他の人の企画に乗るのはよい経験になりますが、それを身に付けるためには、やはり自ら企画し、人を動かすことで学ぶことでしょう。

○中途半端と覚悟

そこからみると、中途半端な仕事というのは、結果的に疲れます。疲れ方がよくないのです。やらなければよかったなどという後悔が入ると、他の人の手も煩わせていますから、そういう人たちに対して申し訳ない思いも重なります。
仕事が中途半端だったのかどうだったかという判断は、結構難しいところです。
ほとんどは、自分の思い込みです。つまり、自分が、それだけの覚悟を持って取り組んだかということになります。
アーティストは、そういうことにとても敏感であるので、理想をいうなら、覚悟のできない仕事は、受けないほうがいいと思います。そこまで決断を迫られるようなものばかりであれば、なかなか成り立たなくなってくるからです。
普通の仕事は、もう少しコンスタントに、持続できるということを元に考えていくもので、一仕事ごとに、ヘトヘトになってしまうと、次が続かなくなるからです。
どちらにしても、中途半端な疲れというのは、なんともよくないので、仕事という以上は、できる限り、全力を尽くしたほうがいいと思っています。

○ニーズよりアウトプット

30代くらいのレクチャーのときには、私の場合は、いわば走りまくっていました。世の中からも、そういうふうな姿勢、パワーや斬新性、新しい発想やこれまでにないような情報が求められたためでしょう。今になって思うと、相手がわかろうがわかるまいが、とにかく吠えまくっていたような感じがします。
ですから、話も、ハイレベルにマニアックに、それにしがみついてくるような人たちには、好評だったのですが、一般の人たちには、わかりにくい点が多かったと思います。
そもそも、10個、話して、そのうち1つがわかればいいと、いうスタンスでした。これは、私自身がいろんなものを得るときに考えていたことだったのです。
絞り込んで、1つだけを伝えればよかったのですが、少なくとも私のところに依頼に来る人は、私と同じようなものだと思っていたのです。
ですから、そのまま伝えようとしていたわけです。つまり、全部、私からあなたに必要なものだけ切り取ってくれというスタンスです。

○ニッチな出会い

一般的に、レクチャーの講師というのは、全部、委ねられてもわからないから必要なものだけを整理して教えてくれという役割なのです。
ですから、一般の人や社員等には、あまり評判がよくなく、ベンチャー起業家やオーナー社長や一匹狼で動き回っている人、要は、自分のスタンスをもつ人、一回りも二回りも年配の人に好まれたのです。それは、私にとっては、結果的には、よかったわけです。
わけのわかんないようなことでも、それをおもしろいと思って出してくれる人々に出会い、それなりにわけのわからないことを好むようなターゲットに対し、編集者が出してくれるので、わけのわかんないような人たちとたくさん出会えたからです。
その点で、出版というのは、マスマーケティングでありながら、日本や世界の、とてもニッチなところの人に、出会うチャンスをたくさんくれました。

○話をする

人前では、どのように話せばよいのかと聞かれることがあります。
これは、目的にもよります。
あたりまえのことですが、まず、話す以上は、話が聞こえなくてはなりません。
それなりに声を大きくすること、1番遠くの人が聞こえるような声量でしっかりと話すようなことが最低限の条件です。
次に、声が大きくても、内容が理解しにくいとどうしようもないので、見せ方ということになります。内容面での整理も必要ですし、話し方として、メリハリも大切です。

相手のわからないようなことは、ていねいに説明し、同じようなことを繰り返して無駄な時間を使わないようにします。わかりやすくするためには、具体的な例を入れることです。
とはいえ、それは相手によって、かなり違います。
途中で質問して、どのぐらい理解しているかを、試してみるようなこともよいでしょう。こちらから働きかけると、聞くほうの集中力も上がります。

○転職

転職の相談を受けることもあります。
転職すれば、今よりよくなるだろうと、漠然と会社をやめたりする人もいるのですが、日本においては、へッドハンティングでもなければ、大体は、これまでの会社よりも条件や居心地は悪くなる場合が多いです。
よほどひどいところにいた場合は別ですが、大体、転職したいと思っている原因が、自分自身の問題であることが多く、そのまま、次に行っても同じことが起きるからです。

そのなかで最も大きな問題は人間関係です。人間関係をうまくできない人が、次の会社に行っても、新しく入るわけですから、より大変になるのはあたりまえです。その想像力さえないのですから、うまくいかないのは当然といえます。
逆にいうと、今の会社の中でどれだけ、守られている、まわりが支えてくれているかということに気づかず、悪いことばかり見て、まわりのせいにしていることが、よくあるからです。

○感じよくする

そのあたりは、私のように何千人と見てきた者には、会ったときの第一印象で、ほぼ察しがつきます。
そういうときに好感のもたれる、感じがよい人になれるかというのは、なかなか難しいです。相手によっても感じ方が違いますし、自分の感じというのは、自分でなかなかコントロールできないからです。
ただ、明るく振る舞うとか面白いキャラを演じることで、相手が受け入れやすくすることはできます。

あたりまえのことをあたりまえにこなして、反感を持たれたり敵を作らないようにすることは、大切です。笑顔や挨拶などが、最低限の条件となります。
相手にきちんと向き合ってていねいに応対するということは、あたりまえのことなのですが、なかなか誰にでもきちんと対処できる人はいません。むしろ、相手によって対応が違う人が少なくないと思います。
あたりまえのことができれば、あたりまえに感じはよくなります。

○褒めること

芸事の世界において、できてもいないのに、褒めるのは、褒め殺し、相手を殺すことになります。むしろ、本当によいものが出たときに、一言、認めることにより、長年の修行が報われ、本人も、本当に自分の実力に自信が持てるようになるわけです。

一般社会の中では、自分が嫌われたくない、好かれたいと思うがために褒めている人が多いので、同列に述べることはできません。
相手の状況においては、褒めることが、必要不可欠なケースもあります。
全力で努力をしているのに結果が出ないようなとき、結果だけで評価してしまうと、相手のためにならないでしょう。明らかなミスによって失敗を招いたようなときには、それなりに叱らなくては、繰り返すことになります。
相手が傷ついていたり必要以上に自信をなくしたりしたときには、慰めることも必要でしょう。つまり、ケースバイケースです。どのケースでも相手がどのように自覚しているのかに応じて対応しなくてはならないのです。

○切り替え力

切り替えの早い人とそういうことが苦手な人がいます。自分の気持ちがどうであれ、それにかかわらず、行動に切り替えられる人もいます。でも、気持ちが変わらないと、どうしても行動に踏み出せない人もいます。
これは、ある程度、慣れることで変えていけますが、性格や育ちによって、なかなかうまくできない人もいます。
どちらも、その人の個性というところで見るようにしています。
改良できるところまでは改良していき、切り替えられるところまでは切り替えられるようにしていきます。しかし、限界が見えてきたら、その先は、そういう人だということで扱えばよいわけです。
仕事の効率上は、切り替え力が早い人の方が有利ですが、仕事の質や内容となると、必ずしもそういうわけではありません。その人に合った仕事や職場を選ぶということも必要でしょう。

○ストレスを流す

嫌なことがあると、手を洗いに行ったり、外を歩いたりするのは、そういうことで自分の負の感情を流そうとする自衛手段だと思います。掃除をしたり電話をかけたりする人もいます。
こうした気分転換を自分なりにできる人は、あまりストレスを抱えないで済みます。
逃げ場がなくなっていくと、心がやられてしまうことがあります。自分なりの切り替え手段を持つことは、身を守る術になります。
なかには、食べることやショッピングに走ってしまって、とんでもない結果になる人もいます。できるだけ、健康や生活に影響のない方法で得た方がよいでしょう。

○一流の人

一流の仕事ができるような人には、小さなことにも感謝する人が多いです。
自分自身で苦労したり、責任を持っていろんなことに悩まされたりして仕事をしていくと、いろいろなことが、どのぐらい手間ひまがかかっているかがわかるからだと思います。
人間関係においても、余計なところに気をつかうようなことが起きるのを防ぐ、そのために日頃から、まわりを味方にしていくことが身についているからでしょう。
そういった感覚と言葉をかけるような習慣があるからこそ、その人が成功したといえるのです。見習いましょう。

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